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"話すのに必要な英単語の数"ってなんでしょう

前段 【どうやったら英語が話せるようになるの?】

恐縮な話ですが、自分はよく「どうしたらそこまで英語が話せるようになるのか」と聞かれます。毎回違う答えを返しますが、よく返す答えの一つがこれです。


単語を覚えてください


「えーやっぱり単語かー」という答えが返ってきますが、そういう人を相手にしている時ほど、そう答えます。

それで次によく聞かれるのは

何単語ぐらい覚えればいいの?

「2,000?
 3,000?
 5,000?
 10,000?」

「話すのには中学英語だけでいいとかもいうけど、そんなことないっていう人もいるし…」

そうですね〜…

ChatGPTにでも聞いてみましょうか

ChatGPTに聞いてみました

ChatGPTに訳もしてもらいました

ESL学習者がアメリカで生活するために学習する必要がある単語数は何ですか?

アメリカで生活するためにESL学習者が学習する必要がある正確な単語数を特定するのは難しいです。学習者の年齢、学歴、職業、社会環境などの要因に応じて必要な語彙や言語能力は異なるためです。

ただし、外国語の教授に関するアメリカ協議会(ACTFL)によると、中級レベルの言語能力には約2,500〜3,000の単語の知識が必要です。このレベルの能力を持つことで、個人は身近なトピックについて会話をすることができ、基本的な社交場面を乗り越えることができます。

より複雑で専門的な言語ニーズ、例えば学術的またはプロフェッショナルなコミュニケーションを行う場合は、より高度な言語能力と語彙が必要になる場合があります。したがって、アメリカで生活するためにESL学習者が学習する必要がある単語数は、個人の目標やニーズによって異なることになります。

競争の激しい職場で働くためにESL学習者が学習する必要がある単語数は何ですか?

競争の激しい職場で働くためには、生活するためだけの人よりも高い言語能力とより広範な語彙が必要になります。必要な単語数は、個人が働く業界や職種によって異なります。

しかし、言語学者のポール・ネーションによると、8,000〜9,000の単語ファミリー(つまり、単語とそれに関連する形態、例えば「work」、「worker」、「working」など)の語彙サイズは、プロフェッショナルまたは学術的な環境に関連する多くの文書を含め、ほとんどの書かれたテキストを読み取り理解するために十分です。

競争の激しい環境で働くESL学習者は、自分の業界や職業で使用される専門用語や言語に熟練している必要があります。これには、専門的な言語トレーニングや、ターゲット言語での本格的な職場コミュニケーションに曝されることが必要になります。

は〜なるほどですね〜

つまり
生きていくのには2,500〜3,000単語
バリバリ仕事するのには8,000〜9,000単語ファミリー

単語ファミリー

らしいです

こうなると自分はどれくらいの単語数 知っているのか気になります。

自分が何単語知っているのか調べてみました

https://preply.com/en/learn/english/test-your-vocab

わあ 自慢ったらしい。
5分で終わる簡易的なテストだったので正確性はわかりませんけどね。
このテストでは大人で20,000-35,000単語ぐらい知ってるよ、って書いてます。
翻訳家を仕事にしていてこれはどうなんだ?とも思いますが、まぁいいのです。仕事はできてる。




はい。

で、単語数もいいんですけど。

もっと知っておいてほしい話があるんです。

それが今日の本題。



本題 【英単語の理解の深度】

「語の理解度」

テスト: この単語、知ってますか?

  1. Sleep

  2. Run

  3. Fish

  4. Hot

  5. Speak

  1. Ambitious

  2. Accomplish

  3. Razor

  4. Species

  5. Facilitate

  1. Conundrum

  2. Sanctuary

  3. Idiosyncrasy

  4. Panacea

  5. Ubiquitous

下に行くほど難しいですね〜
「最初の5つは全部知ってた」という方が多いでしょうか。

「英単語を知ってる」の種類

でも「英単語を知ってる」にもこんなに種類があるんですね〜
これらの単語について、下記ができるか考えてみてください。

1. 英単語の意味を一つでも知っていて、日本語にできる
2. 日本語の意味から英単語を思い出せる
3. 英単語の発音を知っている
4. 英単語の基本的な使い方(または品詞)を知っている
5. 語幹がわかっている(または語形変化ができる)
6. 英単語の意味を一つでも知っていて、一瞬で日本語にできる
7. 日本語の意味から英単語を一瞬で思い出せる
8. 英単語の一般的に使われる意味を全て知っていて、日本語にできる
9. 英単語のコアイメージを捉えられている
10. 英単語を日本語に頼ることなく理解できている
11. 一般的に問題なく理解できる明瞭さで英単語が発音できる
12. 英単語のコロケーションを知っている
13. 英単語のコノテーションを知っている
14. 英単語がどこでどれだけ一般的かを知っている

ひとつずつやっていきましょ〜

1. 英単語の意味を一つでも知っていて、日本語にできる

Panacea は「万能薬」という意味ですね〜

2. 日本語の意味から英単語を思い出せる

難問 → (     )
正解は conundrum ですね〜

3. 英単語の発音を知っている

Ubiquitous は「ユビキタス」ですね〜

4. 英単語の基本的な使い方(または品詞)を知っている

He is an ambitious man.
形容詞ですね〜

She usually sleeps for 8 hours a night.
動詞です。

You should get some sleep.
名詞ですね〜

5. 語幹がわかっている(または語形変化ができる)

Facilitate は同じ語幹から
Facilitation
Facilitator
Facility
などの言葉がありますね〜

Speak の過去形は spoke, 過去分詞系は spoken ですね〜

Fish の複数形は fish 
Species は複数形でも単数系でも speciesですよ〜

6. 英単語の意味を一つでも知っていて、一瞬で日本語にできる

「知っている英単語」 と 「使える英単語」は違いますね〜

一瞬で、というのが肝要です。遅くても0.5秒以内。
一瞬で意味が理解できないと、実際の会話のスピードでは到底理解が追い付きませんからね〜。使えるとは言い難いです。
でも練習すると皆さん結構すぐできるようになりますよ〜

7. 日本語の意味から英単語を一瞬で思い出せる

5と同じ理屈ですね〜
言いたいことをすぐに英語にできないと自然な会話は難しいです。

8. 英単語の一般的に使われる意味を全て知っていて、日本語にできる

Run は「走る」という意味もあれば「逃げる」「(会社などを)運営する」「(プログラムなどを)起動する」という意味もありますね〜

9. 英単語のコアイメージを捉えられている

7の続きですが
Hot は「暑い/熱い」という意味もあれば「セクシー」という意味も「(場所などが)流行っている」とか「辛い🥵」などの意味もあります…が、大体全部同じ「アツい」からくる「感情」とか「汗」とかのイメージが軸にありますね〜。

10. 英単語を日本語に頼ることなく理解できている

6の次のステップで8の関連でもあります。
日本語の意味を覚えていることは決して無駄じゃないですが。

食べる
→(からっ!)
→(うわ、このソースめっちゃ辛い)
→(辛いは英語で…)
→「This sauce is hot.」

これはやっぱり時間がかかりますね〜
食べる→「WOW IT'S HOT」に直でいけるように
日本語ではなく、経験や感情と英単語を結びつけたいですね〜

11. 一般的に問題なく理解できる明瞭さで英単語が発音できる

本当はもうちょっと上にあってもいいのですが、皆さん苦手です。

❌ The doctor used a razor to remove the mole from my skin.
⭕️ The doctor used a laser to remove the mole from my skin.

想像するだけで痛いですね〜

レーザーブレードは razor blade
レーザービームは laser beam ですよ〜

ワードストレス(強調)の位置も知ってないといけません
アンビシャスじゃなくてアンシャスですよ〜

12. 英単語のコロケーションを知っている

4に近いですね〜
コロケーションは「その言葉と一緒に使われる言葉」です。

つまり使い方の実例を出せますか〜ってことですね〜

Speak
He spoke a few words at the event.
Speak for yourself. I hate seafood. 

Accomplish
Job done. Mission accomplished.
She is an accomplished film producer.

❌ strong rain
⭕️ heavy rain

❌ drink a medicine
⭕️ take medicine

❌ fix bad habits
⭕️ break bad habits

❌ drew his eyes
⭕️ caught his eyes

13. 英単語のコノテーションを知っている

connotation (コノテーション)とは〜

an idea or feeling which a word invokes for a person in addition to its literal or primary meaning.
ある言葉が、その文字通りの意味や本来の意味に加えて、人に呼び起こす考えや感情。

from: Oxford Languages

例えば「せせらぎ」の意味(denotation)はこれです。

浅瀬に水が流れている所。小さな流れ。その音。

「間違ってないけど…なんかちょっとちがいません?ちがわないけど、ちがいません?」
「せせらぎっていえば、なんかいい感じ涼しげ山とか森な感じリラックスな感じで…」

ですよね〜

  • 「いい感じ」

  • 「涼しげ」

  • 「山とか森の感じ」

  • 「リラックスな感じ」

これがコノテーションです

例えば一見同じ意味の言葉でも〜

Cheap: 低品質、価値が低い
Affordable: 手が届く、値打ちがある、割安

Skinny: 不健康
Slim: 健康的

Stubborn: 頑固、扱いにくい、柔軟性に欠ける
Determined: 初志貫徹、やる気がある

Childlike: 純粋、無邪気
Childish: 未熟、幼稚

I spoke with him は I talked with him に比べてちょっと重い話をしている気がしますね〜
sanctuary は聖地という意味ですが、どちらかというと「侵してはいけない聖域」というイメージです。
「St. Andrews is the sanctuary of golf」とかいうふうには使えないわけですね〜
そういう意味で使われる聖地は「mecca」です(宗教的なイメージがある言葉なので使わない人も多いですけどね〜。ゴルフの聖地セントアンドリュースは "Home of Golf" です)

14. 英単語がどこでどれだけ一般的かを知っている

①時代性
中世の騎士が使うような言葉に聞こえるのか
"This revelry is well and truly alight, my dear!"
近頃の若者が使うような言葉に聞こえるのか
"Yo this party is lit, dawg."

②地域性
イギリスでよく使うのか
オーストラリアでよく使うのか
アメリカのどこの地域でよく使うのか

I reckon というフレーズはイギリスでは一般的ですが、アメリカに行った時 Redneckみたいと言われてびっくりしたのを覚えてますね〜

イギリスでは drop by とはあんまり言わない気がします
come (a)round とか pop (a)round とか言いますね〜

今回問題になっている単語の中では
時代性や地域性で偏りがある単語はないですね〜


結論

いかがでしたか?

(14)はちょっとダメ押し感ありましたね〜
ここまでくるとネイティブスピーカーでもわからないところもありますね〜

ひとつひとつはさらっとですが
ぎゅぎゅっと詰め込んだので
あまりの情報量に
「私には英語は絶対無理だ…」
ってなってる人もいるかもですね〜

この記事でお伝えしたかったのは

「単語数」という横軸だけでなく、「理解度」という縦軸も意識すると良い

そうすると「知った英語」が本当に「使える英語」になっていきますよ〜
ということです。またそれと同時に

無駄な英語の勉強なんてない

ということでもあります。

単語数を追い求めて、効率良くどんどんテストの点数を伸ばしたりしている人もいて、それはそれで良いことだと思います。

でも、例えばそういう人と比べて「がんばっているのにボキャブラリーを増やすのにすごく時間がかかる〜」という人は、この深度を深めるのに時間を使っている人。

一歩ずつ前進していけば大丈夫です。
どれだけ1つの言葉に触れてても理解しすぎることなんてないんですからね〜


ここまで読んでいただきありがとうございました!

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