キャッツ

猫派VS犬派〜キャッツ〜

「ワンちん…あ、犬が好き!」

「犬派か猫派ならどっち?」の問いの自分の返答だ。
そう、いい歳した大人が思わず「ワンちん」と言ってしまうぐらい、犬が大好きだ。

しかし子どもの頃は犬が好きではなかった。
すぐに吠えてくるし、初めて会ったのにベロンベロンに舐めてくる距離感の詰め方に自分は慣れていなかった。そして野良犬に全力で追いかけられたことがきっかけで、その恐怖がトラウマとして心の中にこびりついていたからだ。
その時は母親に泣きながら、「ぜーーったいに!猫を飼う!」と言うぐらい、自分の中では完全なる猫派だった。

そんな僕が犬を好きになったのは、ある女性と付き合ったことがきっかけだ。その人は愛でるということを表現しているぐらい犬を愛していた。
そんな姿を見ていると自分も自然とトラウマを忘れ、犬のことが好きになっていき、いつの間にか犬派に鞍替えっていった。

その犬派の力は強く、自分の中で圧倒的だったかつての猫派は消え去ってしまっていた。この映画を観るまでは。

作品名:CATS キャッツ(製作:2019年 アメリカ)
監督:トム・フーパー
出演:フランチェスカ・ヘイワード、テイラー・スウィフト、イアン・マッケラン、ジェニファー・ハドソン、他
あらすじ:ここはロンドンの片隅にあるゴミ捨て場。そこに一匹の猫、ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)が袋に入れられ捨てられた。何者かに袋を破られ、恐る恐るその場を見てみると様々な猫がいる。
そう、そこは人間達に媚びず、気高く生きる個性豊かな猫達「ジェリクルキャッツ」が集う場所。そして今夜はその中から新しい人生を生きることを許される猫が選ばれる、一生に一度、一夜だけの舞踏会が開かれる特別な夜だった。
出典:映画「キャッツ」公式サイト

●キャッツのブロードウェイにようこそ

この映画はあの超有名なミュージカルを映画化したものであり、ほぼいきなり初っ端からミュージカルで映画が始まる。そしてそこから息つく間もなく続く歌とダンスの嵐。普通のセリフは全体では全然無く、とことんミュージカル映画として作られている。 

だからこそプロのダンサーはもちろん、豪華キャストが次から次へと様々な「キャッツ」を演じ、そこで繰り広げる個性的なパフォーマンスはニューヨークにある有名な舞台、ブロードウェイを感じるものがあるかもしれない。
だからストーリーというよりも、個性豊かなキャッツの演技を楽しむことがこの映画を一番楽しむポイントだ。
ここでは多すぎて挙げれないが、演技の中でもジェニファー・ハドソンが歌い上げる「メモリー」は必見間違いなし。

●最初からネタバレを観る必要性が100パーセント

しかし、ここまで特化したこそ弊害もある。
もちろんミュージカル映画ということは知っていたが、ほんの一時間前まで仕事をして性も根も尽きている自分からしたら突然始まる怒涛の歌とダンスに、最初は全然追いつかなかった。
それ程までストーリーやキャラクターの説明もほぼなく、歌の内容やダンスで把握しないといけないので、全く何も知らない人は置いてけぼりを食らう。
そして何より「これは…夢に出てきそうや…」という衝撃的なビジュアルと、巷で言われているような戸惑いは確かに多かった。

良くも悪くもこの映画は世界観が独特すぎるのである。
舞台でさえ世界観やストーリーがよくわからないという人がいるのだから。
なのでハマればこれ以上のないショー、ハマらなかったら理解できない不気味な作品という諸刃の刃な映画だと思う。

もしこの作品を最大限楽しむ為には、どういうキャラクターが出てくるのか、ネタバレになってもキャッツのストーリーを知っているほうが絶対いい。これは騙されたと思っても是非して欲しい。

この映画に置いてけぼりをくらっていた時、ふと僕が猫派で、猫カフェに通っていたことを思い出していた。
なんとか店の中にいる猫の気を惹こうと、あれやこれやとお金にものをいわして餌を買う。ただ、彼らは気まぐれで全然振り向いてくれないことの方が多く、手元に残る餌が寂しそうに乾燥していってた。
もちろん野良猫を見かけると「チッチッチッ」とやって呼んでも遠くに逃げてしまい、将来猫を飼えることは出来ないのではと何回も絶望していた。

でもそれが彼らの生き方なのだ。
勝手に人が猫派とか犬派とか言っているだけで、彼らには全く関係ない。

最後の方で、猫の生き方は人間に似ているという歌詞を歌うシーンがあるが、本当にその通りである。
動物も人間も同じようにそれぞれの性格があって、「キャッツ」と同じように自由に生きているに違いない。

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