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【アジア四方山話:第2回】「ロード・オブ・ザ・リング」=難解? 「るろ剣」に見たのは“金庸感”

読者の皆様、こんにちは。

映画.com編集部の岡田です。

こちらのコラムは、映画.com本体で連載されている「どうなってるの? 中国映画市場」の番外編のようなもの。

同コラムを執筆している映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)さんとの“駄弁り”を公開していきます。

今回の内容は、5月11日の“駄弁り”でございます。お楽しみください!

■ベルリン、大阪アジアン――ヘトヘト状態で再認識した、映画祭が目指すべきもの

岡田 さて、次回コラムに関する打ち合わせは、これにて終了! お待ちかねの駄弁りタイムです。前回は、2021年1、2月を中心に話しましたので、今回は3、4月について。3月のトピックス、あります?

 3月前半は、ベルリン国際映画祭(第71回)からの大阪アジアン映画祭(第16回)――まさに“映画祭漬け”。とにかく忙しかった……。

岡田 ベルリンの感想から聞きましょうかね。

 今回のベルリンは、オンライン開催。昨年、いくつかのオンライン映画祭に参加しましたけど――フィジカル開催の場合、スケジュールが事前に組み立てられるじゃないですか? 「(スケジュールの都合、会場の移動があるため)これは見られる、これは見られない」って。だから“鑑賞欲”が抑えられるんですが、オンラインになると「全部見たい!」という気分になっちゃうんですよね(笑)。

岡田 あー、それはわかります(笑)。僕も体力が続く限り“見ちゃう派”です。

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ベルリン国際映画祭ポスター

 今回のベルリン、24時間区切りでラインナップが変わるんです。24時間毎に大体20本だったかな? だから「全部見る」ってのはありえないでしょ? コンペ作品は、毎日3本配信という設定。1日のうちに、その3本を見るのだけでもしんどいんですよ。最初の2日間は、やる気十分、興味津々だったんですけど……3日目で「もう頑張らなくてもいいかな」って(笑)。

岡田 そもそも「映画館で見る」「家で見る」という時点で視聴環境がかなり異なりますし。そりゃ疲れますよね。

 幸いなことに、金熊賞を獲ったルーマニアのラドゥ・ジュード監督作「Bad Luck Banging or Loony Pornは、2日目の上映。体力が余っていた頃に見ることができました。あれは衝撃的でしたね。でも、金熊賞を受賞するとは思っていなかったです。今年のベルリンは、カルロ・シャトリアン(元ロカルノ国際映画祭アーティスティック・ディレクター)が映画祭ディレクターだったので、少し傾向が変わるのかなと考えていました。でも「Bad Luck Banging or Loony Porn」は、昔ながらのベルリン映画祭らしい作品。受賞してもおかしくはない出来でしたけど「あら、本当に受賞しちゃった…」という感じ(笑)。あと、オンライン視聴のシステムがすごかった。作品の流出もほとんどなかったし、画質もブレーレイ並み。日本にいても、普通の喫茶店で鑑賞できるほどだったね。

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「Bad Luck Banging or Loony Porn」
(C)Silviu Ghetie / Micro Film 2021

岡田 他に、オンライン開催という観点で感じたことはあります?

 やっぱり足りない部分は「交流がないこと」ですよね。鑑賞者同士の交流もないし、劇場で見ていると、作品に対する反応がわかるじゃないですか? この点については、次に参加した大阪アジアン映画祭でプログラミング・ディレクターの暉峻創三さんと話した際、頻繁に出てきた話題なんです。結論としては「映画祭はオンラインじゃダメ」ということ。だからこそ、ベルリンもオンラインとフィジカルの2部構成にしたんじゃないかな。オンラインという手法自体には、反対はしません。直接ベルリンに行かなくていいしね(笑)。でも「祭(まつり)」だから。今年だけにしてほしいかな……。その点については、佐藤久理子さんが書かれて記事でも言及されていましたよね。

岡田 確かに映画祭で作品を鑑賞する時って、実はその前後が結構大切なんですよね。映画を見る前に話す。見た後に話す。

 「語り合う場」が必要ですよね。あと、暉峻さんは本当にすごい人だなと改めて実感することもありました。例えば、緊急事態宣言によって、大阪で映画祭が開催できなくなった場合。まずは審査員で賞を出す。そして、宣言明けに、別会社を通じて、大阪アジアン映画祭の特集上映的な考え方で、全ラインナップを改めて劇場で上映するということも考えていたようです。緊急事態宣言の有無にかかわらず「作品は、全て映画館で上映する」ということを、かなり前々から決めていたんです。

岡田 なるほど。「作品は、全て映画館で上映する」という部分に強い意志を感じますね。2つの映画祭で注目した作品は……コラムで言及しているので、そちらをお読みいただくことにしましょう(笑)。

 はい、そうしましょう(笑)。

■再上映された「アバター」を「アバター2」だと勘違い?

岡田 で、僕はちょっと気になっていることがあってですね。3月に「アバター」が「アベンジャーズ エンドゲーム」から世界歴代興行収入1位の座を取り戻したじゃないですか?

 中国で「アバター」が再上映されましたからね。

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「アバター」中国再上映版ポスター

岡田 そうなんです。で、当時連絡をもらいましたけど、その時に「『アバター2』だと勘違いして見に行っちゃった人が結構いるよ」って言ってたじゃないですか。どういうこと(笑)?

 これが中国の映画マーケットの未熟なところですよね(笑)。周りの情報だけを信じて「『アバター』やるの! 新作か! 絶対見に行く!」となって、見に行ったら「前と同じじゃん…」という感じ。100~200人くらいはいたと思いますよ。まぁ、ある事情も絡んでいると思います。21年の2月の月間興収は、歴代最高値だったんですが、3月は14年以来の最低記録だったんです。原因は、海外作品の不足。国産映画も旧正月期間で燃え切っちゃった。「一体どうすれば……」という時に、いきなり「明後日『アバター』公開します」と報じられたんです。

岡田 へー、急な公開決定だったんですね。

 でも、思っていたよりも、興収は伸びなかったかな。「アバター」は、09年に中国で公開されたんですが、当時の映画市場はまだまだ発展途上。だから、当時見逃した人、もう1度スクリーンで見たい人を狙ったと思うんです。宣伝期間も短かったから、あまり上手くいかなかった印象。興収の差も少ないから「アベンジャーズ エンドゲーム」を再上映すれば、また抜き返すと思いますよ。

■「ロード・オブ・ザ・リング」=難解な映画? 求められている“わかりやすさ”

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「ロード・オブ・ザ・リング」中国再上映版ポスター

 それとね、4月に「ロード・オブ・ザ・リング」も公開したんですけど、その時に興味深い事態が生じたんです。若い方々に多かったんですが「難しい」って感想が見受けられたんですよ?

岡田 え? 「ロード・オブ・ザ・リング」が難解? 

 大体10~20年前の作品に対して「難しい」という感想が出てくることがあるんですが……多分、マーベル映画の影響もあるのかな。「ロード・オブ・ザ・リング」は、キャラクターが多すぎるみたい。それはマーベル映画にも言えることですけど、ビジュアルの差別化が明確でしょ?

岡田 あー、それは確かに。でも「ロード・オブ・ザ・リング」って、そんなにわかりにくいかな……。

 「内容がわかりにくい」「登場人物の顔が似ている」「尺が長い」って感想が結構あった。例えば、今の日本の若者が「ロード・オブ・ザ・リング」「マトリックス」あたりを初めて見たら、どういう感想を抱くんだろう。気になるな……。

岡田 上映されたのは、第1作だったんですか?

 4月に上映されたのは「ロード・オブ・ザ・リング」「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」。5月に「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」ですね。私はリアルタイムで見ていますよ。でも、そもそも当時見ている人が少ないのかもしれない。「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」が上映された時は、ちょうどSARSが蔓延していた頃なんです。住んでいた上海には、まだ影響がなかった時だったので、父と一緒に劇場に行きましたけど、ほとんど人がいませんでした。

岡田 以前「中国の若者は、映画に対する熱量が高い。昔の映画にも注目している」と聞いてましたけど……。

 いや、これはあくまで“一般層”の話。映画好きの若者は、勿論「ロード・オブ・ザ・リング」は見ていますよ。今の“一般層”がどういう作品を求めているのか――興味深い感想でしたね。

岡田 この話、それこそ前回の“情緒映画”(感情を誘発させる映画)に繋がりますよね。

 そうそう。“情緒映画”は、わかりやすいんです。そういえば、最近は「ロード・オブ・ザ・リング」のような作品は少なくなりましたよね。マーベルか、DCかの2択――歴史ファンタジーがない気がする。

岡田 中国では、DC人気はどうなんです?

 日本よりは人気があると思いますよ。皆「ダークナイト」好きですし。

岡田 “クリストファー・ノーラン監督作”だからですか?

 いや、公開当時は、ノーラン監督のことを意識はしていないんじゃないかな。マーベルと比べると少々“地味”だから、宣伝がしにくいので、あまり上手く展開できていない印象を受けます。ただ、スーパーマン&バットマンは、昔の人でも知っているので、マーベルよりも認知度が高いんです。“わかりやすさ”ということで言及するとなると、やっぱり「ワイルド・スピード」ですよね。新作の「ワイルド・スピード ジェットブレイク」は、5月上映ですが、最終的には20~30億元はいくんじゃないかな(6月1日時点では、12.29億元:約211.1億円)。

■中国人が好きな「名探偵コナン」の要素って?

岡田 4月の中国市場はどうでした?

 これもまた14年以来の“最低の月間記録”。トピックスとしては名探偵コナン 緋色の弾丸」の“ほぼ同時公開”というのがありましたね。でも、想像よりもヒットしなかったかな……。

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「名探偵コナン 緋色の弾丸」中国版ポスター
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

岡田 え? 「コナン」って人気あるんじゃないんですか?

 最近の劇場版は「エンタメ×アクション」重視になっていますよね。あと、日本ではコラボ展開も多いイメージで「コナンが日常生活に入り込んでいる」感じがしています。テレビ、漫画を読まなくても、劇場版単体で楽しめる。それとキャラクターにフォーカスを当てているような感じも。中国のファンにとっては、いまだに“昔のコナン”のイメージ像が強いんです。つまり「主軸はミステリー」「メインの話=黒の組織」というもの。

岡田 ということは、わりと謎解きの部分を心待ちにしているということ?

 そうなんです。放送1000回記念プロジェクトで「ピアノソナタ『月光』殺人事件」の「再起動(リブート)」版が放送されましたよね。あの時、中国でもめちゃくちゃ話題になっていたんです。シーン毎に演出を分析する人もいましたね。んー、つまりバトル系、アクション系の映画になっちゃうと「それなら『ワイルド・スピード』見ればいいんじゃない?」ってなっちゃうのかもしれない(笑)。日本とは楽しみ方の切り口が異なるんですよね。

岡田 難しいところですね。まぁ、基本的に、まずは日本のファンに向けたものであるべきだと思いますが……。

 それはもちろん! でも謎解きにも力を入れてもいいんじゃないかなぁと思ったりもします。ちなみに中国で1番人気のある劇場版は「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」なんですよ。

■著作権についての声明――解説動画クリエイターはどうなる? 「対韓国」の話題も

岡田 他には、ニュースありました? 映画絡みじゃなくてもOKですよ。

 大きなニュースとしては、国が著作権についての声明を出したことですね。今までネットユーザーが、映画やドラマの本編映像を抜き出して解説動画を作るという事例が多かったんです。ついに、国が「ダメ」と。最初はかなりの反発が起こりましたよ。「我々が発信していかないと、こういう作品は誰にも見られなくなってしまう」という意見。例えば、日本ドラマの海賊版が流出した時にも、この解説動画は出回ります。一般の人々は、その解説動画を見て、実際に本編を見るという流れなんです。でも、反発を受けても、国は「NG」を貫いてます。

岡田 その実情を知らなかったので、いまだに著作権に関しては“緩い”ってイメージがあるんですよね。

 映像の制作会社から、国に対して連絡が来ているみたいですね。今は罰則はないんですが……今後はアカウントの使用停止などもあり得るかも。

岡田 発信の場は、主にどこになるんですか?

 bilibili、Weiboが主流かな。

岡田 その解説動画って、実際に利益を得ている人もいるんですか?

 いるんですよ。再生回数によって、広告の分配金が出ますから。以前はオフィシャルの側から、有名クリエイターに解説動画を発注するという事例もありましたね。

岡田 まぁ、オフィシャルからの発注であればいい気が……。いや、そもそも、そのクリエイターたちは、グレーゾーンでのし上がってきたのか。そうなると複雑だ……。罰則が決まると、そういう人たちの活動も沈静化しそうですか?

 んー、活動を続けるための“別の方法”があるんじゃないかな……。いや、絶対あると思う。

岡田 止めようがないって感じか……。じゃあ前回に引き続き、韓国を絡めた話でもしましょうか。

 中国における「対韓国の制限」が緩くなってきた印象を受けます。CCTV(中国中央電視台)、KBS(韓国放送公社)が連携することもあったり。でも、今のところ、制限を撤廃するための明確な動きがない。その点は、多くの媒体が分析していました。「制限が緩くなり始めたばかりなので、まだ動きはないだろう」という意見も。中国と韓国の関係性でいえば、ドラマ市場の勢力図が、この5年間で随分変わりました。中国の国産ドラマが発展したので、以前ほど韓国勢の入る余地がない。今では韓流ドラマの後継として、国産ドラマが人気を博しているんです。

岡田 中国ドラマは勢いにのっている感じなんですね?

 東南アジアへの輸出も成功しました。それに日本でも中国ドラマに触れる機会が増えていますよね?

岡田 確かに。特にWOWOWが力を入れているイメージがあるかも。中国だけでなく、韓国、タイといったアジア圏の作品。加入検討か……。そういえば、コラムでは以前に「中国における日本発ドラマの可能性」なんてものも取り上げましたね。この記事は面白かったので、是非多くの方に読んで欲しいかも。

■アカデミー賞:中国で問題になるのは「ノマドランド」よりも“あの作品”

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「ノマドランド」
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

岡田 さて、4月トピックスの本命は、やっぱりアカデミー賞(第93回)ですかね。

 作品賞は「ノマドランド」一択だったから、授賞式はリアルタイムで見てない(笑)。

岡田 「ノマドランド」の受賞に関して、中国での反響はどうだったんですか? クロエ・ジャオ監督による“中国に関する批判的な発言”が影響して、ほぼ黙殺状態になっているような話も聞きましたけど。

 リアルタイムで報道していたところもあったけど、その後に投稿が削除されましたね。ゴールデングローブ賞(第78回)の時は「クロエ・ジャオは中国のヒーロー」という形で報道されていましたけど、わずかな期間で真逆の反応になっちゃうのがすごいよね。実はね、クロエ・ジャオ監督の件よりも、ある作品の方が“ひっかかった”可能性があるんですよ。それが短編ドキュメンタリー賞にノミネートされていた「Do Not Split(原題)」。

岡田 ノルウェーとアメリカの合作。内容は……なるほど。題材が「香港の民主化デモ」なんですね。以下のサイトに本編があがっていました。

 「Do Not Split」のノミネートがなければ、報道自体はできたんじゃないかなぁと思っているんです。ちなみにソーシャルカルチャーサイト「Douban」は、例年アカデミー賞の特設ページを作っているんですが、第93回に関しては削除されました(各作品のページは維持)。まぁ、そのうち再アップされると思いますけどね。

岡田 「Do Not Split」がオスカー獲っていたら、どうなったんでしょうね。

 すごいことになっていただろう、としか言えない……。「ノマドランド」は、既に中国での上映権が買われています。クロエ・ジャオ監督の作品だから“上映しない”? でもね、次作はマーベル映画の「エターナルズ」だよ? 「え、マーベル映画を上映しなくていいの?」ってなるでしょ。

岡田 マーベル作品を待ち望んでいらっしゃる方、相当数いますからねぇ~。そのうち「ノマドランド」も上映実現となるのかもしれませんね。

 そういえば、今回は国際長編映画賞のノミネート作品が軒並み良かったんですよ。受賞作となったデンマーク映画「アナザーラウンド」だけでなく、「皮膚を売った男」「少年の君」「アイダよ、何処へ?」もね。特に、ルーマニアの「Collective(英題)」が抜群に良かった。

岡田 「Collective(英題)」は、編集長・駒井が19年のトロント映画祭で注目していた作品ですね。ナイトクラブでの火災→怪我人多数→火災から数週間後、病院で多数の死者→何故?→病院で使用している消毒液が薄められていた!→次々と腐敗が発覚……。いやぁ、めちゃくちゃ見たい。

 「Collective(英題)」はね、全世界の社会に通じる話ですよ。「皮膚を売った男」「少年の君」「アイダよ、何処へ?」と合わせて見ると「世界、終わってんなぁ~」という気持ちになるかも(笑)。

■「少年の君」は“東野圭吾的”!「るろ剣」に見た“金庸感”

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「少年の君」
(C)2019 Shooting Pictures Ltd., China (Shenzhen) Wit Media. Co., Ltd., Tianjin XIRON Entertainment Co., Ltd., We Pictures Ltd., Kashi J.Q. Culture and Media Company Limited, The Alliance of Gods Pictures (Tianjin) Co., Ltd., Shanghai Alibaba Pictures Co., Ltd., Tianjin Maoyan Weying Media Co., Ltd., Lianray Pictures, Local Entertainment, Yunyan Pictures, Beijing Jin Yi Jia Yi Film Distribution Co., Ltd., Dadi Century (Beijing) Co., Ltd., Zhejiang Hengdian Films Co., Ltd., Fat Kids Production, Goodfellas Pictures Limited. ALL Rights reserved.

岡田 (笑)。じゃあ、せっかくなので「少年の君」の話でもしましょうか。以前、中華圏での評価を聞いた時東野圭吾的”とおっしゃってましたけど。

 イメージとしては「白夜行」+「容疑者Xの献身」かな。「白夜行」要素の方が多め。アカデミー賞ノミネートが発表された時、中国では「『少年の君』がノミネートされるなら、東野圭吾先生はオスカー脚本賞を受賞してもおかしくはない!」という意見もありましたね(笑)。

岡田 東野作品の人気高いですよね~!

 新作「白鳥とコウモリ」は傑作の呼び声が高くて、中国では版権の争奪戦が起こったほど。私も読みましたけど、映像化すると面白いと思う。Netflixドラマにぴったりかも。監督の手腕によって、作品の“色”が変わりそう。

岡田 そもそも、中国ではどういう部分がウケているんですかね?

 暗いところ、社会的なメッセージ。それに謎解きもある。この部分は「名探偵コナン」の人気と繋がっているのかな。松本清張的なものを継承していると思うんです。実際「砂の器」も中国でヒットしましたし。王道として認められていて、本の売り上げも伸びている。東野さんと近いポジションにいるのは、湊かなえさんかな。日本だけでなく、アジアでも“共感”を得られる作品を手掛けているイメージです。

岡田 いつか本体のコラムでも、きっちり取り上げたいですよね。そのタイミングで、武侠小説の代表的作家・金庸さんについても、きちんと論じてもらいたいんです。お名前は存じ上げていますけど、きちんとわかっていないんですよね。

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金庸

 それを語らせるなら、谷垣健治さんがいいんじゃないかなと思っているんです。

岡田 アクション監督の谷垣さんですか?

 アクション監督を務めた「るろうに剣心 最終章 The Beginning」に“金庸感”をとても感じるんです。特に後半部分。昔の金庸原作の香港ドラマに近いというか……。谷垣さんは、1990年代に香港に行ってらっしゃいますよね? 80~90年代って、金庸の小説が最も実写化された時代なんです。

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「るろうに剣心 最終章 The Beginning」
(C)和月伸宏/ 集英社 
(C)2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」製作委員会

岡田 徐さんも金庸ドラマを見ていたんですか?

 子どもの頃に放送されていた作品は、ほとんど見ていましたよ。漫画を読んでいるみたいに見やすいんです。谷垣さんも絶対見ていると思うんですよね……。これは中国人ならではの視点なのかもしれません。

岡田 もしお聞きする機会があれば、是非質問してみたいところですね~。そろそろ話し始めて、1時間。終わりにしますかね。次回を楽しみにしてます!

 はい、また次回!


岡田さん


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