なつぞら俳句 9月
9/2
久々の夏の中庭緑射す
本にあり大草原も夏盛り
夏の夢昔渡りし丸木橋
夏夜明け森のアトリエ馬たちぬ
9/3
空を飛ぶ帽子も落ちる夏の終
赤い服九月の雨が牧場に
風見鶏九月の十勝静かなり
夏終わる遺作の馬が駆け巡る
9/4
絶筆の乾かぬ絵具触れたくも
芋実る夫横たわる温し地
秋曇り森のアトリエあるじ亡く
それぞれと自画像語る秋が澄み
9/5
店先に友の絵眺む今日の秋
緑さす牧場見下ろす丘に立ち
夕餉には友を語らん宵の秋
秋の朝一大決意これ観たい
9/6
みどりが電話カバ-受く夏の朝
夏終わる乳を絞りし妹よどこ
秋まじか土曜の夕餉乳うまし
青い物干竿待つ夏の夜明け
9/7
袖口伸ぶ夏の終わりは忙しく
秋を待つ遺作引き継ぐ高揚ぞ
秋の日の退職届ひきとめど
夕映えや千染紅葉がまだ紅く
9/9
作画台さすり見納め春の暮れ
肖像画採用されぬ春の午後
お疲れ様牛乳鍋を春の宵
北の春ロケーションへとはしゃぎすぎ
9/10
牛招く牧場が夏場こだまする
風薫る二人の馬車丘のぼる
馬鈴薯を暴れ流して十勝川
紅葉ふむ森のアトリエ栗鼠招く
9/11
ふくらまし蒲公英の絮吾子の吹く
鮭の群れ光る銀色十勝川
キャラクター作画台でる夏はじめ
キャラの色初夏の緑はかぶりすぎ
9/12
不規則な荷馬車のゆれ若葉もゆれ
荷馬車ゆく洪水の跡芽吹けども
夏来るいよいよ動く打ち合わせ
出来上がる冬の寒さに耐えるキャラ
9/13
暑し時涼しさ選ぶ色見本
夏浅し夜食そこそこ色付けり
草萌える牛乳運ぶ馬車はゆく
秋近し声が大きくオーディション
9/14
白樺の花舞うぬけて馬車はゆく
頬舐める露より温し牛の舌
セル画手に秋の初風髪流し
秋日照り言葉が出ない妹に合う
9/16
冬晴れ間涙にまかせ妹に会う
答えあり木枯らしが吹くさよならと
卓袱台へ襟巻とかず座り込み
冬暖しアニメ始まる急ぎ食う
9/17
冬浅し暖簾をくぐる妹の店
冬始めカウンタはさみ海老褒めて
天丼へつゆかけ姿母が冬
冬ざるる妹が天丼父の味
9/18
冬灯り手紙の父を消す涙
手焙りで匂いを嗅ぎて玉子焼
客がはけ暖簾をしまう冬夜更け
冬の夜古いコートが桐箪笥
9/19
箪笥からとっくりは晴れた冬の空
相談と凍れる部屋へ卓袱台へ
三冬尽く義父の伝授だしの味
冬来る僕の戦争終わりなり
9/20
離婚なり冬の十勝へ電話あり
立ち話離婚成立冬日射す
霜焼けて天丼の味覚えけり
冬ぬくし親方の味父の味
9/21
冬深し開業前のカウンター
三人で父の手紙を凍れ午後
想い描く夏の十勝がわれを呼ぶ
卒寿とも牛舎周りは春めきて
9/23なつぞら俳句
入学式門前写真つぎ仕事
冬日射す原画ぺらぺら検査室
凍れ朝誓う日の神みち決まる
眠るまなし卒寿迎えしひなたぼこ
眠る娘そっとただいまと凍れ日々
9/24なつぞら俳句
北の春朝日の帽子空高く
苺パフェ老友互い励まされ
梅雨の入り戯れ入り水溜り
梅雨さ中線でアフレコ先録りぬ
9/25
友見える丘駆け降りる夏の午後
完成パーテイー事務所の春一休み
登美丘が踊り巻きつくサンドレス
夏暖簾潜れば香る二番だし
9/26
郭公鳴く牧場へ向かうまがりみち
十勝の麓乳牛ぞ若草をはむ
梅雨の前夜明け方向風見鶏
緑さす朝日を浴びて気力湧く
9/27
稲光一瞬世界映し出し
秋嵐せわしく変える風見鶏
台風過全員いでし手で絞り
台風禍遺る馬の絵無傷なり
9/28なつぞら俳句 最終回
馬鈴薯の想ひで話掘り出しむ
白い車十勝の牧場走る夏
空仰ぎひとり吸い込む草の息
草茂る赤黄青と手をつなぎ
夏牧場家族で眺む十勝岳
9/29
牧場眺む赤いサロペット十勝の夏
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