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教育の市場規模を改めて確認する

みなさんは、日本の教育市場がどれくらいの規模感かご存知ですか?

前回は人口減をテーマに書いていきましたが、少子化が言われている現代よ日本において教育の市場はどのような変化があるのか見ていきたいと思います。

今回のテーマを上げた理由は以下の2点です。

1.改めて教育業界の経済的なポテンシャルを確認する
2.弊社のミッション、ビジョン、バリューを見定めたうえでどこで戦うか(TAMやSAM)を明確にするための参考指標を探る

それではいってみましょう。

日本の教育市場について

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mirainokyositu/pdf/001_03_03.pdf

2015年の市場規模になりますが、日本の教育産業は全体で2兆5000億円規模の市場規模を誇っている業界です。

ちなみに2021年の市場規模は、2兆8333億円規模ですので、この7年間で12%ほどは増加している計算になります。

また、教育産業の中でもさらに細分化された産業の市場規模シェアは以下のようになります。

-  学習塾・予備校市場:38%
-  英会話・語学学校市場:12%
-  企業研修サービス市場:20%

これを確認する限り、日本の教育産業の4割は学習塾や予備校のマーケットであることがわかります。2.5兆円と考えると6,000億円程度になるということですね。

世界における日本の教育市場規模

続いて世界における日本の教育市場規模を確認していきます。イメージとして、日本は教育にお金をかけなさすぎると言われているイメージですが、行政データは後ほど見せますが、実は教育市場全体を見ると、世界第3位の規模になっています。

以下のデータは2011年のデータになるので古いのですが、このような結果になっています。

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mirainokyositu/pdf/001_03_03.pdf

世界3位ということで、世界的に比較して教育市場は大きい方に値しますが、実は見なければならないところは、人口一人あたりと増加率の部分です。

総額は大きいが、一人あたりで考えると先進国の中でもかなり少ないということがデータを見てわかります。

また、教育市場とGDPは相関関係にあるということが本レポートでも記載があるのですが、多くの国ではGDPの成長率よりも教育市場の成長率の方が上回る傾向にありますが、日本は下回っているところも印象的です。

文部科学省の令和4年度予算

続いて、文部科学省の予算部分です。少々市場規模の観点からは話題が逸れてしまいますが、国の予算配分としてどれくらいのコストが教育に割かれているのか、という点は知っておいた方が良いと思ったのであえて含めています。

https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2022/seifuan2022/11.pdf
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2022/seifuan2022/11.pdf

これを見て分かる通り、大体総額が5兆4000億円程度で推移しています。また、そのうち文教関連の費用で行くと4兆円程度です。

そして義務教育課程と高等学校に関する予算に関してはその半分に当たる2兆円であることがわかります。

主な教育関連企業の市場規模

https://gyokai-search.com/3-kyoiku.htm

こちらは、上場している教育企業の29社を元に集計した市場規模になります。業界リーダーの企業を主にリストアップがされています。それらを合算すると1兆円程度になるというところです。先程あげた教育の市場規模が2.5兆円でしたので、それの40%にあたる規模になります。

ここからは、以下それぞれのグラフに関するコメントを記載しています。

https://gyokai-search.com/3-kyoiku.htm

※業界規模の定義:業界における主要対象企業の売上高の合計を表したもの

https://gyokai-search.com/3-kyoiku.htm
https://gyokai-search.com/3-kyoiku.htm

コメント

  • 業界全体で見ると教育業界は117位

    • 関連業界の出版業界は9000億の業界別では119位とほぼ同規模

  • 学習塾では、少子化で子供は減るも、塾の売り上げは増加傾向

    • 学習塾の個別指導塾の割合が全体の40%程度にまで成長

  • 外国語会話教室授業の売り上げは年によってばらつきがある

業界シェア&売り上げ

https://gyokai-search.com/3-kyoiku.htm

コメント

  • 教育業界全体の56%がベネッセHDと学研HD

  • 教育企業別では、ベネッセが1位の4275億円、ついで学研HDが1435億円

  • 売り上げが1000億円を超える企業は2社のみ

    • なお、10位~20位までの売り上げ規模が100億台

    • オンライン学習系では、レアジョブは53億、すららネットは16億

経常利益ランキング

https://gyokai-search.com/3-kyoiku.htm

コメント 

  • 経常利益でも売り上げランキングと概ね上位は変わらず。1位のベネッセは92億

  • 経常利益が100億を超える企業はない

  • レアジョブは6.2億、すららネットは5.4億

  • 経常利益が10億を超える上場企業は11位まで

利益率ランキング

https://gyokai-search.com/3-kyoiku.htm

コメント 

  • 利益率で20%を超える企業はすららネットのみ、ついでステップが2位の11.9%

  • 3位以下は利益率は10%以下

  • レアジョブは7.4%

  • 売り上げ、経常利益ともに1位だったベネッセは0.7%とほぼ横ばい (純利益が31億)

純資産ランキング

コメント

  • 純資産の1位はベネッセの1750億、ついで学研HDの362億

  • 利益率で1位だったすららネットは12億、レアジョブは21億

EdTech市場の分析

- JETROによると、2025年のEdTechの世界市場規模は38兆円
    - 2018年の市場規模は17兆円だったためほぼ2倍
    - 日本のEdTech市場規模は2400億円ほど
        - 教育業界全体の10%程度

出典元:マナミナ

オンライン教育業界のユーザー数推移

https://manamina.valuesccg.com/articles/1590

コメント

  • 上位1位、2位はオンライン英会話とプログラミング教育で240万人程度

    • コロナ前と比べて成長率は、プログラミング教育が157%、オンライン英会話が115%

  • 成長率で特筆すべきなのは、社会人リカレント教育。成長率は185%

まとめ

いかがだったでしょうか。あまり比較対象が今回はなかったので、どれくらいの規模感なのかがイメージがつきづらかったと思います。

次回以降は国内と国外を比較した教育市場についてもまとめていきたいと思います。

全体のマーケットで見ると2兆円を超える規模の市場が存在するので、まだまだ狙えるマーケットはある印象ですが、それでも各上場企業の売上高を見ると1000億を超える企業はたったの2社のみ。

それ以外は、数百億円企業があり、10位以降は100億円台ということで、他の市場と比べるとなかなか難しい市場な気もしています。(ここも比較対象が少ないのでなんとも言い難いのですが。)

今後は、これらの数字を参考にしながら、どの領域に対して法人としてアプローチしていくのか、その奥に潜んでいる社会課題に目を向けながら、TAMやSAM、SOMを明らかにしていきたいと思います。

ではまた!

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