梅干しを手がけて20年近くになる。最初は塩分20パーセントの初心者マニュアル通りに作り、塩っぱくて食べられなかった。そこで塩分15%の減塩仕様に挑戦したものの、今度はカビとのたたかいで疲れ果て、作るのをやめた年もあった。
でも幸い近所に梅農園を発見し、完熟の大梅を使うと美味しいと教わった。実家の近所のその道50年以上の達人からは、梅総量の2倍の重石を使うと梅がひからびてしまうから、自力で梅酢を行き渡らせるコツを伝授していただいた。さらに昨年、アルコール分77%のドーパーパストリーゼと出会い、ようやく減塩仕様かつカビと無縁の梅干しが作れるようになった。
そうこうしているうちに、今度は体力的に作るのが億劫な年頃になってしまった。来年も手がけられるか心許ないが、備忘用にコツをメモしておきたい。
なんせ自然相手の仕事なので、土用干しを無事終えるまでは安心できない。でも、この手仕事ができること自体が天の恵みだと思っている。