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#5 映画『命乞いコレクター』"虫の息"のシーン、他

さて、今日からは脚本の一部を公開していきます!なぜ一部かというと、全部見せたくないからではなく、単純に書けていないから・・・。
なので、想像で間を埋めていってください!

以下のシーンは、なんとなく映画のオープニングをイメージした内容です。映画の始まり方って二種類の擬音語に例えることができます:
① バンっと始まる
② ジワーっと始まる

このシーンはジワーっと始まるタイプです。
(ノートの仕様上、通常の脚本書式にしづらいので:ト書きは1行目のみ字下げ、セリフは強調で表記します)

【虫の息】

◯どこかの倉庫
  真っ暗な画面。死にそうな男の声が聞こえてくる。
  フェードイン。うつ伏せの男の横顔、周りは血だらけである。
  ヌエの足がフレームイン、特徴のある靴だ。
ヌエの声「アレ実際に効いたらいいのにねぇ。痛いの痛いの飛んでけってヤツ」
  と、言いながら足で男の顔を横に向ける。口から血が流れている。
  ヌエ、回りこんで床の血に指を付ける。
  うつ伏せの男の背中に何かを書きながら、
ヌエ「遺言ありますかー?」
男「(何か言うが聞き取れない)う…ぁ…」
ヌエ「間違えた。順番。遺言聞いてからこうすれば良かった、ははは。(男に)あるー?ないー?」
男「(またしても聞き取れない)」
ヌエ「(浜崎に)なんつってる?」

  部下の浜崎、なるべく耳を男に近づけるが、
浜崎「分かりません。虫の息です」
ヌエ「(同じく耳を男の口元に近づけて)ほんとだ、虫の息だ。日本語っていいねぇ…」
  暗転。

この暗転に合わせて音楽が入ってくるとかっこいいんじゃないかと。

もう一つはやはり、ヌエが命乞いを強要するところから始まるパターンでしょうか。「いいもん見せてね〜」「生き死にがかかってるよ〜」とアゲアゲな感じ。で、ヌエとしては何度も聞いたことのあるタイプの命乞いが始まり、途中で銃をぶっ放し、そこで音楽。
これがバンっと始まるタイプ。

二つのことが同時に進行するシーン

僕が「上手い脚本だなぁ」と思う要素の一つに「二つ以上のことが同時進行している」というのがあります。一つのシーンの中で。
次に紹介するシーンでは、ヒロインは主人公に構ってもらいたいという目的に向かっていて、主人公は殺しの真っ最中。カット割りで殺しの現場であることが少し後に分かるとユーモアがあるかな、と。
(あ、さっきのシーンの続きじゃないです。中盤よりの序盤のどこか)

【あたしと殺し、どっちが大事なの?】

◯どこかのリビング
  落ち着かない様子の女が、高そうなソファにどかっと座っている。彼女の名は梓、ヌエの女である。不安を撒き散らす以外なんの取り柄もないが、割りきってしまえばエンターテインメントなのだろう、それなりに大切にされ、その証拠に今も仕事場に連れられている。
  梓、次の台詞の途中でヤクルト5連パックを開けずにストローを差す。
梓「確かにさ、あたしの作る料理はしょっぱいか味が無いかのどっちかだよね。それはごめん、マジごめん。あたしも何で自分の手からこんな不味い物が生まれるのか不思議でしょうがない。じゃあ努力してないかって言うとやっぱ愛の力って凄いよね、世界変えられるって思ったよね、だって店から帰ってきてもう夜中なのにレシピ開いて連日研究。見せたいよ、健気過ぎるおのれの姿を」
  ヌエ、凶器になりそうな物を探しながら、
ヌエ「じゃあ今度見せてよ」
梓「面倒臭いって思っていいから言うけど最近キスも無いじゃない。あたし下手、ひょっとして?あたしのディープキスって牛タンの叩き食べてるみたい?」
ヌエ「俺、牛タン好きだよ」
梓「あたしも。今度作ってみるね」
ヌエ「それはいい」
梓「ねえ本当はさ、女がいるんでしょ」
ヌエ「(食い気味で)いない」

梓「嘘」
ヌエ「じゃない。(地球儀を見つけて)これでいっか」
梓「嘘なんてすぐバレるよ。嘘の寿命なんて短いんだからね」
ヌエ「そうだね」
梓「やっぱ嘘なんじゃん」
ヌエ「梓」
梓「(名前を呼ばれてドキッとした)なに?」
ヌエ「この話し今じゃなきゃ駄目?」

  その部屋には椅子に縛られ、猿轡をはめられた男が今にも殺されようとしていた。
  待ちくたびれた浜崎、寝ている。
梓「ついに言わせるのね。こんなこと言う女はみーんなまとめて空中分解しちゃえばいいと思ってたけど、やっぱあたしも女なんだね。(深呼吸して)あたしと殺し、どっちが大事なのよ!?」
  ヌエ、表情一つ変えず、地球儀を置いて梓に手招きをする。
  嬉しそうに近づく梓。ヌエ、力強く梓を抱きしめる。
ヌエ「梓は、俺のこと大事に思ってくれてるだろ」
梓「うん」
ヌエ「俺も同じ」
梓「(嬉し涙を浮かべ)そうだよね、ごめんね」
ヌエ「俺も、俺が大事」
梓「ん?」

  ヌエ、いきなり抱擁を解いて、地球儀を掴み、縛られた男の頭部を殴る。
  ベリっと男の口元のガムテープを剥がし、
ヌエ「お待たせしました。なんかごめんなさいね、個人的なゴタゴタ持ち込んじゃって。忘れてください」
男「(黙ってヌエを見ている)」
ヌエ「差し支えなければ、あなたにはこれから、命乞いをしてもらいます」

映画の構成上、序盤はいくつか命乞いのシーンが登場するでしょう、多分。そうなると、今度は命乞いを飛ばすシーンなんかも欲しくなる。ヌエのリアクションで大体どんな内容だったか見せられますしね。
なので、ここなんかは「命乞いをしてもらいます」の後に時間経過を入れちゃう。

【血だらけの地球儀】

◯どこかのリビング
  時間経過。男は椅子に縛られたまま撲殺された様子。
  未だに拗ねている梓、壁に背を付けて体育座りしている。
  ヌエ、血だらけになった地球儀を梓の近くに置いて、
ヌエ「プレゼント・フォー・ユー」
  と、隣に座る。
梓「いらないよ、そんなの」
ヌエ「好きなところ連れてってあげるよ」
梓「(一瞬にして喜び)本当!?」
ヌエ「ただしそうだな、血の付いてない国」
梓「なにそれ面白い!」

  と、地球儀に飛びつき、回し始める。
  浜崎、息をハッと吸うと同時に目を覚ます。
浜崎「(様子を見て)あれ、終わっちゃいました?」
ヌエ「おう。なに、寝不足?」
浜崎「(歩きまわり)なんすかね、部屋の掃除始めたらなんかスイッチ入っちゃって、家具とか全部どかしたりして…(ヤクルト5連パックを見つけて)これもらっていいすか?」

ヌエ「ご自由に〜」
  浜崎、そのままストローをさして飲む。
梓「ねえこのブータン、なんてどう?」
ヌエ「どこだよそれ」
梓「知らない、なんか右上」
浜崎「あ、俺夢見てたわ…。片腕が無くなる夢。そんでテニスやってた、片腕無いのに。すげーな、夢の中の俺」
ヌエ「ブータン。なんかキャラの名前っぽい」

梓「あ、分かる!こんな丸くてピンクで(可愛く)ブータンって感じ」
浜崎「相手外人だったなぁ。超ゴツい外人…」

  ヌエと梓、ブータンブータン言いながらお互いの鼻を突いたりしている。

もちろんこのシーンの最後のカットはイチャイチャしているヌエと梓の奥に、撲殺された男が映っている。同じフレームの中でコントラストが作れるといいですね。そういうカットばっかりの映画にしたい。

次回予告

さて、次回は殺す側ではなく殺され(そうにな)る側のシーンをいくつかご紹介します。クズ男の冨田や彼が好きになる日向子などのシーンです。

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