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2021.11.7 - パ・リーグCS : 千葉ロッテ×東北楽天

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introduction

今日はかなり前から幕張に行くことは決めていた。正確には、18:00から幕張メッセに行くことが決まっていたので、当初はフクアリ(蘇我)でJ2のデーゲームを観てから京葉線で海浜幕張へハシゴしようと考えていた。だが、プロ野球のペナントレースが佳境に入り、パ・リーグ3位のイーグルスは、クライマックスシリーズで2位のマリーンズとビジターで戦うことに決定。この日ZOZOマリンスタジアムで行われる第2戦の試合開始は14:00で、よほど試合が長引かない限りは、直線距離で1kmも離れていない幕張メッセとの掛け持ちが充分に可能。そんなわけで予定を変更し、ZOZOマリン→幕張メッセという「終日幕張満喫デー」が実現することになった(笑)。

マリーンズとイーグルスが対戦するCSの1stステージは、ペナントレース上位のホーム球場で2戦先勝の方式。昨日行われた第1戦では、3-1で迎えた7回表にイーグルスが島内のタイムリーで3-4とひっくり返したものの、継投の松井が8回裏に同点HRを許し、9回裏には宋家豪がサヨナラヒットを許してマリーンズが5-4で勝利。イーグルスはこれで残り2連勝するしかない状況に追い込まれた。まさに崖っぷちの一戦である。

個人的にCSの試合を現地観戦するのはこれが初体験なのだが、今回のZOZOマリン訪問にあたって一番驚いたのは、とにかくチケットの値段が高い!ということだ。ダイナミックプライシング(価格変動制)が採用されているマリーンズのチケットであるが、今回のZOZOマリンのチケットの高額たるや、想像を絶するものがあった。自分は平常時でもコスパの良い内野2階席のチケットにしたが、それでも通常時ならば高々3,000円前後で買えるところが、チケット発売初日には倍以上の値段がついていた。1階席に至っては10,000円超えが当たり前という有り様で、こんな高額なチケットを誰が買うんだ?と思ってしまう。それでも買う人がいるからこういう値段がついているのだろうが、プロスポーツは金儲けの手段である前に文化の一端なのであるし、常識的な価格設定をお願いしたいものである。

前段が長くなってしまったが、プレイボールの時間ぴったりを狙って現地へ向かい、ほぼそのとおりに到着。午前中は晴れ間も差していたが、午後に入ってから急に雲が立ち込めてきた。夜からは降雨の予報も出ており、天候が持ってくれることを願いたい。スタンドに入ると、客席の大半はマリーンズのファンでびっしり埋まっている。こんなにしっかりとお客さんの入ったマリンで観るのは初めてだ。イーグルスのファンも多く紛れているが、パッと見の感覚としては圧倒的なマイノリティーである。

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1st-5th inning

先に守るマリーンズの先発は左腕の小島。ペナントレースのイーグルスとの最終戦でも対戦しており、その試合ではイーグルスが勝っている。強い投手ではあるが、そこまで苦手にしている印象は薄い。初回も先頭の山﨑がいきなり2塁打を放ちチャンスメイクするが、先制はできずに終える。

イーグルスの先発は岸。比較的マリーンズには相性の良い、技巧派のベテランだ。初回はこちらも1死からマーティンに長打を許すものの、後続をしっかり抑えて無難に立ち上がる。

スコアが動いたのは2回表。1死から7番・鈴木がライト線の2塁打で得点圏に進むと、2死になってから9番・炭谷がライト前にシングルを放ち、鈴木が生還。本塁のクロスプレーとなり、最初はアウトが宣告されたが、すかさず石井監督がリクエストを要求。僅かに鈴木の手がキャッチャーのミットの下に入っている映像がビジョンに流れ、イーグルスファンからは喝采の拍手。ジャッジがセーフに変わり、イーグルスが0-1と先制する。下位打線で先制点を獲ることができたのは大きい。更に打順が先頭に返り、山﨑が三遊間を破るヒットで炭谷も生還して0-2。イーグルスにとって喉から手が出るほど欲しかった得点が先に入る。

2回裏、マリーンズはすぐさま反撃。先頭の5番・エチェバリアと山口の連打で無死1,3塁とチャンスを作り、7番・岡が4-6-3の併殺で倒れる間にエチェバリアが生還。マリーンズが1点を返して1-2となる。1点は返されたが、岸にとっては最善の形でピンチを脱出。

3回は両先発が無難に抑え、次にチャンスがやってきたのは4回裏のマリーンズの攻撃。この回は2回と同様、再びエチェバリアが先頭だ。前回打席でピンチの端緒となったことが岸のメンタルに若干影響したか、四球で出塁を許すと、続く山口がフルカウントまで粘り、最後は岸の勝負球の直球をレフト線に弾き返して2塁打に。1塁走者のエチェバリアが一気に生還し、2-2の同点。イーグルスは試合中盤でアドバンテージを失う。

同点となった直後の5回表、上位打線を迎えたイーグルスは2死から浅村がこのシリーズ最初のヒットを放ちチャンスの糸口を掴むが、続く島内が見逃し三振に倒れてチャンス拡大ならず。いよいよ流れはマリーンズに行ってしまった。5回裏には2死2塁という局面で4番・レアードを迎えるが、ここは強烈な打球が幸いにもサード・茂木の正面に飛んで捕球し、ピンチ脱出。しかし流れがマリーンズに傾いている状況には変わりがない。

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6th-9th inning

6回裏、イーグルスは岸を下げて継投に入る。この回のマウンドに上がるのは今季主に中継ぎで出番の多かった安樂だ。先頭はこの日2打席とも出塁していずれも生還に成功しているエチェバリアだが、ここを三振で抑えてまずはひと安心。しかし次の山口が安樂の直球を弾き返すと、打球はライト方向に切れながら伸び、ポールを直撃する勝ち越しのソロHRで3-2。遂にマリーンズが逆転に成功する。山口は3安打2打点の大活躍だ。同点のままでも有利なマリーンズだが、勝ち越しに成功したことで球場には俄然「勝った」という感じの雰囲気が漂う。

風雲急を告げたのは直後の7回表だ。マリーンズは本日バットで大活躍の山口を早々にベンチに下げる守備固めの采配。イーグルスの立場からすると、これほどありがたい交代は無い。この回の先頭は2回に先制タイムリーを放っている炭谷だ。この回も続投した小島のストレートにうまく合わせて弾き返すと、打球はセンター方向にぐんぐんと伸びて、バックスクリーン横に飛び込む同点のソロHR。イーグルスが再び3-3の同点に戻す。

更に打順が先頭に返り、山﨑が2塁打を放って無死2塁とすると、岡島が倒れる間に山﨑が進塁、更に次の浅村が粘って四球を選び、1死1,3塁と再び大チャンス。続く4番・島内は、レフト前に弾き返す見事なヒット。山﨑が生還して3-4となり、イーグルスが終盤で再逆転。島内は昨日の第1戦の逆転タイムリーに続く大仕事だ。さすがはパ・リーグ打点王、鳥肌ものの試合展開である。マリーンズはここで小島を交代。イーグルスは依然として1死1,2塁のチャンスが続くが、代わったマウンドに上がった国吉を相手に銀次と茂木が相次いで倒れ、マリーンズもピンチ脱出。イーグルスとしてはここでもう少し畳みかけたかったか。

7回裏、イーグルスは酒居がマウンドに上がる。今季の継投における必勝パターンだ。代打・角中を三振にとると、打順が先頭に返って1番・荻野からも三振を奪い、あっという間に2死。このまま三者凡退に抑えれば完全にイーグルスのゲームになるところだが、次は2番・マーティン。フルカウントとなってから低めのストレートを捉えられると、打った瞬間にそれと分かる打球がライトスタンドに伸びていく。同点のソロHR。マリーンズが4-4の同点に追いつき、またしてもアドバンテージを奪回する。

8回表、マリーンズは必勝パターンで佐々木千隼をマウンドに上げる。イーグルスは敢え無く三者凡退。続く8回裏、イーグルスは昨日に続き松井を投入する。1死からエチェバリアに内野安打を許すものの、続く藤原の場面でマリーンズが仕掛けたバスターエンドランを4-6-3の併殺に仕留め、イーグルスも良い形で守備を締め括る。いよいよ運命の最終回だ。

9回表、イーグルスはこの回で絶対に勝ち越さないといけないが、マリーンズの投手は守護神の益田。1番・山﨑からの好打順であるイーグルスは、1死から岡島が一二塁間を抜けるシングルヒットで出塁。続くのは今季打撃不調に苦しむ浅村だ。引っ掛けた打球が内野に転がり、ZOZOマリンは4-6-3の併殺を期待して早くも大きな歓声が上がる。2塁はフォースアウトとなるが、浅村が執念のヘッドスライディングで1塁に滑り込み、間一髪のタイミングでセーフ。2死1塁と踏みとどまる。球場からは驚嘆の溜め息だ。迎えるのは4番・島内。これ以上ないシチュエーションとなったが、島内のバットから放たれた打球は平凡なライト方向のフライ。マリーンズファンが固唾を飲んで見守っていたが、岡が捕球してアウトとなった瞬間、スタンドからは大歓声が上がった。4-4の同点ではあるが、9回打ち切りのレギュレーションによりコールドで試合終了。マリーンズが2戦で1stステージを突破し、オリックスと戦うファイナルステージに進出。ビジョンには「UP NEXT: OSAKA」の文字が大きく映し出されていた。

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impressions

実にCSらしい、1つ1つのプレーに重みのある試合だった。得点経過は全ての得点が1得点ずつ入るという、まさに両チームが執念で得点を削り出すような展開だった。その中で僅かにマリーンズの打力が上回ったということなのだろう。ペナントレースでもマリーンズの方が上位だったわけだし、今季のイーグルスはとことんマリーンズに勝てなかった。2戦で敗退したのは実力どおりだし、潔く負けを認めるのみだ。

このシリーズに関していえば、マリーンズにとっては勝負どころでの一発が出続けたのが大きかった。今日に関しては6回に山口、7回にマーティンがそれぞれソロHRを放ち、いずれもチームを大きく勝利に近づける1点となっている。特に山口は前述のとおり3打数3安打で2打点を稼ぎ出し、勝利に繋がる最大の立役者となった。その前を打つエチェバリアと併せ、上位打線の後に続くこのコンビは実に嫌なもの。イーグルスも岸が相当嫌がっているのが手に取るように分かった。

イーグルスは下位打線が粘りを見せた試合だった。2回の鈴木のヒットをきっかけとする先制点への流れや、7回の炭谷の一時同点となるHRなど、マリーンズを苦しめる力強さを持っていた。マリーンズの小島は初回から変化球が引っ掛かり気味でボールになりやすく、ストレートで勝負しているように見えたので、狙い球を絞れば勝負はしやすかったはず。小島が投げた6回1/3で4点を獲れたのは、上出来といって良いだろう。

イーグルスにとっては、第1戦のサヨナラ負けが思った以上に重く圧し掛かった。せめて第1戦をドローで終えていれば、この試合もドローで即敗退とはならず、第3戦の一発勝負での決着に持ち込めていただけに、昨日の松井と宋家豪、そして今日の安樂・酒居と、今季のブルペンを支えてくれた救援の4人が相手打線に捕まったのが痛恨だった。ただ、彼ら全員が今季のイーグルスにとって大きな存在であったことは今更疑いの余地が無い。松井の負傷離脱などがあった中でここまでやり繰りできただけでも充分ではないだろうか。9回には島内まで打順が回るなど、これ以上無い局面を作り出してもなお勝てなかったのだし、未練を残しても仕方が無いだろう。

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かくしてイーグルスの2021年シーズンはこれにて終了。試合後にはビジター席を前にイーグルスの全選手が整列し、挨拶を行っていた。どうかこの試合がシーズン最終戦にならないようにと祈っていたが、祈りは通じず。今季は結局楽天生命パークには一度も行けず、この試合を除くと、神宮での交流戦を1試合観ることができただけ。来季も仙台へ応援に行けるかどうかは分からないが、既にファンクラブの継続申込みは済ませてある。引き続き、微力ではあるがイーグルスの後押しをしていきたい。

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