南高梅

南高梅 （ナンコウウメ）


バラ目、バラ科、サクラ属、ウメ種の落葉樹


紀州を原産とする『梅干』や『梅酒』の世界
で最も有名なブランド梅である。


白花弁越しに紅色萼弁が鮮やかに透けて見え
それがこの梅の花の美を司るものである。


梅の花は、もしもその全てが受粉して成実を
してしまったなら、その樹木は梅実に養分を
摂られ過ぎ、その寿命は大いに縮まるもの。


これは植物に限ったことではなくて、ヒトの
世界においても同じことが言える訳で、女性
が子供を一人産むと肋骨（アバラボネ）一本
を失うとも言われるが、その形容される事と
同じなのである。


子孫を残す為にそれは必要な事なのであるが
過度な数の出産は女性の身を削る事となる。
赤ん坊に血と肉を分ける事になる為である。


梅の花は、写真にある様に枝に大量に付いて
綺麗に咲いているものではあるが、これらは
全てが生殖機能を備わっている訳ではない。


花が八ツ咲いたのであれば、その中の一ツは
生殖機能を持つもの。他の七ツはその機能を
有していないのである。


梅の花は両性花であり、花の構造を見てみる
と、雌蕊（メシベ）と雄蕊（オシベ）がある。
雌蕊に雄蕊の花粉が付くことより受粉されて
実がなる事となる。だが、この梅の花を観察
してみると、この受粉に大切な雌蕊がない花
が梅には、八分の七、存在するのである。


もっとも梅の樹木は、花が咲けども一本のみ
植っていたのでは実はならない樹木。これは
自家不和合性（ジカフワゴウセイ）の性質に
よるもので、自身や同じ種類の梅の花粉では
受粉しないプログラムによるもので、これは
自己完結で受粉を繰り返すと劣勢遺伝子より
種の存続を脅かすのを避ける為のプログラム
によるもの。これを寒い時期に受粉を手伝う
ものが目白（メジロ）となる。


受粉させず、実を結ばない花が八分の七も
咲く梅ではあるが、これらは八分の一を受粉
させる為の『見せ花』である。受粉協力者を
沢山呼ぶために必要な事でもあり、花を沢山
咲かせて受粉を手伝う目白（メジロ）などを
集めるのである。メジロはあちこちの梅の
木を周回しては、細い嘴で花の中を弄っては
舌先を入れて蜜を絡めとる。この際には嘴は
花粉のせいで黄色くなる程なのである。


梅の実を育てる農家にとって、メジロは益鳥
となるのである。


そして、我々はメジロと梅農家と梅の樹より
美味なる梅干を食べられるのである。

和名　梅 （ウメ）
洋名　ジャパニーズ アプリコット
　　　（JAPANESE APRICOT）
　　　ジャパニーズ プラム
　　　（JAPANESE PLUM）
学名　プルナス ムメ
　　　（PRUNUS MUME）
品種　南高梅 （ナンコウウメ）
　　　南高梅 （ナンコウバイ）
分類　バラ目、バラ科、サクラ属、ウメ種
種類　落葉高木
草丈　６ｍ
開花　２月 
花色　白
花径　２５〜３５ｍｍ
花弁　５片、６片もある
咲型　一重咲
原産　日本、紀州地方
言葉　上品
　　　高潔
　　　忍耐
撮影　山田池公園、梅園内（枚方市）



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