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「聞く力」が命を救った事例

「聞く力」は受動的(受け身)だという印象があるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。

その理由と共に「聞く力」が命をも救うという事例をご紹介します。

この事例に登場する人は、Gさんです。

Gさんは農業を営んでいましたが、その取り組みを本にまとめて出版したところ、それが大変好評でその後、講演依頼なども舞い込んでくるようになりました。

すっかり気を良くしたGさんは、すべての依頼を受け入れ、すべてに全力を注いでいきましたが、いつしか周りが求める人物像と、生の自分とのギャップに苦しむようになりました。

今までは農業にすべての時間を費やしてきましたが、その農業の現場が乱れてしまい、本人が最も望まない現実が起きてしまいました。

しかし周りからは素晴らしい人であるという強い認識が生まれ、そのギャップに苦しむことで最終的には鬱状態になってしまいました。

この時のGさんは「車ごと崖から落ちたほうがいいのかもしれない」とか「このままでは死んでしまうかもしれない」などと思うこともあったそうです。

そんな時に知り合いのYさんがSNSで投稿した内容に対して「1回くらいはサッカーでも見てみたいな~」と呟いたそうです。

するとそのコメントを見たYさんは「え〜そうなんですか~。嬉しいです。では今度ぜひ一緒に行きませんか?」とさっそくお誘いをして、その2週間後には、実際にGさんを連れてサッカーを見に行ったそうです。

しかしその時のGさんは、どん底の状態だったようで、本人に言わせると何かをきっかけに「死」を自ら選択する可能性はあったし、本当に不安定で危ない時だったそうです。

ではなぜその時にYさんに、それまで特に興味がなかったのに「今度サッカーでも見に行きたいな〜」なんて呟いたのでしょうか?

後からGさんに聞くと「何でもいいから何か変えないといけない」と思っていたそうです。

ではなぜその時に呟く相手が、Yさんだったのでしょうか?

それは「話しやすい人」だったからだそうです。

この時のGさんは「死ぬ」という選択肢もあったとのことですから、ある意味では「聞く力」が、1人の命を救ったのです。

「聞く力」は「相手が心地よく話すことをキャッチする力」ですが、この事例では「話しやすかった」という印象を与えているところが「相手に心地よく話をさせる力」であり「一緒に行きませんか?」とお誘いしているところが「話をしっかりとキャッチする力」なのです。

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