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ICT教育完全浸透後の教育を考える

みなさんこんばんは。2021年のGW最終日、しかも日付が変わる前に書いています。今年のGWはいかがお過ごしでしょうか。緊急事態宣言が出ていたりとなかなか思うようなGWを過ごすことができなかったかなと思います。私は全然思うようにはいきませんでした。。汗

まだまだ不安定な2021年ですが、とうとう4月の新学期からGIGAスクール構想がスタートしました。おそらくタブレット端末が届いたくらいのタイミングで、本格的な活用は5月からという自治体や学校が多いと聞きます。実際に端末を活用開始しても、今年度中は手探りなところも多いと思います。

今はまだICTを活用することに目新しさを感じることがあったとしても、数年後にはICTを活用することが当たり前の世界がすぐそこに迫ってきています。この流れには抗えないでしょう。

ICTを活用することのメリットについては過去のエントリーでも書いてきました。みなさんも既にいろんな記事を拝読したり、知っていたりするのではないでしょうか。

ただし、タブレット端末を息を吸うように使う日常を強烈に想像している世界を見ている人はまだまだ少ないように思えます。

今日は、ICT教育が完全に浸透しきった後の世界を思い浮かべ、どのような教育がそこに待っているのかを述べていきたいと思います。

ICTが当たり前になることで、PBLやグループワークなど、深い学びの実現や個人の学習進度にあった内容の問題を出題されるなど様々な学びの変化がありますが、今回はその中でも特に社会人に役に立つであろう3つの教育的方法について記載しました。

ググり方を学ぶこと

まず一つ目にあるのは、「ググり方を学ぶ」です。"ググる"とはその名の通り、"Googleで検索する"という意味ですが、ICTの利用が当たり前になると、何かわからないことに直面した時、何かを調べるときにGoogleを使った検索は多用されることが想定されます。こちらは既に実施されている学校も多いのではないでしょうか。ICTと言ったらまずはインターネットを使って何かを調べる、が一番手っ取り早いですよね。

一方で、このプロセスにおいて重要になるのはどのようにググるか、ということです。特に中学生までの児童・生徒は語彙もまだまだ限定的な中で、どのように自分の知りたい情報にリーチするか、ということは非常に重要です。

実はGoogleで検索するときには様々な工夫が必要です。

先生からの問いに対して、そのままの問いを入力しても適切な回答が出てこない場合があります。その場合は、問いの中で重要となるキーワードを判断し、要約をして、検索する必要があります。それでも出てこない場合ももちろんあります。その場合は、キーワードの類義語や関連する単語を並べて検索にかけることでより知りたい情報に近いものを入手することができます。

しかし、それらの関連単語や要約力が欠落していると、いつまで経っても自分の知りたい情報にはリーチできません。

実社会でも同様のことが多々あります。自分が企画書を出したいときに、自分の提案を裏付けるデータや資料を作成しなければなりません。その際にどのようなデータや資料を内容に盛り込むかは自分の頭で考えなければなりません。その際に、自分の提案をサポートする情報を検索して、根拠を組み立てる能力は必要です。

ICTを活用すると自分の論説を補助する情報を見つけるために自分で論理を構築する能力が育まれます。

ICTを活用しても成り立つテスト実施

2つ目は、ICTを活用しても成り立つテストです。今のテストの大半はタブレットなどのデジタル機器の持ち込み禁止なのではないでしょうか。テスト中は、それこそGoogleを検索してはいけないし、何かの単語の意味を調べてもいけないでしょう。

ICTが当たり前の世界になると、場合によってはタブレットの端末を持ち込んでもOKなテストが出てくるのではないかと考えています。

これはまた別のエントリーで「テストについて」詳しく記載したいのですが、仮にテストの目的として、何かのテストで児童・生徒の学習到達度のチェックをするというものであるならば、ある程度の知識の蓄積がなければ時間内に終了することのできないテストの設計をすることによって、よりフェアな学習到達度のチェックができるのではないかと考えます。

どういうことかというと、私もそうでしたが、今までの暗記型のテストだと一夜漬けでもそれなりに詰め込めばなんとかなったりします。しかし、テスト後一週間で詰め込んだ知識は全てどこかへ消えてしまいます。この現象は実はテストの目的が点数を取ることになってしまい、本当の学習到達度を表していないということになります。

本当にその単元を理解しているか、ということを考えると、例えば文法のロジックがちゃんとわかっているか、歴史的出来事の発端の背景やその後のストーリーがつながっているか、この数式とこの数式を使うことでどのような類の問題を解くことができるか、など何かと何かの繋がりをしっかりと理解しているかどうかを判断の軸としておくべきなのではないでしょうか。

そう考えると、その繋がりさえ理解していれば解ける問題を用意し、その繋がりに必要な情報はICTを活用して気軽に入手できるような体制であっても問題はないのではないかと考えています。また、テスト中に繋がりさえも理解しようとする児童・生徒もいるでしょうが、それを行うには時間が足りない設計にしておけば問題はないと思います。

かなり新しい切り口のテスト設計方法だとは思いますが、社会においてこのようなことは日常茶飯事です。現象と現象をつなぐ情報はネットで検索しますし、むしろ論理構成をするにはICTを使うことは当たり前なので、教育課程においてもこのようなプロセスを学ぶことは必要です。

プレゼンテーションの機会が増加

最後にプレゼンテーションが増える、です。これは一番想像しやすいのではないでしょうか。一人一台の端末があれば、いちいちPCルームに行かずとも簡単にプレゼンテーションを作成することが可能です。

文科省は「主体的・対話的・深い学び」の実現のため、PBLや探究活動を積極的に促していますから、今まで以上にグループワークが増え、最終的なアウトプットとしてプレゼンテーションのような場が設けられると思います。

単元ごとに学んだことを発表したり、総合的な時間(今後総合的探求の時間になりますが)などでは自分の興味分野やテーマに沿ったプレゼンテーションなど、これまで以上に問いに対しての考えやリサーチした内容を発表する機会が増えます。

これもとても重要なことで、社会人になったときに自分の意見を形にして述べることが求められます。また、プレゼンテーションも論理的思考に基づいて論を展開する必要があります。そのため、何が問題で、それに対する解決策は何か、わからないことは何か、をしっかりと明確にする必要があります。

また多くのオーディエンスを説得するための伝え方や情報を盛り込む必要があります。それは最初から必ずしもできるわけではありません。特に日本人は他の国々の生徒に比べて自分を表現することが少ない傾向にあります。

そのため、タブレット端末を使ってプレゼンテーションの機会が増えることは必須といえるでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。これらから何が言いたいかというと、ICTが学校の日常に浸透することで、実社会で仕事として行われていることと学校でやっていることのレベルが一緒になることです。もちろん学業と仕事の業務では内容は異なりますが、「情報と情報をつなぎ合わせて論を構築すること」や「他者にその論を伝えること」は変わりません。

それらを教育課程の段階で学んでおくことによって、これからを生きる人材になっていくだろうと考えています。このような未来が近い将来実現するのか、はたまた違う路線に進んでいくのか、興味深く見ていきたいと思います。



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