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バスケットで戦術を整理する?

プロバスケットと育成年代のバスケットの違い

プロのバスケットと育成年代のバスケットは違うスポーツをやっているのかというほど、内容が異なっている。

それは、身体の大きさ、身体能力、技術などは当然であるが、そもそもやっているバスケットが全くと言っていいほど異なっている。

そもそもJBAが推進しているバスケットは、年代別によって、5アウト、オフボールスクリーン、オンボールスクリーン、ゾーンDEFなど、U12からU18で分かれているし、ゾーン禁止など、U12,15世代はプロとは違ったルールも存在する。

プロと育成年代、何が違うのか?

プロバスケットと育成年代のバスケットの内容の違いを一言で表すなら、具体性と抽象性のバランスになるだろう。

具体性と抽象性のバランスとは、戦術面での、余白の広さとも言える。

例えば、オフェンスにおいて、どのような状況であったら(DEFが3人以下で、自チームが同数以上など)Fast break,Secondary breakを出し、
Half court offenseでは、動きが決まっており、このShotを狙いましょうなどと、具体的に整理されて決まっていることが多いのが、プロのバスケットである。
(チーム、コーチによって差がある。)

プロの中にも、例えばSide pickのときのスペーシング、出ている選手に応じて、「どこがShotを打つポイントか、Option、相手が1個目のドリブルでどうCoverageを敷いたら、こうReactionする」などと細かくルールにしているところもあるし、逆に基本のアライメントだけ整理して、選手に選択の幅をもたせるところもある。

戦術を整理するメリット、デメリット

戦術を整理する、具体的なバスケットをするメリットとしては、5人で同じバスケットを遂行するハードルが下がることである。

DEFでのローテーション、タイミングが具体的に決まっていれば、それ通りのシチュエーションで、5人が遂行する能力があれば、迷いなく遂行することができる。

また、チームでの共通理解が増えることで、噛み合わないようなTOは減る可能性が高いだろう。

しかし、具体的にしすぎることは、デメリットも生じさせる。

1つ目は、全てのシチュエーションを具体的に整理することはできないということである。

例えば、DEFのローテーションでも、相手チームのアライメント、スペーシングがこちらの想定しているものとは限らないし、出てくる選手も1人として同じ選手はいない。

これは、大学でHCをしていたときの反省でもあるが、DEFのローテーションを具体的にしすぎて練習してしまったせいで、シンプルな1on1で守るマインド(実力)が足りない。逆サイドから2〜3人ダイブする、片サイドに4人いるなど、本来適切でないスペーシングで攻めてきたとき、それに対応することができなかったのである。

このように、全てを網羅できない状況で整理しすぎても、その外のバスケットをしてきたときの、対応力が身につかなくなってしまう。

2つ目は、基本的なIQ、考えが足りないと、チャンスを逃してしまうことである。

どのように動いて、どこでクリエイトしてどこでShotを打つと決めていても、その前の場面で大きなチャンスが転がっていることはよくある。

そのような局面で、状況判断、IQが足りていない育成年代で具体的にしすぎると、動きを遂行することに必死になるがあまり、目の前のチャンスを逃す状況をよく見る。

プロの具体的なバスケットは、プロの状況判断と、IQ、基本スキルの高さあってのものである。

3つ目は、自分で考えて判断する習慣が減ってしまうことである。

育成年代で具体的すぎると、ロボットのように遂行することが良しと麻痺してしまい、自分で判断してチャンスを狙う習慣がなくなってしまう。


このように、選手の年代、性質によって、変えるべきであるし、シーズンの初めは抽象性が高く、終わりにかけて少しずつ具体的にするなど、そのバランスを取ってバスケットを組み立てるのが、コーチの仕事だと感じる。

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