コロナ禍における世界の教育動向変化 - Asia-Pacific Region -
生きる力、クリティカル・シンキング、アンコンシャス・バイアスと思考・能力系ネタが続いたので、今回は教育業界動向についての内容になります。
先日、私は友人にノミネートをしていただき、UNESCOのAsia-Pacific Regional Education Minister's Conference (APREMC)のYouth Consultationに参加させていただく機会がありました。
私が参加したのは、あくまでConsultation(相談会)になるので、実際の会合で行われる際のステートメント作成のための意見交換を事前に行った、というものです。会合は2022年の6月5日に行われ、私の友人は参加していました。詳しくは以下をご覧ください。
相談会とはいえ、同グループには、インドネシア、シンガポール、東ティモール、日本と多様な方々と意見交換をしてきました。
国際的な場でしたので、非常に面白い話でした。
その面白かった体験談をここで書きたいのではなく、この会合に参加したことで、改めてコロナ禍において日本だけでなく、世界の教育も変化していることがわかりました。
真っ先にキーワードとして出てきたのが、"Digital Awareness"、”Digital divide”です。つまり日本で言えば、ICT教育の部分ですね。
また、世界にはコロナ禍で教育にアクセスできない子どもたちの実態についてのレポートも事前に読みました。
この辺りを今日は詳しく掘り下げていこうと思っています。世界的な部分について掘り下げようと思ったのですが、膨大な量になることが予想されるので、今回はアジア・太平洋エリアに限定した内容で進めていこうと思います。
ちなみにアジア・太平洋エリアの諸国はこちらの国々を指します。
アジア・太平洋エリア諸国の教育事情
コロナ禍によってどのようなインパクトがアジア・太平洋域の諸国で発生したのかは以下のような記載があります。
上のレポートによると、コロナ禍によって7億6,000万人に対して教育へのアクセスができなった影響があり、これによって10歳までに読み書きのできない世界の子どもたちの割合が、53% (2019年) から63% (2021年)に向上しています。
また、経済的インパクトにつながるか、に対しては約1,600兆円の潜在的な未来の収入が失われる予測や健康状態や寿命にも影響が出るとしています。
日本の教育はというと、もっぱら文部科学省のGIGAスクール構想により1人1台の端末配備が一気に進み、学びへのアクセスを絶やさぬような措置が取られました。それにより一定期間、日本でも学びにアクセスできない期間はあったものの、今では特に問題なく学習を進めることができています。
一方で、コロナ禍によってこのような大きなインパクトがある、ということを知らなければなりません。
SDGs Goal 4 : Quality Education
さて、これまであげてきた影響については、SDGsのGoal 4:高い質の教育をみんなに、において非常に重大なニュースです。
SDGsのGoal4は、すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進するというものです。
詳しくはぜひ、弊社の教材「Thinking Critically about SDGs」を体験していただきたいです。笑
また、Goalだけをみると、抽象的です。SDGsには、具体的にGoalの低次元の項目として、TargetsとIndicatorsという細分化された詳細指標があります。
例えばGoal4のTargetsとしては以下のようなものがあります。
このどれもがコロナ禍において影響を受けており、先述した部分に該当するのは、4.6です。
またIndicatorsに関してはターゲットからさらに細かい指標になり、量が膨大なので興味のある方は、以下のサイトからご覧ください。
Asia-Pacific RegionのSDGs Goal 4達成度合い
せっかくなので日本のTargets & Indicatorsの達成度合いと他国の達成度合いをいくつかご紹介します。
まず、こちらが世界におけるGoal 4の達成度合いになります。日本は所謂達成したというステータスではあります。
日本のIndicatorsの達成度合いです。概ね日本の教育はSDGsが定義する基準は超えています。これは日本の先生や様々な機関の努力の成果です。日本の教育はダメだ、レベルが下がっている、なんて揶揄されていますが、頑張っています!
一方で、アジア・太平洋圏の他の国々をいくつかみてみます。
カンボジア
タイ
ミャンマー
東ティモール
中国
韓国
オーストラリア
いかがでしょうか。
多くの調査は2019年までに実施されたものですので、コロナ前の数値になっています。コロナ禍によって、東南アジア諸国はこの数値よりも悪い結果になってしまったということです。
横並びに見てみましょう。
リストアップした国々や項目に関しては私のランダムに抽出したものなので、特別何か意図があってこの国々になっているわけではありません。
そして、ここにさまざまな課題や示唆できる内容を含んでいますが、今回の趣旨はコロナ禍における動向変化ですので詳しくは述べません。参考にしていただければと思います。
今回はあくまでコロナ禍によって、上に出ているような数値よりも悪化する項目がある、ということを知っておくことが大事です。
コロナ発生後のAsia-Pacific Regionにおける教育の変化
上にも記載がある通り、世界的にコロナ禍において、遠隔授業やデジタルを活用した学びが普及しています。
一方で、”Digital divide”と表現されるように、コネクション、デバイス所有、活用スキル、そしてジェンダーギャップによってさらに教育機会の格差や平等性が失われていると指摘があります。
これらを解決するために各国は対応に強いられていると報告しています。
たしかに私が学生時代に活動していたカンボジアの農村部では、インターネット通信がないオフライン地域でした。5年前の話ですので、今は変わっているかもしれませんが、おそらく地域によっては、電気が十分に使えない、インターネットが使えない、デバイスを使って学習ツールとして利用したことがない、といった場所が存在するであろうことは想像できます。
そのような地域においてはコロナ禍において安定した学びの供給は難しい、ということです。
まとめ
今回はかなり表面的な数字のみでみていきました。少なくとも私自身はここ2年間、コロナ禍の教育を国内の視点で主にみてきました。
しかしながら、世界の教育も同様に影響を受け、デジタル化のためのインフラがまだまだ不十分な地域においては、かなり大きな影響があるということがわかりました。
この事実に対して、我々ができることは何かを考えて、行動に転換していく必要がありますね。
これから次回以降の投稿はよりスコープを絞って調べながら考えていきたいと思います。
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