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(五感)欠落のデザイン

形あるもの(でなければ)わからない。人間の出生の秘密と固く結びついてあるこの傾向性を越え出なければ宗教は閉ざされる。私はこの世界という書物の今ここではないどこかの頁にインデックスを貼り付ける。人間が嫌いだ。人間なんて生まれなければよかったのに。札束をピアノ線に貼り付けてかき鳴らすプリペアド。人間の欠陥がまた、完全性の足場となる以上、迂闊にポジティブに見過ごすことは許されない。塹壕戦の前線でひょいと顔を上げることは事実上の降伏だ。便器のイルカから水が放たれる。体力は余っている。いつでもそうで、苦しい時はいつも聞こえてくる状態にあるからだ。この耳を開かずにいられることができるなら、悲しみの音も嘆きの声も閉ざすことができるなら。ただし、真空の部屋で自分の体内の轟音に気づくということは苦しいことだ。人間は決して利己的なのではない。独善的な振る舞いを選択するのであれば間も無く自爆するプログラムが課せられているだけ。耳から微粒のノイズが爛れている。雷のような爆音を回避する避雷針のようなもので、世界と連結し、目は悪夢のような劇場から逃げ出すための非常口で、同じく世界とシームレスに結合されている。こちら側が経たなければあちら側は立たない。私は世界から合法的に脱出するのだ。

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