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映画「ラストレター」相関図。

概ね「ラストレター」

初恋の人と、初恋の人の初恋の人である姉のフリをして文通するお話。

ラッキーアイテムは言わずもがな、「お手紙」。

2時間くらい。

青春時代のキラッキラの恋。
中年時代のかつての恋を懐かしむ哀愁。
コントラストがとても美しい。


初恋を引きずっているあなたに。

概ね「ラストレター」(若干ネタバレ注意)

以下、ネタバレ注意













概ね「ラストレター」ネタバレ版。


起 奇妙な文通

姉の死を伝えられず、姉として同窓会に参加することになったユウリ。帰りのバス停で姉の同級生で小説家のオトサカに声を掛けられ、連絡先を交換する。
「小説、読んでくれた?」もちろん知らないが気になるユウリに対し、オトサカは「今度会えたら話す」と告げる。
家に帰ったユウリは、オトサカからの姉ミサキに対する恋慕のメッセージを見た夫にスマホを壊される。便箋を使いオトサカに対しスマホが壊されたこと、自分の住所を伝える気がないことを告げる。しかし、「最後の手紙」と言いながら何通もオトサカへ手紙を送ってしまう。オトサカもアルバムから実家の住所を調べ出し手紙を送る。

ユウリとミサキの実家では、ソヨカとアユミがオトサカからの手紙を受け取る。母親たちの恋愛に興味を持った彼女たちもまた、故人ミサキのフリをしてオトサカに手紙を書く。

そして、オトサカの手紙で青春時代が明らかになる。
ユウリとは同じ生物部だったこと。
ミサキに一目惚れし、ラブレターを書き、ユウリにミサキに渡すように頼んでいたこと。
ユウリは手紙を渡していなかったこと。
問い詰めるとユウリはオトサカにラブレターを渡したが、オトサカはその気持ちに全く気付いていなかったこと。
卒業式の答辞は、ミサキとオトサカの2人で作り上げたものであること。

承 オトサカ仙台へ

ある日、義母のデートらしき現場を見かけたユウリ。義母と同級生が同窓会をきっかけに文通を始めたことを知る。義母のために手紙の仲介をする中で、同級生の住所を手紙の受け取り住所として使わせてもらうことを思いつく。
しかし、オトサカはその住所を突然訪ねてきてしまう。
ユウリは、オトサカが同窓会でユウリだと気付いていたことを知る。オトサカは、ミサキが夫アトウのせいで精神を病み自殺で死んでしまったことを知る。
そして小説とは、オトサカが大学時代に付き合っていたミサキとの思い出を書いた「未咲」のことだった。
「姉のフリをして手紙を書いていることで、まるで姉が生きているように感じました。」
「あなたがお姉ちゃんと結婚していてくれたらな。」

オトサカは、ミサキの夫だった男アトウを訪ねる。姿を消したと思われていたが、結局居場所がなく帰っていたのだ。ミサキの自殺を告げ、非難するオトサカだったが、アトウは反論。
「自分が結婚していれば、などと思っているのか。」
「お前が唯一書いた小説だって、ミサキがお前を振ったから書けたもの。あれは俺とミサキからのプレゼントだ。」
オトサカは何も言えず場を後にする。その際、アトウの同居人であるサカエから「未咲」へサインを求められ応じる。

転 「未咲」

廃校となった母校を訪れるオトサカ。ふと外を見ると、高校時代のミサキとユウリにそっくりな少女たちを見つけ、娘たちだと確信し思わず声をかける。すると、アユミもまた、手紙の主のオトサカではないか、と言う。運命的偶然を感じながら、線香をあげるためアユミに連れられユウリらの実家を訪れる。
ミサキの死を実感するオトサカ。
アユミもミサキも何度も何度も「未咲」を読んでいたこと。
ミサキが小説の元になったオトサカからのラブレターを宝物として保管していたこと。
「こんなにも母を想ってくれている人が、いつか母を迎えに来てくれる」とアユミの心の支えになっていたこと。
オトサカが母に会いに来てくれたことを喜ぶアユミ。「でも、もっと早く迎えに来てくれれば良かった」と冗談交じりに言う。そして、アユミから「未咲」へのサインを頼まれ応じるのだった。

結 次の一歩

東京に帰る際、ユウリの元を訪れるオトサカ。「自分はやっと前に進める。小説と向き合える。」別れの握手をする二人。「やっと先輩と握手できた。」
オトサカも、そしてユウリも、初恋の未練から解き放たれたのかもしれない。そして、ユウリもまた、オトサカに「未咲」へのサインを頼むのだった。
サヤカは、アユミに対して学校に行きたがらなかった理由が、恋心だったことを告白し、学校へ行くと宣言する。そして、アユミに対して「未咲」について尋ねるが、あえて聞かずに自分で読むことを決意する。ソヨカもまた、一連の出来事を通して成長したのだ。
アユミはついに母の残した遺書と向き合う。封筒に入っていたのは、かつてミサキがオトサカと共に書き上げた卒業式答辞の原稿。そこには、輝かしい未来の可能性について書かれていた。アユミが何を考え、これを遺書にしたのか。少なくとも、皆が明るい未来に進んでいくことを予想させるのだった。



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雑記**

めちゃくちゃ良かった。
映像がきれい。

特に、高校時代の回想。
「君のお姉さんはひどいことをするなあ…。でも、許す。」
ラブレターを妹に読み聞かせられていると言われたオトサカ少年のセリフ。情景がとにかくキラッキラで、表情も素晴らしい。
そして、姉への恋心を聞かされているユウリも、複雑な表情で憧れの先輩を見つめるわけです。ユウリにとっては(気付いていないとはいえ)残酷なオトサカの仕打ちですが、ユウリも許しちゃうんですね。好きだから。うーん、甘酸っぱい。

前半の複雑な文通もすごいですね。
ユウリは、姉ミサキのフリをしてオトサカに自身の生活について手紙を送る。オトサカが手紙を送ってくるなんて、夢にも想っていない。
アユミとサヤカは、オトサカの返事を受け取る。母(叔母)ミサキのフリをして、過去を尋ねる手紙を送る。終盤で明かされるが、ミサキはオトサカとミサキの過去を知った上で、手紙を催促している。ユウリが文通に関与しているとは予想していない。
オトサカは、ユウリがミサキのフリをして手紙を送っていると気付いているが、娘たちに届き、娘たちの返事が混ざっているとは知らない。

絶版になった「未咲」3冊と出会い、サインしたオトサカ。
「未咲」はそれぞれ
過去辛い時期のアユミを支えており、
作品中でユウリにも少なからず影響を与えた。
そして、「これから読む」と宣言したサカエやソヨカにも影響を与えていくのかもしれません。

終盤、アユミが「未咲」の暗唱を始めるシーン。
ああ、小説家ってすごいなぁ、と。
言い回しがおしゃれ。アユミがどれだけ「未咲」を心の支えとして読んできたかが分かる、好きなシーン。
青春も中年も老人も、手紙という通信手段を使う本作。
仕事上でデジタル化が良いやん!とか、AI代替して!ってなるけど、文章で仕事したり気持ちを伝えるって素晴らしいことだなって思える作品。
いつか好きな人、大切な人に手紙で想いを伝えたりできたら良いですね。そのために今はこうやって文章を書く練習をしておこうと思います。

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