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CLIL(内容言語統合型学習)とは?ー新しい時代の英語教育

この記事を書いている人

記事の信頼性を高めるために、プロフィールを書いています。

【職業】
 英語を教える仕事をしています。教歴26年。

【研究】
 1. 言語と脳の研究で博士号を取得。英語等の外国語や第二言語の習得メカニズムを解明する研究をしています。
 2. 英語教育の開発。学術的知見に基づいた英語運用力の習得、コミュニカティブアプローチ (CLIL, TBLT)、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)、テスティング理論を組み合わせた英語教育の開発。

【資格】
 英検1級、TOEIC4技能満点、Cambridge Council of Europe Level C1


CLILはContent and Language Integrated Learningの略で、その名の通り内容と言語の両面を身につけるアプローチです。今では、CLILという言葉を聞いたことのある人が多いと思いますが、まだこのアプローチが広く知られていない時代から、私の授業に取り入れています。

CLILは何が良いのか?

CLILは単なる言語学習を目指したアプローチではありません。もっと広い視野を持った素晴らしい概念です。なぜCLILが素晴らしいのか?それを示すためには、時代背景を理解する必要があります。

時代背景

狩猟社会Society 1.0、農耕社会Society 2.0、 工業社会Society 3.0、情報社会Society 4.0、そして現在はSociety 5.0の時代に入ってきています。人間が行なってきた仕事をAIが取って代わる時代になってきました。産業革命以降、工場等で活躍できる人材の育成、すなわち同じことができる人を育てる教育が推進されてきました。しかし、そのような職業がAIやロボットに取って代わる時代に突入していると思われます。

そのような社会の中で、必要なスキルとは何か?これを考える必要があります。教育学者のKen Robinsonは、これからの教育に必要なのは「創造性」と「個性」を育むことだと述べています。「新しいものを生み出す力」が人間に与えられています。そして、それぞれの「個性」を育む教育が必要であると。Robinsonのプレゼンテーションで、座ることのできないダンサーについて話されています。現代だと、ADHDと診断されてしまいます。座ることが難しい子供に座らせようとする大人。母親が専門家に相談したら、ダンススクールに行けば良いとのアドバイスをいただき、その子はトップダンサーになれたという話です。まさに「個性」が活かされた事例です。しかし、多くの国では標準化テスト主体の教育を行っています。皆んなが同じテストを受ける。同じ目標に向かうことは、個性を犠牲にしてしまう可能性があることが示唆されます。




CLILに話を戻すと、

CLILという教育手法は「創造性」と「個性」を育むことができます。生徒・学生の発想を大切にし、それぞれの個を大事にします。英語はどこに行ったの?と思うかもしれませんが、創造性と個性を育む過程で英語運用力も習得しようという教育手法です。

CLILには4つのCで構成されています。
Content(内容)
Communication(言語)
Cognition(思考)
Community/Culture(協学)

Content(内容)

学習言語で情報を得ることです。言い換えれば、英語で調べ、学び、情報を得る活動を意味します。英語レベルによりますが、高校の上級学年や大学生の場合は、インターネット上で英語で情報を得る活動等をします。この活動は、言語習得に最も重要な「意味重視のインプット」を実現させることができます。英語は、あくまでも情報を得る手段。しかし、これが英語を習得するのに最も大事な活動です。

Communication(言語)

言語使用において、ターゲットの文法や表現に「気づき」を起こさせる活動をします。例えば、ターゲットの文法が目立つように文字を太くしたり、線を引いたり、内容理解と同時にターゲットの文法に気づきを起こさせます。また、そのターゲットの文法や表現をコミュニケーションで実際に使用することで、習得を目指します。また、議論や発表の仕方を学ぶこともCommunicationの活動に入ります。

Cognition(思考)

授業全体の活動を通して、Bloom's Taxonomyの6つの思考力を取り入れます。
思考力には、低次思考力と高次思考力があります。思考力は低次から高次にかけて「記憶」「理解」「応用」「分析」「評価」「創造」の6種類があります。従来型の教育は、暗記などの「記憶」、学んだことや読んでいることを「理解」することが中心でした。記憶と理解は、思考力の土台となるため、重要な要素です。しかし、今までの教育では、この2つに偏り、より高度な思考力を使用する機会が提供できていませんでした。CLILでは意図的に高次思考力を含めて授業をプランニングします。身近なことについて議論することは「記憶」に該当し、英文を読むことは「理解」や他の思考力に該当します。一方、解決策や新商品の開発のようなタスクは「創造力」などの思考力を使用します。

Community/Culture(協学)

協学では、Cognitionで考えたことを、他の生徒・学生と英語で共有したり、一緒に考えたりします。CLILの授業では、活発な議論や発表をします。このプロセスを通して、言語習得に必要な「意味重視のアウトプット」と「インターアクション」を実現させます。

こちらの記事では、CLILの概念的なことを書きました。具体的な方法は別の記事で書きたいと思います。

まとめ

CLILは個々の考えや発想を大事にします。言い換えれば、個々の「創造性」と「個性」を大切にします。一見難しそうに感じるかもしれませんが、やってみると意外と簡単です。何より、生徒・学生の素晴らしい笑顔を見ることができます。

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