見出し画像

帰省したい

帰省したい。今すぐ帰省したい。

実家に出るゴキブリは超でかいし、他の虫もじゃんじゃん出るけど、
それでも帰省して車で当てもなくドライブしたい。

午前中は近所を散歩して、東京では見られない綺麗な川をのぞいて魚がいないか探して、それだけですごく癒されるし、ちょっと歩けばチェーン店の喫茶店あるから、そこでモーニングを食べる。飲み物はカフェインレスのアイスコーヒー。田舎の朝の喫茶店は人がいなくて静か。まぁ田舎だから元々人いないんだけど。余りに静かでリラックスできるためずっとそこにいたくなる。この喫茶店、私が東京に越してからできたものだ。もし私がいつか
ここに戻ってきても、変わらずここにあってほしい。
店を出たらまた散歩をする。田舎は車社会でもあるから全然歩いてる人がいない。

気持ちいい。田んぼの匂いが最高。

人がいない道を気兼ねなく歩けるこの気楽さ。誰にも遠慮しなくていい。
このままどこまでも歩いていって、昔からあるあの店まで行って今どうなっているのか見にいったり、実は気になっていた建物や、シャッターが閉まっている店の前を通り、ここの店の人はどんな人で今どうしているのかを考えたり、変わらないと思っていたものが変わったり無くなってしまって、自分の中に残っている故郷の風景が実はとても貴重なものだったんだと思い知ったり。
昔は寂しくて虚しさしか感じなかったこの人のいない風景が、
人がたくさんいるのが当たり前の東京生活を経て、すごく恋しくてたまらなくなった。なんてわがままで無い物ねだりなんだろうか。

私が上京する直前まで働いていたとこで知り合った子達と行った喫茶店、
皆と一緒にコーヒーゼリーを食べたっけ。あの店は今はどうなっているのか。やっているのかやってないのかわからない店が地元にはいっぱいある。
そういう店を観察しながら店の中はどうなっているのか、店主はどういう人なのか想像するのが好き。あの店の店主はどういう人だったか、あやふやにしか覚えていない。たった一度しか行ったことない店だけど、たぶん私は死ぬまで忘れないだろう。毎回帰省する度に買いに行くケーキ屋のモンブラン。これよりもおいしいモンブランは東京にいっぱいあるけど私はこのモンブランが一番好きだし、店がなくなっていない事に安堵したり、東京にはないチェーン店にあるなんてことないラーメンも、小さいころからこれを食べて育ったからもうおふくろの味なんだ。

私と仲良くしてくれた子達、もう連絡はとれないけど、元気にしているかな。幸せになっているかな。たぶん結婚して子供も生まれてお母さんになっているだろう。もう会えないけれど、もしまた会えたら話がしたいなぁ。
東京であった事とか、聞いてほしい話がいっぱいある。
どうか元気でいてほしい。
こんな私と仲良くしてくれてありがとうってあの時言っておけば良かった。

今年は帰省ができない。私にとってあそこは辛いことがいっぱいあった場所でもあるし、今でもきっと田舎特有のどうしようもないとこが未だに残っていたりするんだろう。でも、あそこには昔の自分がいて、今の色々失くしてしまった自分が、一時だけ失くす前の大丈夫だった頃の自分に戻れる唯一の場所なんだ。
もし東京にいる必要がなくなって、実家で余生を過ごすことになったら
最期はどんどん若返って、生まれる前まで戻っていって、消えるように死ねたらいいなと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?