見出し画像

LE VOCI DI DANTE / ダンテの声(2023年5月5日・イタリア文化会館アニエッリホール)

イタリア映画祭2023の開催に合わせ来日したトニ・セルヴィッロ。せっかく日本に来たのであればと、一晩だけの朗読劇が開催されました。

ジュセッペ・モンテサーノの台本によるダンテの『神曲』を引用しながらの朗読劇。最初にプロデュースしたピッコロ・テアトロによるとオリジナルは75分ですから、東京公演の40分はダイジェスト版ということになります。

満席の観客に向けて圧巻の朗読劇を披露したトニ・セルヴィッロ。カーテンコールを4回も受けるほど、大きな拍手に包まれていました。観客はイタリア文学、演劇、映画に興味がある方々でしょうが、日本語字幕も甚だ不正確なこの夜の朗読劇の内容を理解できた観客がどれだけいたかは分かりません。

幸いなことに『ダンテ論』を上梓した原基晶氏と一緒に観劇したので色々と解説を聞くことができました。この夜の出し物のポイントは①煉獄篇からの引用が無かった②モンテサーノの神曲の解釈は1960年代のそれである③ロマンチックな側面ばかり強調されていたとダンテの第一人研究者からすれば学術的には批判されるべき内容ではあるものの、朗読劇という限られた手法でトニ・セルヴィッロは『神曲』の宇宙創造を試みステージ上に星々が煌めくかのようでした。ジュセッペ・モンテサーノの台本にボブ・ディランまで登場したのには少々驚きましたが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?