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オバマ元大統領の提案

こんにちは。ワシントンDCに住んでいる教育研究員の識名です。

2020年6月現在、アメリカの各地で起こっている黒人男性死亡事件に対する抗議活動、一部で過激化したり関係のない人が紛れ込んだり混沌としています。私のお気に入りカフェは焼かれ、友人達のオフィスも破られてしまいました。これからどうなっていくのだろうと皆が不安に思う中、オバマ元大統領の提案が素晴らしいなと思ったので紹介します。問題提起の次は、どうしたら解決できるかを考えたいなと思っている方に読んでもらいたい。キーワードは「地方自治体」と「具体化」です。

(注)まず、この各地でのデモの発生の経緯やその背景については、すでに書かれている方が多いので、省略したいと思います。ドミノ倒し的に起こったと言われている出来事。アメリカではトレーバノアの動画が話題となりました。日本語訳している方がいらっしゃるのでそちらも是非。ただ、私はワシントンDCの昼間の平和的なデモと夜の暴徒化をみて、暴れているのはデモと関係ない人が多いなと思っています。インスティゲーター(デモに紛れ暴徒化させる人)の目的や正体については、わからないことが多いので記述は控えます。昼間のデモは、警察が膝をついて謝り一緒に行進する地域があったりと、平和的で希望を感じるものでした。州によって状況は異なると思います。

問題は何か

複雑にドミノ倒しのように起こった今回の抗議運動。問題は何でしょうか。人種差別?格差問題?オバマさんのイシュー設定はこうでした。

今回の運動は警察の慣行と刑事司法制度改善に何十年も失敗してきたことへの抗議です。私たちは暴力に訴える少数の人を非難すべきです。尊敬とサポートに値する大多数ではなく。

もちろん、様々な問題が複雑に絡みあった今回の抗議運動、これだけではないと思います。個人の心の中の差別問題には向き合い続ける必要があります。でもシステムとして次のGeorge Floyd氏を出さないために解決すべき問題に焦点を絞ると、これだけ何度も何度も同様の事件を起こしても変わらない警察の慣行と刑事司法制度を変える必要がある。報道にもある通り、George Floyd氏の死を悼み、共に行進する警察官もたくさんいます。オバマ氏はこれを暴走する一部の警官を止められないシステムの問題としています。

問題解決のキーパーソンは誰か

では誰にどう働きかけたら良いのか、オバマ氏は「地元の政治家」であると述べています。

アメリカは分野によって国(連邦政府)の力が強いものと州の力が強いものがあります。警察の慣行や刑事司法制度に問題があるとしたら、それを変えるキーパーソンは国会議員というよりも地元の政治家。

どう働きかければよいのか

では、その「地元の政治家」にはどう働きかければよいのでしょうか?オバマ氏はこう述べます。抗議活動で世の中の問題意識を喚起した上で、地元の政治家に具体的なルール作りを要求し、実行しなければ次の選挙に落ちると思わせること。

差別的な行動をすると問題になるなという雰囲気をつくりあげることと、それを制度に落とし込むことが両方大切。

具体的な制度につなげることができたら、本当に世の中を変えることができる。抽象的なリップサービスで終わらせない。

行動したいと思ったら

そしてオバマ氏は、行動したいと思った人たちのために、サイトをつくりました。タイトルは「ANGUISH and ACTION」。苦悩と行動。署名やGeorge Floyd氏の遺族への寄付、地元の制度改善のためのアクションをとっている団体の紹介など、解決に向けて行動したい人や学びたい人のための行動のリストです。

自治体の首長が、問題解決のために制度をつくることを宣言できるページも。住民は自分の住んでる地域の首長がこれを宣言するよう声をあげることができます。

こんなときに、希望と具体的なアクションを提案できるオバマ大統領のリーダーシップを素晴らしいなと思いました。昨日まで悲しみにくれていたのですが、オバマ大統領の発言を読んで、このエネルギーを良い方向に変えることがきっとできる。私たちも歴史の一員なのだなと鼓舞されました。

11年前、白人警官の対応でアメリカが騒動になったとき、坂之上洋子さんの記事「オバマの問題解決能力」を読んでいたので、今度はどんなことを言うのだろうと思っていました。相変わらず、起こった出来事をポジティブに変換する力がすごいなと思いました。私も今までの不勉強を反省し、出来ることからはじめようと思います。まずはオバマ氏のサイトのGet Informedのコーナーを読んでみます。

余談というか自慢なのですが、ハロウィンの際、オバマ家からチョコをもらいました。近所の子どもたちと回っていたため完全におこぼれですが、宝物です。心が折れそうになったときに、握り締めようと思います。(溶けちゃうよ)

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今回の抗議運動が、社会システムの改善につながりますように。
きっと出来ると思うんだ。

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