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小・中#11-1: It's hot today.「今日は暑いですね」(前)

7月になりました。学校現場でも「新しい生活様式」の中で、様々に工夫を凝らした「学び」が継続されています。Small Talk も「ペアやグループワーク」の一部と認識されて実施しづらい活動と伺っています。
そのような中でも、本記事をお読み下さっている先生方に、ふと授業の中で「児童生徒に問いかけるヒント」、「児童とのやり取りのヒント」となることがあれば・・・と願いつつ、今回も Small Talk の展開例について考えます。

【言語活動の始め方について・・・】

日々の授業に、「話すこと(やり取り)」の言語活動をどのように組み込むことができるか。「どのような活動を」ではなく、「活動をどのように始めるか」について考えることがあります。

小学校の外国語活動や外国語の授業では、「今日の授業のながれ」が「Greeting」→「Let’s sing!」→「Small Talk」→「Let’s watch & listen!」→「Today’s goal」→「Let’s listen!」→・・・ のように黒板に提示されているのをよく目にします。これに指導者と児童とで共有した今日の学習の「めあて」を添えれば、本時の学習を通して目指す姿に繋がる「道しるべ」となります。
「今、自分は何の活動をしているのか」を明確に分かっているほうが、児童自身も安心して授業を受けることができ、指導者も授業全体という大きな視点から1つ1つの活動の位置づけを捉えることができるという利点があるようです。

ただ気になることもあります。授業を構成する活動が「それぞれ完結」してしまう進め方です。例えば、次のように1つの活動が終わり、続いて新たな活動を始めることを宣言してクラスの雰囲気を盛り上げる場面をよく見ます。

T:   Well done!   You did a good job.   Fantastic!   (OK, that was “Let’s sing!”)  The next activity is “Small Talk”!
T & Ss:  Yeahhhh!

黒板に提示された「授業のながれ」を1つ1つ進んでいくわけですので、それ自体に問題があるわけではありません。しかし特に学年が進んだ段階では、活動と活動の有機的な繋がりを、児童にも分かるように説明しておくことも大切と考えます。

「まず、授業開始直後の堅い雰囲気を和らげるアイスブレーキングの活動として歌を歌いましたね。英語の雰囲気が広がってきたところで、Small Talk を通してこれまでに学んだ語句や表現を実際のやり取りで活用する活動を行いました。次は、まだ初めて触れる表現があるかもしれないけれど、知っている表現と合わせて、先生のモデルをよく見て聞きながら、どのようなことを話しているのか考えてみよう」・・・
といった活動のねらいを丁寧に示すということです。

これが授業終わりに「学びの振り返り」を行うとき、自分はどの活動でどのような目標を達成できなかったか、どういう目標に向けてさらに努力が必要かを具体的に考えることができ、「その後の学びをどのように進めるか」を計画できることに繋がります。

一方、本記事のテーマでもある「Small Talk」に絞って考えてみると、

T:  Let’s enjoy [start] “Small Talk”!   [The next activity is “Small Talk!” / Next, “Small Talk”!]   Today’s topic is “hot weather.” Do you like “hot weather”? [How do you like “hot weather”?]

のように、「さあ、次は、スモールトークを始めます!今日のトピックは『暑い天気』です。『暑い天気』は好きですか?」と、常にどこか構えた形で始めるのも不自然に感じることがあります。Small Talk のねらいが「既習表現を用いて対話を続けられるようになること」であるならば、指導者と児童との「自然なやり取り」から、様々な既習表現が引き出されていく始め方を、本記事では改めて大切にしていきたいと思います。

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前置きが長くなりました。今回は、指導者がふと発した「It’s hot today! (今日は暑いですね)」ということばから始まる展開例を考えてみたいと思います。もちろんこの指導者の「It’s hot today.」も、ねらいのある一言ですし、その後の流れもある程度は予測して授業に臨みます。
児童に触れさせたい英語を提供するという点で、45分または50分という限られた授業時間の中で指導者が発することばの多くは、「prepared (準備され)」、「intentional (意図があり)」、「structured (構成された)」ものであるべきと考えています。

以下、特定の季節についての好き嫌いだけを考えるのではなく、指導者が「暑い天気(暑さ)は嫌いだけれど、夏は好き」と伝えることで変化をつけた Small Talk を展開していきます。

【展開例】

T: It’s hot today.  [It’s another hot day.]  The weather forecast says it will reach 32 degrees Celsius this afternoon.   I don’t like hot weather. It makes me sweat.   I easily get sweaty. [汗を拭くジェスチャー]   ① Well, I don’t like hot weather, but I like summer.  I like camping and summer is the best season for camping.   ② Do you summer, S1?
S1:   Yes.
T:   You like summer! Me too.   ③ Then, do you like hot weather?
S1:   Yes!
T:   Great. ④ What do you enjoy in hot weather?
S1:   Swimming.
T:   You enjoy swimming in hot weather. That sounds nice. Thank you, S1. ⑤ How about you, S2? Do you like summer?
S2:   No.
T:   ⑥ You don’t like summer? What season do you like?
S2:   I like winter.
T:   You like winter. ⑦ Can you tell me why?
S2:   I like skiing.
T:   You like skiing!  ⑧ So you like cold weather?
S2:   No ….
T:   Oh, you don’t like cold weather, but you like skiing!   Well, you can enjoy skiing only in cold weather in Japan.   You like skiing, S2.   So, you have to be strong!

① はじめに “I don’t like hot weather.” のみを伝え、その理由(汗をかくから)に触れた上で、 “I don’t like hot weather, but I like summer.” と don’t like / like の表現を対比させて「暑い天気」と「夏」を区別するように促します。

② 指導者の話が summer  について展開されていた(「夏はキャンプを楽しみ」)ので、S1にも “Do you like summer?” と尋ねてみました。やり取りの内容に沿った問いかけであれば、即興的なものでも答えやすいためです。

③ 「夏が好き」と答えた S1 に “Do you like hot weather?” と尋ねます。指導者は「夏は好きだが、暑い天気は苦手」でした。S1 の回答が楽しみな場面です。クラスの児童の様子によっては、S1 に尋ねる前に、もう一度指導者が自分のことについての英文(“I like summer, but I don’t like hot weather.”)を聞かせることもできます。

④ 「暑い天気も好き」と答えた S1 に対して、その理由を尋ねてみたい場面です。 “Why?” と問いかけてみることもできます。しかし、特に感覚的な好き嫌いなどについては、「理由として伝えることができるのは、どのような情報か」が浮かびづらいことがあるため、ここでは “What do you enjoy in hot weather?” という手掛かりを提示してみました。

⑤ S1 とのやり取りを終えて、S2 に指名します。S1との話の内容が少し発展したため、最初と同じ問いを意図して “How about you, S2?” と言っただけでは、何を尋ねられているのか S2 には分かりづらいかもしれません。状況に応じて “Do you like summer?” と具体的な問いを続けます。

⑥ 「夏が好きか」という問いに対して S2 が “No.” と答えました。これに対して “Why?” と続けることもできそうですが、上記④と同様に、せっかく児童が答えたことに対して反射的に “Why?” と言うのは、唐突な場合もあります。特に小学校段階では、「頑張って自分のことを言えたね」という気持ちを込めて、“You don’t like summer?” と児童のことばを受けとめてあげるのはどうでしょうか。その後、「ではどの季節が好き?」と引き出します。

⑦ 指導者自身の話、さらに S1 とのやり取りの中で、好きな季節や天気の理由として「好きなもの(活動、スポーツなど)」を添えてきました。児童も、「好きな理由」としてどういう内容を伝えることができるかに気づき始めていると思われるため、S2には “Can you tell me why?” [“Why?”] と尋ねています。

⑧ S2 は「スキーが好きだから、冬が好き」であることが分かったため、今度は「冬は寒い」の繋がりから、“You like cold weather?” と続けてみました。結果として「寒い天気は苦手」でしたが、“You can enjoy skiing only in cold weather in Japan. You like skiing, S2. So, you have to be strong!” と、児童の既習表現を活用しながら聞かせています。「スキーは、日本では寒い天気の時しかできないから、(寒い天気が嫌いでも)好きなスキーができるように、体が丈夫(元気)でないといけないね」と、それまでの内容を整理しました。

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小学生や中学生の対話や議論を見ていると、日本語でも英語でも、自分の考えや気持ちを裏づけるために「どのようなこと」を伝えることができるか、あるいは伝えるべきかを理解していない様子がうかがえることがあります。

「なぜですか」と問われて戸惑う・・・こうした姿です。

ここで指導者に必要なのは、児童生徒それぞれの様子を見ながら、単に「なぜ」を繰り返すのではなく、様々な視点から自分の考えや気持ちを説明できるような問いを支援として提示することです。「夏が好き」なら、「その夏に何をするのか」、「他の季節とはどこが違うのか」、「どういう気持ちになるのか」などを具体的に尋ねていくアプローチです。

指導者や周りにいる大人から、多様な問いかけをされる経験を重ねることも、自分の思考を体系立ててことばに表す力の育成に繋がります。

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次回も続けて "It's hot today." から続ける展開例について考えます。

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