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苦手だった「ほめる」から 一歩、二歩と踏み込んで

「すごい!」
「よくできたね!」
「えらいね!」
「さすが〇〇ちゃんだね!」
「才能あるね!」
「なんでもできるね!」
これらは、子どもをほめるときによく使われるフレーズです。
しかし、ポジティブで子どもの自信につながるように聞こえるこれらの言葉は、子どもの成長にとって必ずしもよい影響があるとは限らないのです。


がーん。こういう言葉、わたしかなり言っちゃうわ…

「第2章 自分でできる子に育つほめ方」の最初のぺージで、いきなり大ショックをうけた。

教員してたし、チャイルドコーチングアドバイザーの資格ももってる。
結果をほめるのではなく、プロセスをほめるべきだという知識もあった。
なのに。

未だに間違った言葉をかけてきたのかもしれないなんて。


『自分でできる子に育つほめ方叱り方』を読んで、一番考えさせられたのはこの「ほめる」についてでした。


わたしは「ほめる」が苦手だ。
「ほめる」という言葉に違和感がある。


そもそも、ほめるって何なのか。

デジタル大辞泉
1 人のしたこと・行いをすぐれていると評価して、そのことを言う。たたえる。「勇気ある行動を―・める」「手放しで―・める」「あまり―・めた話ではない」⇔そしる/けなす。
2 祝う。ことほぐ。
「真木柱(まけばしら)―・めて造れる殿のごといませ母刀自面変(おめが)はりせず」〈万・四三四二〉
Wiktionary日本語版
相手の優れている点を挙げて、良く言う。


なんだか上から目線な気がするし、わたしごときがほめさせていただくなんて滅相もない!と思ってしまう。上下じゃなくて、横並びの関係が好き。
「相手の優れている点を挙げて、良く言う。」の意味だとお世辞みたいになってしまうことろも、違和感ポイントでしかない。良く言うって、何なんですか。

ほめる=いいこととされてるし、「ほめて育てる」という教育法もある。

「まったくほめずに育てた方がいい」なんていうつもりはもちろんないけれど、ほめることを全力肯定する場面が多いことに、もやもやする部分がずっとあった。



この本では、ほめ方は
・おざなりほめ(perfunctory)  …具体性がなく、表面的なほめ
・人物中心ほめ(person focus) …性格・能力・外見などの特徴ほめ
・プロセスほめ(process focus) …努力・過程・手順ほめ
の3種類に分けられると紹介されている。

おざなりほめ・人物中心ほめは効果的でないから控えること。
プロセスほめを増やすのがいい らしい。


つまり。

表面だけではないほめ方をしよう。
具体的に、努力したこと・とりくむ姿勢・やり方などのプロセスでいいなぁと感じた部分を伝えればいい ってことでいいのかな。




なるほど。



それって、通知表の所見に似ている。



通知表づくりは時間かかるしめちゃくちゃ悩むしで学期末が来るたびにすっごく大変な仕事だった。

けれど、所見欄のコメントを書くのは大好きだった。


その子が数か月間の学期のなかで光った瞬間を忘れないよう覚えておいて、なかでも一番強く光った瞬間を切り取る。そしてその子と保護者の方に、わたしが感じたよさが伝わるように表現する。
「この子の今学期をいちばんよく表現できた!」と思えるものを全員に手渡したくて、一人ずつに1時間以上かけて、睡眠時間を削ってでも文章を考えていた。



あれは、「ほめる」の考え方だったかもしれない。


その子の考えたことは、行動や授業中の姿勢、作品、すべてに表れる。
なぜ、あんな風に言ったのか。
なぜ、ああいう行動をとったのか。
なぜ、ここを黄色でぬったのか。
なぜ、いつも作文に「みんなが」と書くのか。
その子が関わったものはすべて、その子の言葉。
たくさんの言葉をちゃんと聞いて、見取って、思いを汲みとれたかどうか。
納得いく所見をかけるかは、わたしがその子を一対一でどれだけ見てきたかにかかっている。
担当の子をひとりずつ思い浮かべながら所見を書く時間は、その子をどれだけ見ることができたのかを自覚する時間だったんだ。


ほめるって、所見を書くのと同じだわ。

相手をちゃんと見ること。そして、感じたよさを具体的にその人に伝えること。決して簡単ではないけれど、ただそれだけのシンプルなこと。
「ほめる」って言葉でとらえはこなかったけれど、わたしだってやれていた。

検閲してくれた管理職の先生たちに、よく見てるってほめられることもあったっけ。ああいうことで、いいのかな。


そう思えたら、「ほめる」にくっついていたネガティブイメージも少しやわらいだ気がした。


それなら、これまで以上にもっと相手をちゃんと見て、よさを見つけて、伝えたい。
もしまだ本人が気付いていない部分だとしたら、何としても伝えなくちゃとうっすら使命感すら湧いてくる。
担任してた子たちにはできたんだから、友達や、身近にいる人たちにもきっとできる力はあるはず。そう信じて、ほめ力アップさせたいな。



これまでわたしが担当した子や友達たちに言ってきた「えらい!」とか「すごい!」ってきっと、感動を口に出しただけでとまっていたんだ。

何を「えらい!」と思ったのか。

どこを「すごい!」と思ったのか。

必要なのは、観ることと、言葉にする力。

これからは、一歩、二歩と踏み込んで、ぴったりの言葉をみつけて、具体的に伝えていきたい。そんなことを考えた。



この『自分でできる子に育つほめ方叱り方』は、ほめ方以外にも叱り方、話の聞き方など子どもとの関わり方を科学的に、具体的に学べる子育てバイブル本。

教育本として手にとったけれど、わたしは自分の苦手意識と向き合えて、すこしだけ自分が育った気がしてる。

この本は、『自分をできる子に育てるほめ方叱り方』でもあった。









*ちなみに。

この章の最後には「本当にすごいと思ったら『すごい!』もOK」と書かれています。

うそ偽りのない自然発生的な驚きや感心を言葉にするのを抑える必要はないとのこと。

「すごい!」「えらい!」も、本音だったら素直にたくさん伝えたいですもんね。ほっとしました^^



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