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トロッコ日記 1  就活廻戦

 さて、あまりにズボラが過ぎて、プロローグから一年あまり、このブログを放置してしまっていたワタシ。ぼちぼちと再開していければと思っていますが、まずは入社の経緯あたりを振り返ってみましょうか。
 ときは1980年代後半、ちょうど昭和も終わりかけの頃の夏。大学4年生のワタシは就活まっただ中で、当時花形業種だったマスコミの世界に憧れ、新聞社やテレビ局の入社試験を受けまくっていました。とはいえ、少年時代のワタシは実は、今やドラマ「相棒」の杉下右京役ですっかりおなじみの水谷豊が若き頃に小学校教諭役で主演したドラマ「熱中時代」にまさに熱中し、水谷演じる北野広大先生のような熱血教諭を目指して大学の教育学部に進学し、もちろん教員採用試験も受験していました。そんな併願状態のワタシに、全国紙の一紙が内定を与えてくれたわけです。
 入社試験は時事問題や小論文などの筆記試験があり、その後、何度かの面接がありましたが、記憶があまり定かではありません。東京本社で行われた最終の役員面接で覚えているのは、当日か数日前の新聞紙面(1面や社会面、全面広告など)が面接テーマとして直前に提示され、一人ずつ役員会議室に呼ばれて任意のものを選んで所見を述べるという内容でした。ワタシはというと、記者志望なのに1面や社会面を選ばず、ミュージシャンの井上陽水が助手席から顔を見せて「お元気ですか」と視聴者に呼びかけるCMで当時話題をさらった日産の乗用車「セフィーロ」の広告「くうねるあそぶ」についてコメントしました。
 当然、役員からは「君は記者志望なのに、なぜ記事ではなく、広告を選んだのかね」と突っ込まれ、うろたえつつも「今一番話題になっているCMですし、こういうトレンドを押さえておくことも記者にとって大切だと考えました」などと答えるワタシ。別の役員からは「記事を選んだら、いろいろと尋ねられて困ると思ったんだろ」と詰問され、室内は「そうか、ワハハ」と爆笑。さらに最初の役員から「君はほかにどこの社を受けているんだ?」と尋ねられ、ワタシが正直に「新聞局、テレビ局とも受けたところは全部落ちました。御社が最後の砦です」と力説すると、相手は「なに!そうか。ワハハ」とさらに高笑い。いったい何がそんなに受けているのか、あるいは単に馬鹿にされているのか分からないままに面接が終わっていました。
 なかば放心状態で会議室を出てきたワタシは次の順番を待ち構えていた採用試験のライバル(仲間?)に「場内を爆笑させてきた」と虚勢を張っていました。「まあ、最終面接まで行けたからいいか」と内心あきらめて、教員採用試験の結果を待とうと思っていたミーハーなワタシに対し、後日なんと内定の一方が届きました。それからは卒論の仕上げなどにいそしみ、あっという間に迎えた10月の内定式には、大阪本社に配属される仲間とともに出席しました。ちょうどその日はプロ野球の南海ホークスがダイエーに身売りされる(のちにソフトバンクにさらに身売り)前の最終ゲームが大阪球場で開かれる予定だったので、スーツ姿のまま有志らで連れだって応援に出かけたのが今となっては良い思い出です。ミーハーといえば、森高千里が歌ったミーハーも当日よく口ずさんでいたなぁ。彼女はヒット曲の通り、今でも素敵なオバさんですね😁


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