見出し画像

メタルスライムも逃げられない戦いがある〜フォードVSフェラーリ〜

皆さんは仕事に対して夢中になっていますか。

僕は全く夢中とは無縁で、毎週日曜日がきて月曜日から仕事が始まると思うと胃がキリキリしてくる。日曜日にだけ行われる胃の貫通工事みたいだ。
そんな工事を就職してから毎週そして何年も勝手に続いている。

しかしなんでこんなに仕事って嫌なんだろう。
なんとか意識改革をと思い、色々なことを試してみたがどうにもならない。
多分、仕事をしている上で逃れられない責任というものから逃げたいのだと思う。

だから僕は「メタルスライム」というゲームに出てくるモンスターにいつも尊敬の眼差しを送ってしまう。
そのモンスターはドラゴンクエストというRPGゲームに出てくる敵モンスターで、倒すと主人公のレベルを上げる為に必要な経験値を他のモンスターよりも多く貰える。しかしすぐに倒せるわけでなく、もたついてると逃げてしまうモンスターだ。
そう、彼らは主人公を倒すという仕事を放棄してさっさと逃げるのだ。

ゲームの世界とはいえなんて羨ましい!
上司からのプレッシャー、仕事への責任から逃げることさえ出来ずに苦痛を感じている日々を送っている自分にとっては是非ともメタルスライムに就職したい。

あぁ…なんでこんな社会人になってしまったのだろうか…
自分が戯言を言っているのはもちろんわかっている。
昔はもっとバリバリ働いて、スーツもビシッと決めて社会の前線で日の目を浴びて戦っている姿を想像していた。
しかし、今ではそんな人間とは真逆で社会のすみっこぐらしをしている。

そんな社会から脱落した自分が仕事に命を賭ける男達の映画を観た。

それは【フォードVSフェラーリ】だ。

画像1

作品名:フォードVSフェラーリ(製作:2019年 アメリカ)
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:マット・デイモン、クリスチャン・ベイル、他
あらすじ:
ル・マン24の絶対王者だったフェラーリに挑んだ男たちの実話物語。
キャロル・シェルビー(マット・デイモン)は名を馳せたレーサーだったが病により断念し、カー・デザイナーに転身していた。その時にフォードからル・マン24で勝てる、フェラーリに勝てるレースカーを作って欲しいというオファーがくる。
その為に扱いにくいが腕はピカイチなドライバー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)の力が必要と考え、自らオファーし一緒に戦っていく事になった。
そしてついにプロジェクトが動き出したが、本当の敵は社外ではなく社内にいた。
上司からの執拗な圧力に対してシェルビーはどう乗り越えていくのか。
そしてマイルズはル・マン24で宿敵のフェラリーに勝つことはできるのか。
出典:映画『フォードvsフェラーリ』公式サイト - 20世紀フォックス

※ネタバレはしてませんが、少しストーリーの描写が入っているので何も知りたくない人は飛ばしてくださいね

1:ハリウッド版下町ロケット+半沢直樹

色々なサイトで書かれているが、この映画の内容は下町ロケットと半沢直樹に近い。二作品の主人公である佃航平しかり、半沢直樹しかり、社長に媚びている上司や出向役員という社内の敵に、自分の力や仲間と一緒に戦う姿を描いている。
それをこの映画では、シェルビーとマインズという実在した二人が、フォードという世界的に有名な大企業と戦う姿を、熱く泥臭く魅せてくれている。
だからタイトルには「フォードVSフェラーリ」で企業同士の戦いというイメージがあるが、「現場VS上層部」という社内の戦いがこの映画の醍醐味だと思う。

もしこの映画を観る前にプロジェクトXのような技術力を見せる映画を期待している人からすると、肩透かしを喰らった気分になるかもしれない。
しかしそういうのを抜きにしても、外国でも同じように社内の障害と戦いプロジェクトに立ち向かったヒューマンドラマは観る人を虜し、働く勇気を与えてくれる。
それは自分の仕事に対するモチベーション、仕事に対するアクセルを踏み進む為のガソリンになること間違いなしだ。

2:映像+音の怒涛の迫力がル・マン24の入場チケットとなる

2020年から1960年代にタイムスリップする為の仕掛けをこの映画は施している。それが拘りに拘り、さらに拘りに拘り、もういっちょ拘りに拘った音と映像だ。

まず音だが、アクセルを全開に踏み込んだエンジン音、勝利と引き換えに命をかけて戦うレースカーがコースを走る音が五臓六腑全てに響き渡り、音を体感しているとはっきりわかる。それは映画が終わった後に外に出ると、道路を走ってる車の音が自然と耳につき、残響が残るインパクトがある。
また映像にも非常に迫力があり、一部CGを使っているがメイキング映像を観ると、クラッシュシーンは本物の車を大破させてレースのリアリティを非常に良く出し思わず目を瞑ってしまう。
その怒涛の音と映像の波が、気付いた時には自分がマイルズになりレースを走っている感覚を、また時には観客の一人になって一緒に声援を送っている。
そう、自分がその歴史的な瞬間のル・マン24に参加しているのだ。

だからこの映画は映画館、特にIMAXという映像・音響抜群で是非見て欲しい!


画像2

これだよ!こういう男達になりたかったんだよ!求めていた男がここにいるよ!
上司のプレッシャーを乗り越え、仲間達と一緒に仕事を成功した達成感。
そう、映像の中には昔、描いていた自分が確かにそこにいた。
そして同時に仕事に命をかけるなんて、そんなこと出来ないよと言っていた自分を全力で猛省した。

社会人として何年も働き、色々な人からの足の引っ張り合いや、上司の超理不尽に対して絶望し、逃げることしか考えてない自分からしたらこの映画は出来過ぎと思ったのも認める。

でもそれ以上に、こういう男が本当にいただけで勇気が湧くし、何よりただ時間が過ぎるのを待つ仕事に対して、本気で立ち向かえばこういうことが起こるよというメッセージを純粋な気持ちで観せてくれた。

だから勝手にこの映画から「ユー、そのままでいいのかい?」というメッセージを受けとった自分がいる。

メタルスライムよ、今こそ戦う時がきたのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?