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友達もいなくて一人で生きてた頃

「ぼくが、引っ越して、友達もいなくて一人で生きてた頃さあ、」

4歳の息子がある日そんな風に言うから思わずズキっとしてしまいました。

息子は年少さんで入園した幼稚園を半年も通わずに転園しました。夫の転勤が決まったからです。当初から、この園には1年通えたらいいかなくらいに思っていましたが、それは大人の心づもりの話で。

息子にしてみれば、初めてママから離れて生活することにやっと慣れて、戦隊モノ好きの友達もできて、やっと楽しくなってきた頃でした。

「パパがお仕事の場所を変わることになったから、引越しすることになったんだ。違う幼稚園になるよ」そんな簡単な説明でしたが、友達ともう会えないと名残惜しそうにしていました。小さいながらに理解できたのかな、その上でこの調子なら大丈夫かな、なんて勝手に安心していました。

新しい幼稚園は、親にも子にも優しい先生方と少ない子どもたちでアットホームな環境でした。子どももすんなり通ってくれて、前の園のように行き渋ることもほとんどなく安心して預けていました。

そして、もうすぐ学年末、という頃。

「友達がいなくて一人で生きてた頃」があったと話しだしたのです。驚きました。先生からも一人遊びを満喫しています、とは聞いていたけれど。たまに、前の幼稚園に帰りたい、友達に会いたいと言ってはいたけど。毎日喜んで登園するし、これまでに見たことのないリラックスした満足そうな顔で帰ってくるように見えていたから。すっかり安心していました。

先日、幼稚園からCDに入った写真データを借りてきました。園での様子が普段着で撮影してあって楽しく拝見しました。確かに。雪が深くなった2月頃まで笑った顔の写真がほとんどありません。しかも一人で写っている。

親の都合で大変な思いをさせてしまったな。

たくましく順応して楽しんでくれてありがたいな。

一人で生きてた頃、もしかして赤ちゃん返りしていたあの頃ですか。母はもしかして分かってあげられてなかったね。もっとただ甘えたかったね。

だめですね、頑張ったのは息子なのに不甲斐なさにこっちが泣きそうです。

子どもはたくましいです。変化に柔軟に対応していきます。でもそれは、代償がないわけではない、のかもしれない。子どもの強さに甘えてばかりいないで、子どもにもっと寄り添って子ども思いの母になりたいものです。

4月から新生活が始まります。どうか、子どもの気持ちを見落としませんように。ちゃんと、母が務まりますように。(おしまい)


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