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オールドデジカメは流行っているのか?

「オールドデジカメ(オールドコンデジ)が密かに流行している」という話をちらほら、ネット上で見かける。本当のところはよくわからない。
だいぶ前から、若い人たちを中心にフィルム写真が流行っていて、でも、フィルムそのものや現像料金の高騰、カメラ・レンズを含めた入手の困難さが相まって、古いデジカメにブームが流れているとも聞く。海外発の現象だとも。
フィルムカメラは、デジタルカメラとはそもそも別世界の存在だから、そちらに関心が向くのはわかるとして、言い方は悪いが「単に性能が低いだけ」の草創期のデジカメの、いったいどの辺りが面白いんだろう?

まったく滑り止めのないグリップが潔い?!

でも、リアルタイムでは、確かに物凄く面白かったな。
現像やプリントの手間暇と費用を気にすることなく、撮った写真をその場で確認しながら、どんどん次のシャッターチャンスに挑んでいける。
設定を変更すれば、まるで一枚ごとにフィルムを装填し直すかのように、写りのテイストを変えることができる。
2000年代の始めころ。一般庶民にも手の届く価格で、まずまずの性能のデジカメが普及し出して。
何もかも新鮮だった。

キヤノンPowerShot A80は、ぼくが二番目に手に入れたデジタルカメラだ。
2003年発売で、登場後間もなく、購入したと思う。
特別に高性能でも高画質でもない。が、抜群に扱いやすかった。メリハリの効いた気持ちのよい写真が撮れるのも楽しかった。

久しぶりに電池を入れて、動かしてみようか。

液晶モニタのスペックは
「1.5インチ6.7万画素」
2024年基準では泣けてくるぜ。
でも、バリアングルなのは大したもん。

結果は、上の写真のとおり。一応起動はするものの、
「画像が写らない…」
配線がイカれているのか、あるいはセンサー自身が昇天したか。
こうなるともう、手の施しようがない。
電源を何度もオン/オフしたり、カメラの角を掌で軽く叩いてみたり(おいおい)したが、まったく変化は見られない。
20年モノのオールドデジカメで写真を撮ってみようという思いつき企画は、儚い思いつきのまま、あっという間に潰えたのだった。

記録メディアはCF(コンパクトフラッシュ)。
64MBの容量だと、400万画素の最高画質で30枚撮れる。
「フィルムかよッ!」とツッコミたくなる~。
同じサイズの筐体にHDDを格納した
「マイクロドライブ」
なる驚きの製品もありました(←持ってた)。

PowerShot A80くんは大活躍してくれて、写真雑誌のフォトコンでは最優秀賞をもらったよ!
これが勘違いのきっかけってヤツか(笑)

掲載誌は「デジタルフォト」2004年6月号。
当時は「デジタルカメラマガジン」と並んで、新興2大デジカメ雑誌の一翼を担っていた。
出版元はソフトバンクパブリッシング(現在のSBクリエイティブ)。
「デジタルカメラマガジン」誌は、いまも毎月発行され続けているけれど、「デジタルフォト」誌は残念ながら、2010年5月号を最後に休刊。ググってもあまり情報が出てこない。悲しいね。
「アサヒカメラ」や「日本カメラ」といった、老舗の写真・カメラ雑誌すらなくなってしまったんだから、仕方ないか...。

「800万画素で《ハイエンド》ですってヨ、奥さん!」

このころは各メーカーとも、現在では想像できないような個性的な機種を、次々と市場に投入していた。
ほとんど「デジカメ版カンブリア爆発」って感じ。
デジタルカメラに限らず、新しいマーケットが立ち上がるときというのは、きっとそういう熱量に満ちているのだ。

裏表紙は中田英寿さん。時代の寵児。
21世紀初頭のお洒落デジカメといえば、IXY(イクシ)だった。
ちなみに、雑誌の定価で1,000円って、まあまあ高い気が…。
CD-ROMが付録についていたからか?

写真の世界にどのような形で接触するかは、世代によって大きく異なるに違いない。
もしかしたらオールドデジカメも、新しい扉を開くチャンスになる、かも?(ぼくの場合はどうしても「懐かしい」が先に立っちゃうんだけど…)

というわけで、今日は「オールドデジカメがオールドじゃなかった世代」のルックバックを書いてみた。

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