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地元・四国中央市にオペラを根付かせたい 声楽家 高橋梢

こんにちは!note更新担当のたぬ子です。

今回は、地元・四国中央市でオペラ団体『しこちゅ~オペラ』を立ち上げ、県内外で精力的に活動をされている、声楽家の高橋梢たかはしこずえさんに、声楽家を目指されたきっかけやオペラの魅力などお伺いしました。

[プロフィール]
■氏名
 高橋 梢(たかはし こずえ) 
■ジャンル
 音楽(声楽 ソプラノ)
■連絡先
 Mail:kozuecantante@gmail.com
■経歴
 1993年⽣まれ、愛媛県四国中央市出⾝。愛媛県⽴川之江⾼等学校卒業。広島⼤学教育学部⾳楽⽂化系コース(クラリネット専攻)卒業、同⼤学院教育学研究科⾳楽⽂化教育学専修博⼠課程前期修了。
 広島県にて⾼等学校教諭(芸術科⾳楽)を務めた後、25歳より佐藤ひさら⽒の下で本格的に声楽の勉強を始める。その後上京を決意し、翌年には⼆期会オペラ研修所予科へ⼊所する。
 ⼊所直後、2019年ひろしまオペラルネッサンス「魔笛」にてクナーベI役でオペラデビュー。2020年には、新進演奏家育成プロジェクトオーケストラ・シリーズ第54回にて広島交響楽団と共演。⼆期会オペラ研修所第65期マスタークラス修了後、現在は⾸都圏、愛媛を中⼼に演奏活動を⾏う。
 故郷である四国中央市にてオペラ団体「しこちゅ〜オペラ」を⽴ち上げ、ガラ・コンサートやメノッティ作曲のコミックオペラ「電話」を上演。
 声楽を枝川⼀也、市村公⼦、佐藤ひさらの各⽒に師事。⼆期会準会員。
■SNS
 ・Instagram(@devoappoggiare
 ・Twitter(@KozueTakahashi_

高校教諭から声楽家へ

広島大学でのオペラ公演 写真提供:高橋梢

ー 高校教諭を経て声楽家になられていますが、いつ頃から声楽家を目指されるようになったのですか。

 高校教諭になる前ですね。
 中学校か高校の音楽の先生になりたいと思って大学に入学したのですが、オペラの授業で実際に舞台に立った時に、多くの刺激を受け「もっとオペラを勉強したい!」と、大きく方向転換しました。
 ただ、オペラを勉強するための資金が無かったことと、音楽教諭になりたいと思って大学に入学したので、一度は教育現場を経験したいという思いから、音楽教諭を経てから声楽家を目指すことに決めました。

ー オペラの授業では、どのようなところに刺激を受けたのですか。

 教育学部の音楽科は1学年に20名程度しか学生がいないので、声楽を専攻している人たちだけでは役者が足りず、クラリネット専攻の私にもちゃんと役が回ってくるんです。
 転機になったのは、オペレッタの『こうもり』ですね。学生生活最後の公演で、アデーレというメイドの役を演じました。
 その時に、今までの「音楽教諭になる」という夢とは別に「声楽を本格的に勉強して、もっと極めたい」という欲求が、どんどん強くなっていきましたね。

ー 将来の夢が大きく変わった“オペラの魅力”を教えてください。

 オペラは多くの人を魅了する素敵な舞台ですので、その時々で異なる魅力に惹かれてしまいます。
 その中でもまず最初に、オペラで表現されているキャラクター性に惹かれました。
 オペラには、善人とされる役やその逆の悪人、浮気や不倫をする役など様々なキャラクターがいますが、どんな役であっても善悪だけでは片付けられない様々な心情が描かれています。
 例えば、『蝶々夫⼈』のピンカートンというアメリカ海軍⼠官は、蝶々夫⼈と戯れに結婚しますが、すぐに蝶々夫人の元から旅立ち、その後3年の間に自国の女性と結婚してしまいます。
 簡単にあらすじを説明すればこのとおりなんですけど、第1幕のフィナーレで蝶々夫⼈とピンカートンが歌う『愛の⼆重唱』を聴くと、少なくともピンカートンのあの瞬間の愛は本物だったんじゃないのかなと思えてしまうんです。
 こんなふうに言葉と音楽の繋がりによって、作品に深みや共感性が増すところもオペラの魅力の1つですね。

ぎりぎりで掴んだ大きなチャンス

二期会オペラ研修所にて 写真提供:高橋梢

ー どのような順序で上京をされたのですか。

 「上京したい」という気持ちはあっても関東圏・首都圏にツテがなかったんですよね。地方在住だと、上京したいけど師事する先生が見つからなくて、上京に踏み出せないという方が多いと思います。
 私も、その中の一人で「先生を見つける」というのが大きな壁だったんです。そんな時、たまたま実家に国立音楽大学オープンキャンパスの案内が届きまして、25歳までは無料でレッスンが受けられるということで「これはチャンスだ!」とオープンキャンパスに行きました。この時、ぎりぎり25歳だったんですよ(笑)

 そのレッスンのあと、講師をされていた先生に「上京して声楽の勉強をしたいと思っている」とご相談させていただいたら「私のところへ来たらいいわ」と言っていただけて、月に1度愛媛から東京へ行ってレッスンを受けることになりました。
 先生と話をして「上京するなら音大の大学院に入るか、二期会や藤原歌劇団の研修所に入るかだね」となり、二期会を受験し上京しました。

声量はプラスに、感情はマイナスに

ひろしまオペラルネッサンス『魔笛』 写真提供:高橋梢

ー 公演のために普段から心がけていることはありますか。

 いろいろあるんですけど、基本は運動、睡眠、食事ですね。
 ”身体が楽器”とよく言いますけど、オペラ公演はマイクを使わないので、機械を通さずホール全体に届けられる発声が求められます。
 イタリアに古くから伝わるベルカント唱法という伝統的な発声法があるのですが、農業が手作業だったり、車がなく今よりも歩いていた時代に発展した発声法なので、現代人がこれを習得するには筋肉量が足りないんですよね。
 なので、もっと筋肉を付けたり、筋肉の使い方を学んだりしないといけないなと思っています。なかなか体力を使う発声法なんですよ。

ー では、お芝居で普段気を付けられていることはありますか。

 私、普段からいろんな感情をすぐに出してしまうので、出す方に関しては意識していません。
 逆に演じている時は、お客さまにフラストレーション無く作品を観ていただくために、余計な感情を出さないようにしています。
 よく演出家の先生に「観客は、舞台上の動き全てに意味があると思うからね」と言われますが、髪を少し触ったたり、目線を少し動かすだけでも、そこに意味が入ってしまうんです。
 なので、常に役にとって必要なこと以外はしない、絶対に目線を変えないということを、頭において舞台に立っていますね。

『しこちゅ~オペラ』を続けていきたい

『しこちゅ〜オペラ』第2回公演の様子 写真提供:高橋梢

ー 今後、愛媛でやりたいことを教えてください。

 声楽家を志した時「オペラをふるさとに根付かせたい。そして、地元の方々が気軽にオペラを楽しめる場所を作りたい」という夢がありました。
 ですので二期会の研修所を修了し、本格的に声楽家としての活動を始めるにあたり、地元の四国中央市でオペラ団体『しこちゅ~オペラ』を立ち上げ、年に数回声楽のコンサートやオペラ公演を行っています。
 今まで2度公演をさせていただいて、どちらも100名を超えるお客さまにお越しいただきました。四国中央市での公演だったのですが、松山や高松からもお客さまが来てくださったり、みなさんとても楽しんでくださるので、この活動を始めて良かったと思っています。
 『しこちゅ~オペラ』がオペラ鑑賞の裾野を広げ、ふるさとにオペラを根付かせることに繋がると感じていますので、大変な部分も多いですが継続させていきたいです。

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