『ハートドリブン』株式会社アカツキCEO塩田元規
お久しぶりです!大学生の平井宏明です。
今回も読書メモ、という事で書き連ねていこうと思います。
【読み始めた理由】
僕、実はベンチャー企業の人事担当なのですが、もっと感情を大事にしながらマネジメントができればもっと、頑張りやすい環境を構築できるように感じていました。
弊社のCEOを見ていると、論理や合理はとても貫かれていて効率的な運営はやっていけるんだろうなと思うものの、なかなか感情的な部分に関してはもっと改善の余地があると感じたので、今の考えをうまく言語化されている本を探していて、たどり着いたのが『ハートドリブン』でした。
【ちょっとした感想】
VISIONも利益もうむ力のある義理合一な会社こそが最強なので、ハートドリブンに価値を創出できるように動かなければならないと実感した。在り方めちゃくちゃちゃんと考えないとやべえな、この組織。とも思った。大切な場所だからこそ余計に思った。みんなにとって気持ちの良い場所をなんとか作って、最高の価値提供をした上での付加価値を利益としてもらえる、在り方を大切にする企業を作りたいな。そんな場所で働きたいな、とも同時に思った。スタートアップって大変だけれど、それを忘れちゃいけないんだと思う。短期思考の罠に絶対にかかってはいけないとも同時に思った。
あと、この本を読んで『エッセンシャル思考』について思うことが一つだけあったのでここで共有しておく。誤解を若干うみうる書き方がされているようにも感じたので一応なんですけど、価値観はただ1つじゃなくて複数個あって良い。自分もワクワクしながら他人も楽しんでくれる、とかそういうのはありなんですよね。『エッセンシャル思考』ではそこについての言及はなかったものの、誤読しようとすればできなくもない気がしたんです。
【読書メモ】
※今までの読書をかなり反映したメモになってしまっているので、純粋に『ハートドリブン』を読まれることをお勧めします。
価値を大きく2つに分けるとするなら、機能的価値と情緒的価値に分けられる。昔からお金を払われ続けているのは機能的価値であり、最近ではテクノロジーの大きな進歩があったため、機能的価値の部分に関しては大企業ばかりが最適化することで利益をあげる傾向がある。だから、これから商品を作る際には、情緒的価値を焦点に当てなければ価格競争に巻き込まれてしまうリスクが年々高くなっている。機能的価値に関しては、GAFAMに任してしまってもいいのかもしれない。
情緒的価値を最大化する努力とはすなわち、思想・信念によるブランディングに他ならない。なぜなら、最近の大衆の消費行動を見てみると、熱狂的ファンとなってくれた方からのいわゆる「投げ銭」、言い換えると、情緒的価値にお金が投入されがちだからだ。『ハートドリブン』の著者はゲーム会社の社長であることから、ゲームが売れる理由について語っている箇所で、情緒的価値について言及している。この情緒的価値を重視する背景には、マズローの五段階欲求のうちの下から3つまでが埋められやすいことが挙げられる。食いっぱぐれる事はほとんどないし、SNSのおかげで人とつながることが容易になってきているのが要因って部分、すごく納得でした。
だから、自己実現・社会実現の欲望が満たされていないことに現代の若者は不満を抱く。例えば、就職活動での「やりがい」に焦点を当てる人が増えてきている。このように、自分が何をやるかだけに執着する時代は終わりを告げ始めてきているみたい。ドリブン(原動力)の対義語であるインセンティブ(誘因)で人を動かしても、馬の目の前に人参をぶら下げている状態となんら変わりはなくて、それは今の人たちの理想の在り方とはかなり乖離した姿なので、インセンティブでマネジメントしてもなかなかうまく行きづらい。やること+在り方の両軸を大切にすることが、ハートドリブンなマネジメント。
このマネジメントのやり方は性善説に立ったものであり、その人自身を変える必要があると思い込まれることが多々あるが、それを強いる事は非合理的。在り方の理想にフィットしていないけれどしたいと思ってもらうことがよくて、その方法論も少しばかり書かれている。”世界の見方を人は無意識だけど恣意的に選択していること”をメタ認知することで、本当の意味で自分で選択することが大切だという。
自分の内側を大切にするマネジメントに必要なのは、まずWHYからスタートすること。熱狂的なファンをつけるのであれば、なんでその製品を作ったのか理解されなくて、情緒的価値の部分で成果を上げる事はかなり厳しくなる。だから、違和感をどこかに感じたら伝えて理解してもらうこと。そのためにみんなで無防備になって話をお互いにできる、共有のハードルを限界まで下げた状態を維持することが求められる。
人と人とのコミュニケーションでは、ありのままの自分をお互いに受け入れる方法論として、理解と同意を分けることが挙げられている。著者の塩田さんは「やりたくないことを聞いて理解すること=同意すること」「やりたくない事は説得すればやりたくなってもらえる」ということを”悪い組織の誤り”として捉えている。この根拠として挙げられているのが、お互いの感情や状況を表現できれば、自然とお互いにとっての最適案を出し合うという人間の特性である。これは結構面白い。エンジニアが一人足りなかったら、20%コミットのエンジニアを5人探してもいい。確かにその通りかもしれないなあ、と割と納得しました。(うちのCEO、結構そこらへんの発想もできていて、やっぱりいいなあ。)
このコミュニケーションで危険なこととして挙げられているのが、無意識のうちに相手のエネルギーを奪おうとする人の性質である。4つ種類があって、知らないうちにその役を演じてしまっている。
・脅迫者:俺>お前として、相手を萎縮させてエネルギーを奪う。
・被害者:相手>自分として、同情を引くことで相手のエネルギーを奪う。
・尋問者:相手の欠点を指摘して追い詰めることで、相手のエネルギーを奪う。
・傍観者:何事にも無関心になって、何を考えているのか好奇心を持ってもらって、相手のエネルギーを奪う。
この4つのどれからも抜けられないと、内側のエネルギーがどんどん外に漏れて、関心の輪、つまり自分がなんともできない自分以外の部分ばかり気にしてしまって、評価を気にしてしまいガチガチの硬直マインドセットになり、失敗を遅れて挑戦しなくなってしまう。
そして、「この世の問題はすべて、それを作り出した時と同じ意識レベルで解決する事はできない」というアインシュタインの金言の通りで、いつも同じ問題が降りかかる時、あなたの内側が進化するサインであるとアンテナを張っておくのは、メタ認知するために必要なこと。
セルフコンパッションも大切で、自分を良いとか悪いとかそもそも判断するな。悪いと思うと、それを出してはいけないという観念が自分の中に形成した結果、他人に対してイライラすることになってエネルギーを浪費する、というようなエネルギーの奪い合いが始まってしまうし、長い目で見て自分に都合の悪い自動反応行動を身につけてしまう恐れがある。観念は自分を守ってくれることが大いにあるので、観念を排斥するのではなく、それの判断は下さずにそっとしてあげたら良い。ありのままで自己表現できないと辛い。なんとか痛みを和らげようとすると、痛くなる。逆に、あるんだな、と思うだけになると痛くなくなる。
どの話についても影響の輪と関心の輪(わからなかったら7つの習慣で検索!)の考え方がしっくりくる。「自分の価値観がここにあるから、この在り方に引かれているなあ・・・」という感覚って結構大切にしている大学生を割と最近よく見るし、僕もその一人なんですけど、インサイドアウトで、つまり自分の内面ありきで外を見る考え方がとても感情を大切にしたハートドリブンな考え方だなあ、と納得です。これを前提としたハートドリブンな自分のあり方・ハートドリブンな法人のあり方が今の世の中には一番最適なのかもしれないな、楽しいのかもしれない。生き方も、マネジメントもハートドリブンがベストプラクティスかもな。
「なかったとして、それは欲しい?」と己に問うことで、看板を追うという本質を追う行為とは逆のそれをしてしまうことを回避し、インサイドアウトで考えることができるので、己を省みるためにお勧めである。
製品に関しては、とにかく中途半端にならないバリクソとんがったものにしないと、人は熱狂しない。熱狂する人が現れないと人は集まらないので、とんがったものを作ることに専念するある種のエッセンシャル思考は大切。「良いね」を狙って中途半端に色々狙っても伸びるものも伸びない。「やばい、すげえ」を狙って作り込まなければ、とんがったものはできない。
【関連書籍】
『漫画 7つの習慣』
『お金2.0』
『エッセンシャル思考』
『死ぬこと以外、かすり傷』
『MINDSET』
【次回予告】
『武器としての決断思考』瀧本先生。お楽しみに。
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