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連載『アラビア語RTA』#6

エジプト留学中の冬休み、1ヶ月間全くやることがなかった。この機会を使って、アラビア語の勉強をすることにした。雨の降り頻る冬のアレクサンドリアにて未知の言語にこれまで得てきた知識を使って立ち向かい、そして敗れた1ヶ月間の記録。

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祈りの日、金曜日。RTAと言いながらアラビア語には全くといいほど触れていない。

やったことといえば、洗濯物を洗濯屋に持っていったくらいのことだ。宿泊しているホテルには洗濯機はあるのだが乾燥機はない。外に干してもいいのだが、冬のアレクサンドリアは雨が降るし、湿気もそれなりにあるのでなかなか乾かない。そのため、洗濯屋に行くことにしたのだ。

私は市場のほど近くにある洗濯屋に向かったのだが、金曜日の昼は全員がモスクに行ってしまうため、大量の洗濯物を運んだ苦労は全てが無駄になってしまった。午後3時ごろにもう一度来ると空いていると、近くの親切な人が教えてくれた。

仕方がないので、お昼ご飯を食べるため近くのレストランに入ったのだが、お祈りの時間だから後5分で店を閉めると言われてしまった。

「ハンバーガーなら出せるよ」

と言ってくれたので、ありがたくいただくことにする。パサパサのバンズに、挽肉を抜いたようなパティが挟まっており、その上から、チーズのいいところを全て消し去ったような風味のないチーズがかかっていた。横には塩味のしないポテトが申し訳程度に添えられていた。それでも、昼ごはんが食べられるのはありがたい。午後何をしようか考えながらぼんやりと食べていた。

食べている途中で、ニカブを着た女性と子供が入店してきた。男性と女性では祈りの時間が違うのだろうか。よくわからない。彼女たちは、店員と何かを話すと足早に店を出て行った。

私もしばらくして店を出た。2階の席から一階へと降りると店は閉店準備に大忙しだった。床が水浸しで泡だらけだった。ニューカイロにあるキャンパスでもよく見た光景だが、エジプトでは掃除をするときにとにかく水を撒き散らす。水をこれでもかというほど使い、それを流すことで土埃を洗い流すのだ。

私は宿に戻り、このレポートを書いた。友人と電話をした。ラジオを
聞いた。そうして1日が終わって行った。

メモ
通行人に「チャイナ?」と聞かれるのがいいかげんだるくなってきた。気分がいい時は「ハビービ!」(男性の恋人を表す言葉から、転じて仲の良い友達を指し示す言葉になった。英語に訳すと、親しみを込めてMy friend! と言っている感じ)と返すと、通行人に爆笑してもらえるが、あんまり元気がない時は本当にうんざりする。













編集後記
別に誰と比べるわけでもないのだから、もっとゆっくり焦らず、毎日を楽しんでもよかった。休みがあるのならば、それはチャンスだと思って旅行にでもいけばよかったのだと思う。RTAをすることによって、人より早く言語を習得できるということを証明したいという虚栄心に駆られ、自縄自縛の中で自己嫌悪に陥るくらいならば、のびのびやればよかったんだと思う。結果が大事で、その過程なんてどうでもいい。どうでもいいはずなのに短期間で学ぶことが美徳だと考えるなんて本当に勿体無い。語学なんて継続が一番重要なんだから、またやり始めよう。アラビア語。

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