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#152 行政書士試験 取消訴訟以外の抗告訴訟の原告適格編

行政書士試験における「不作為の違法
確認訴訟の原告適格」や「抗告訴訟に
おける処分」の中に事実行為が含まれる
のかどうかについての考察になります。

今回も「行政書士試験の行政法の記述で
出題される所は、択一で複数回出題されて
いる所」という仮説に基づき、進めて
いきたいと思います。


1.取消訴訟以外の抗告訴訟にも関心を…

まずは、不作為の違法確認訴訟の
原告適格から紹介したいと思います。

過去4度の出題があるところになります。

(不作為の違法確認の訴えの原告適格)
第37条
 不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。

行政事件訴訟法

取消訴訟の原告適格も気になります…

(原告適格)
第9条
 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴えは、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。

行政事件訴訟法

不作為の違法確認訴訟の原告適格は、
1度覚えてしまえば2度と間違えることの
ないラッキー問題なので、択一で出題
された際には是非、正解しておきたい
問題です。

記述で出題されるなら、おそらく問題文
自体が取消訴訟っぽく書かれていて、
不作為の違法確認訴訟との混同を
狙ってくるのだと思います。


2.事実行為は処分に含まれる?含まれない?

続いては「事実行為」です。

(抗告訴訟)
第3条

2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟をいう。

行政事件訴訟法

この処分に「事実行為」が含まれるのか
どうかが過去4回出題されています。

行政事件訴訟法にはこの処分の中に
事実行為が含まれているかどうかは
書かれていません。

そこで行政手続法を見てみます。

(定義)
第2条
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。
イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分

行政手続法

ここでは、わざわざ「事実上の行為」が
処分には含まれていないことが
書かれています。

行訴法3条には事実上の行為を除く、
という文言はないため、事実上の行為に
ついても取消訴訟の対象になるという
ことになります。

私がよく使っていた肢別には、特に理由が
書かれておらず、受験生だった当時は
「そうなんだ…」と無理やり納得させて
いましたが、ずっとモヤモヤは残って
いました。

今回、記載するにあたり、ネットを中心に
いくつか理由を探しましたが、確固たる
理由は見つかりませんでした。

行政書士実務においては、こういうことは
頻繁に起こるので、1つの訓練だと思う
のが良いかと思います。


3.まとめ

取消訴訟の原告適格や被告適格、管轄
裁判所はよく勉強するので、ほとんどの
受験生が答えられると思うのですが、
本試験の法令等の問題では、正答率が
ほぼ100%という問題は、あまり出題
されません。
(基礎知識では、たまに見かけます…)

ちょっとズラして問われます。

「不作為の違法確認訴訟の原告適格」も
簡単な問題なので直接は恐らく問われない
ですが

・無効等確認の訴えの原告適格や管轄裁判所
・義務付けの訴えの原告適格や管轄裁判所
・差止めの訴えの・・・

これらを正解するためには、準用条文まで
押さえている必要があります。

1度、表を作るなどで整理するのも良いと
思いますし、自分なりに気をつけなければ
ならない所だけを付箋などで、分かるように
しておくと良いと思います。


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