行政書士試験はスタートラインにすぎない #216
令和6年度行政書士試験では、
令和5年度試験とは違い、
「行政書士法等行政書士業務と
密接に関連する諸法令」
からの出題が2問ありました。
1.合格したからと言って…
相続実務をする上では、「諸法令」の中の
戸籍法を学んでいたほうが理解が
早まったり、お客様との受け答えも
スムーズになったりしますが、
そもそも今回の令和6年度試験では、
戸籍法からの出題がなかったようなので、
例年通り、実務と直結していない試験で
あることに変わりはありません。
合格しても、あるいは今回、残念ながら
合格には手が届かなかったとしても、
現実において何かが変わる試験では
ありません。
合格し、登録すれば、「行政書士」を
名乗ることは出来ますが、実務をするには、
またゼロから学ばなければいけないのが
「行政書士」だからです。
行政書士試験の受験は
すべての始まりにすぎません。
行政書士資格を得ただけでは、資格手当が
ある場合を除いて、給料が上がるわけでは
ありませんし、急に実務能力が上がるわけ
ではないからです。
2.書類は作れるが、作り方は分からない…
行政書士は、行政書士法第一条の二の通り、
「官公署に提出する書類」や
「権利義務又は事実証明に関する書類」を
作成することは出来ますが、作成方法に
ついては自分で調べる必要があります。
作成例のようなものをホームページ上で
掲載してくれている場合もありますが、
それだけで書類が作れるのであれば、
そもそも行政書士という存在そのものが
必要ありません。
基本的には自分で調べる形です。
司法書士、社労士の場合、資格勉強自体が
実務に直結しているため、少なくとも
「ゼロから調べる」という行為が
ありません。
だからこそ、行政書士業務に価値がある
とも言えるのですが・・・
3.もっと実務に直結した試験でも良い…
資格勉強をすれば実務でも役立つ、と
なれば、そもそもの受験人数も増えるの
かなと感じています。
FP3級試験はここ数年は12万人以上、
FP2級試験においても約10万人が
毎年受験をしています。
実務に直結あるいは生活に直結している
資格だからだと思います。
受験料も同じくらいです。
行政書士資格は、生活に身近なものばかり
ではありますが、FP試験の科目に含まれて
いる生命保険や年金ほど直結する試験では
ないので、生活に直結する資格として
広めることは出来ないと思いますが、
「実務に直結」に関しては、もっと推進
してもいいのかな、とは感じています。