#1 映画『命乞いコレクター』企画書公開!
初めまして、脚本家・映画監督・舞台演出家の渋谷悠です。長年温めてきた長編映画『命乞いコレクター』(仮)の企画内容や脚本の一部をここ映画前夜で連載します。ぶっちゃけ「これ面白い!」と思ってくれるプロデューサーと出会いたいです。連絡待ってます!
映画前夜とは:眠ってしまった脚本、映画化されるアテが今のところない脚本を公開します。誰かの目にとまり、映画になる、前夜の脚本たちを公開します。賛同し、参加してくださる作家さんも募集しています!参加監督<2020.4.1現在>: 田中雄之(あの田中)、渋谷悠、大川祥吾、洞内広樹
『命乞いコレクター』連載の特徴
まだ形になる前の作品なので「こんな展開だけどどう?」とか「ここどうするか悩んでる」というふうに、プロセスも見せていこうと思います。「一緒に成立させたい」と思ってくれそうな人に、貢献する余地があることをアピールしたいのも狙いの一つです。
で、どんな話なの?
一言でいうと、命乞いを集めている殺し屋の話です。
なんで?どうやって?
来る日も来る日も誰かに頼まれて、個人的に恨みがあるわけでもないターゲットの命を奪う日常は、退屈してくると思うんです。そこで、主人公である殺し屋のヌエは「命乞いをしてみろ。面白かったら逃してやる」と言うようになり、ちょっとした儀式に発展します。
これを繰り返すうちに命乞いのバリエーションをノートに書き留め、ヌエは「命乞い集」を持ち歩くようになります。きっと命乞いに番号を振ったりしてるんじゃないかな。こんな感じのシーンがあったら面白い:
ターゲット「待ってくれ!俺には女房と子供がいるんだ!」
ヌエ「出たー、また4番が出ましたぁ。これ速攻アウトなやつです」
・・・きっとヌエは、必死に命にしがみつく奴に出会いたいんだと思います。あるいは、体験したことのない感動を求めている。殺し屋なのに「殺すのは惜しい」と躊躇する状況に追い込まれたい。
そんな殺し屋ヌエのイメージイラストをご紹介します。ターゲットに対するリスペクトから、仕事をするときはスーツを着るというポリシーがあります。血塗れの地球儀を持っているのは、地球儀でターゲットをボコボコにするシーンをイメージしているからです。これ自体が何かのメタファーになりそうで気に入っています。(世界は血を流している、みたいな。言葉にしちゃうとアレですけどw)
ちなみに、この連載で紹介していくイラストは全てクリエイターのシーズン野田さんによるものです。野田さん、ありがとう!
ヌエは殺しの報酬の使い道に困っていて、チャイルドスポンサーをしています。ウガンダの小さな村に住む「ババランダ」という子供です。手紙が送られてきて「お仕事はなんですか?」と聞かれ、困るヌエの姿とか面白いんじゃないかな。
ログラインって難しい
さて、映画にはログラインなるものがあります。ログラインとは、映画の内容をサクッとまとめたもので、3行にしろとか1行にしろとか、よく耳にする「あらすじ」より短いものです。企画書を用意するときは何しろこれが難しい。難しいけど避けて通れないのでやってみました:
人殺しに飽きた殺し屋が、
退屈しのぎにターゲットに命乞いをさせる。
いつしか殺し屋は、感動する命乞いを求めるようになる…。
一番最初に考えたログラインがこれでした。最後「…」を使っているところが「まだもっとあるんだけどね」と言いたげで、ボツにしました。映画の企画コンペなどがある度にログラインを書き直し、こんなものも生まれました:
命乞いを集めている殺し屋、ヌエ。「俺を感動させたら生かしてやる」と。ひょんなことから、ヌエ自身が命乞いをするハメになる。命乞いコレクターは、その時なんと言うのか?
台詞を入れたり、最後に質問を入れたりして、色々やってるんですが、よくなっているとは言えない気がします。大体「ひょんなことから」とか言っちゃダメでしょう、文字数が少ない戦いなのに(笑)
そして、こちらが三池崇史監督による企画コンテスト「カチンコプロジェクト」用に書き直したログライン:
命乞いを強要し、それを書き溜めてきた殺し屋、ヌエ。
立場が逆転した時、彼はどんな命乞いをするのか?
これだあああ!って感じじゃないかも知れませんが、今のところ僕が出せる最も端的で最も興味深いのがこれでした。命乞いのエキスパートが、自分で命乞いをしなくちゃいけなくなった時、なんて言うだろう?僕が作品を書く上で、一番知りたいことだから、それをメインにしたのです。
最後に:ログラインで苦しんでる方は、こちらの記事をご覧ください(僕のじゃないです)。ひっじょーに分かりやすく、段階を踏んで書き方を教えてくれています。
次回予告
次回は「企画のテーマ」と他の登場人物を紹介します!
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