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『メタ認知で<学ぶ力>を高めるー認知心理学が解き明かす効果的学習法』

『メタ認知で<学ぶ力>を高めるー認知心理学が解き明かす効果的学習法』三宮真智子 2018年 北大路書房

 「メタ認知」という言葉が教育現場の中で広く知られるようになってきました。いや、むしろ教育現場の中で重要キーワードになりつつあります。

 本書の説明では、メタ認知(metacognition)とは、認知についての認知、つまり、自分自身や他者の行う認知活動を意識化して、もう一段上からとらえることです。

 メタ認知の研究は、教育現場で聞かれるようになる随分前から古く研究されてきました。しかし、実際にメタ認知を本格的に勉強しようとなると専門書も難解なものが多く、時間的な資源が限られてる先生にとって、読みやすい本はなかなかありませんでした。
 本書は、メタ認知の構造(しくみ)、機能(はたらき)、発達などが非常に分かりやすく書かれており、概要を理解するのには最適な本だと思います。

 「人はいかに学ぶか」についての研究で明らかにされた学びの原則の1つとしても、メタ認知方略の重要性はだいぶ前から指摘されています↓

 本書が教育関係者にとって参考になるもう一つの点は、学習支援に役立つメタ認知的知識(心理学的知見に基づいた学習法に関する知識だと考えてもらえればいいかと思います)のトピックが豊富に掲載されていることです。アンダーラインの効果や語呂合わせなど日常的に行ってそうなものから、「精緻化」など認知心理学が解き明かしてきた重要な概念から、カフェインや音楽の効果など少々マニアック(?)な話題まで、面白く読めると思います。

 ここに書かれている「学び方」についての話題を、高学年以上の子ども(メタ認知を自ら活用できるメタ認知スキルの発達が始まるのは10〜12歳頃だそう)に噛み砕いて話をしてみたり、実際にいろいろ試させたり、保護者会や学級通信などで紹介したりしても面白いのではないのかなぁと思います。

 メタ認知に関しては、以下のベネッセの記事も大変参考になります↓



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