世界の教養:黒死病(ペスト) ー 人命を奪うだけでなく、法や秩序を破壊

今回紹介するのは、1347年〜1350年に大流行した黒死病(ペスト)です。

ペストは、嘔吐、下痢、皮膚が黒くなるという症状が現れてから、わずか数日で死亡するという恐ろしい病気で、発症してから猛烈な勢いで広まりました。ヨーロッパでは、人口の三分の一が命を落としたと言われています。

ペストは、人命を奪うだけでなく、法や秩序を破壊しました。当時の小説でペストについて、「聖職者も法を執行すべき人も、死んでしまったり、閉じこもったりしたので、どんな職務も実行されなくなり、もう誰もがやりたい放題だった」との描写もあるようです。

人々は、教会の教えや政治秩序に疑問を持つようになりました。(神がこのような病を放置するはずがない、という考えから)。そして、中世の古い封建制度は破壊され、時代はルネサンスへと進んでいきます。


参考文献
デイヴィッド・S・キダー, ノア・D・オッペンハイム, 小林朋則 訳, 文響社, 1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365, 2018年, 84p

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