[北欧教育]フィンランドの音楽教育に見たもの

明日大晦日といえば日本では紅白歌合戦が放送される日ですね。
ある意味日本の音楽シーンが最も盛り上がる日ではないかと思います。
そんなわけで紅白歌合戦前日にフィンランドの音楽教育現場で見たものについて書いて行きたいと思います!
ちなみになんですがフィンランド人もまた音楽を非常に愛する国民です。
特にフィンランドで人気があるのがヘビーメタル!
シャイな国民性と言われるフィンランド人ですので意外かと思われますが、あのエアギター選手権の発祥の地でもあるんですよ(笑)
まあ、今回の本題とはあまり関係ないのでこれ以上は膨らませませんが。

音楽室の楽器

僕が実際に見学したのは小学四年生の音楽の授業でした。
ちなみにフィンランドの義務教育過程では英語(もしくは他の外国語)の授業以外は全てフィンランド語でデリバリーされるのが一般的です。
ですので授業中の会話や指示はまったく聞き取れないのでその時の児童や先生の行動で予想します(笑)

そんな曖昧な感じの見学でも日本との違いが簡単に見てとれるのが楽器です。
小学生の時の音楽の授業を思い出して欲しいのですが、皆さんどんな楽器を演奏しましたか?

おそらく思い浮かぶものは
リコーダー、鍵盤ハーモニカ、電子オルガン、ピアノ、タンバリンなどの簡単な打楽器、木琴や鉄琴
といったものだと思います。
しかもリコーダーやハーモニカは自分達で揃えさせられましたよね。
人によっては兄弟や知り合いのお古を使っていたかたもいるのではないでしょうか。

ではフィンランドの音楽室にはどんな楽器があるでしょうか?
もちろんオルガンやピアノはあるのですが、他にもアコースティックギター、エレキギター、ベース、ドラムセット、チェロ
と「古今東西楽器の名前」でもしようものなら必ず出てくるような楽器は大概揃っています。
もちろんエレキギターやベースようのアンプや、これらに声量が負けないようにマイクロフォンまで用意。
ちなみにこれだけのセットが標準装備となるので、フィンランド中どこの学校に行ってもこれらの楽器に巡り会うことができます。
正直に言ってフィンランドの子供達が羨ましい…

音楽の授業

この時行われていた授業は子ども達が演奏したい楽器を前半部分で練習し、後半部分で合奏するというような流れでした。
先生からの指導があって、解散すると直ぐに各々の弾きたい楽器に向かってまっしぐらに進む子供達。
北欧教育らしさが伺えます。
その後先生の合図で練習をし始め、次の合図でピタリと演奏が止みます。
フィンランド教育のすごいところは自主性と規律の調和が見事にとれている点でしょう。
小学生の時分なんてのはしたいことをしているときに止められるのが大嫌いなものですので、それをしっかり統率できる先生は流石としか言いようがありません。
最後はグループに別れて演奏の御披露目。
各々のグループへのフィードバックをし終了です。

音楽の先生がまさかの…

ちなみにこの授業には音楽室に先生が三人いました。
主に前で授業の指示をする先生。
後ろで子供達を見張る先生。
担任の先生らしき先生。
いくらなんでも多すぎひん?
と思った僕は授業後に後ろで見張っていた先生にインタビューしてみました。

僕:教室に先生が三人もいたけど、いつもこんな感じなの?
先:違うよ。そんなに先生要らないもん(笑)
僕:だよね。じゃあなんでそんなにいっぱいいたの?
先:今日授業していたのはティーチャートレイニー(教育実習生)なの。
僕:え!

なんと、自由奔放な子供達の授業を自信満々に指揮していたのはまだ学生の方だったのです。
言葉が聞き取れないのもあるのですが、あまりにしっかりした先生だったので、普通の教師だと思っていました。
フィンランドで教師というのは非常に人気な職業。
大学院の修士課程を卒業する必要があり、その倍率は弁護士などと双肩をなすほど合格難易度が高い職種であるため、教育実習生と言えどもその指導力は日本の先生方と比にならないのかもしれません。
もちろん日本の先生方を非難するわけではなく、これは制度的にそうならざるをえないのかと思います。

ちなみにフィンランドの音楽教育についても少し聞いてみました
僕:フィンランドでは小学生でも音楽の時間にギターを演奏するんだね。日本ではリコーダーが一般的なんだけど、フィンランドではしないの?
先:うーん、別にできないわけじゃないよ。でも、リコーダーに子ども達が興味をしめさないでしょ?少しでも音楽に興味を持って欲しいから、できるだけ身近な楽器にしているの。

ほんとその通りですよね(笑)
日本の小学生でリコーダーが好きでやっている子どもなんてなかなかお目にかかれないのではないでしょうか?
確かに音楽の時間にリコーダーを演奏することには重要な意味があるかと思います。
指先を動かすことは知能の発展に繋がりますし、息づかいをもって強弱に気をつけることは団体での調和性を育むために必要なのかもしれません。
でもそれはどのような楽器においても身に付く能力であり、それなギターやドラムセットではいけないという理由にはならないですよね。

これは凄く感覚的な事なので絶対とは言えませんが、フィンランドの音楽教育には「将来」の前に「現在」があるのだと思います。
確かに学校というのは将来生きていく上で大切な能力を磨く場です。
しかしこの場所で楽器を演奏し、音楽の調べに耳を傾け、何かを心の奥に感じている主体は紛れもなく将来ではなく現在の自分なわけです。
だからこそ、彼らは「現在」が楽しく、「将来」にも役立つ授業を展開するのではないでしょうか?

というわけで今回の纏めです。

フィンランドの音楽室には楽器がいっぱい
教育実習生でも指導力が高い
ギターを演奏するのは今が楽しいから

今回はフィンランド教育のかなり実践的なところに触れましたが、これからはさらにディープなところもついていきたいと思います。
今回もご精読ありがとうございました!

moimoi