えど

日常を綴ります。登録者3万人のYouTubeチャンネルを運営してたりもします。

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最近の記事

透明人間

"あいつらみんな透明人間なんですよ" 朝方の駅前、群衆と同じ方向へのらりくらりと歩いた後で、何気無く足を止める。 皆が何処か目的地へと真っ直ぐに歩いていただろうから、唐突に立ち止まる僕を見て怪訝そうな顔を向ける人も居た。 残念だったな。僕に向かう場所なんて無いのだ。 群衆は知らない。突然群れの中で踵を返す僕が実は何度もこの道を歩いているということ。 ただ漠然と考え事をしながら歩くのが好きなのだ。 偶然に、同じ方角に向かって歩く大勢と交わっただけで、心が、思考が交わる

    • 愛が落ちてこいよ

      "愛に足が生えてたとするじゃないですか" 多分奴は誰よりもすばしっこい。 速いだけならまだいいのだけれど、5秒に1回くらい、スキップとか、ムーンウォークとかしてくるもんだから捕まえることは困難な訳だ。 小さい頃、愛ってのは簡単に見つかるとテレビで大人達がよく教えてくれたのだけれど、いざ捕まえるのが難しいだなんてのは聞いてないよ。詐欺だよこれ。 アイドルに会えるって聞いて会場に来たのに、双眼鏡でようやく顔の輪郭がボヤけて見えるだけみたいな喪失感だよ。 なんて事をボーッ

      • 部屋の扉を開けると生暖かい風に襲われる。 ああ...まーた冷房切るの忘れてた...。 なんてことは日常茶飯事な訳で、我が家ではよく見る朝の光景だったりする訳で、つまるところ僕は忘れっぽい。 朝は、荒ぶる髪型をそのままに外に出てみたりする。 大きな虫が居ると、すぐに家に帰ったりする。 走り回る子供を見ると、自分も早歩きになったりする。 すり減った靴に気が付き、新しい靴を買いに行ったりもする。 自動販売機で美味しいカフェオレを見つけると、 つい公園に長居しがちだ。

        • 爺さんになった自分

          不思議な高揚感に包まれた夜だった。 昨日、メンバーシップを始めることを報告した動画で、自分の過去の話から挫折の話、今後の展望や夢を余す所なく口に出した。 今まで作品の制作にばかり注力してきたから、このような形で自らの思考を口から垂れ流すことは正直恐ろしく、不安な気持ちも強かった。 それでも、話すことを決めたのは自分に後戻りをさせないためだ。 退路を断たなければ頑張れない...なんて情けないことは言いたくないけれど、この動画を出すと決めてから覚悟が決まったのは事実だと思

        透明人間

          見えない夕陽

          心の中に夕陽を飼っている。 小さい頃、祖父が持ってきた大量のビー玉の中に初めてそれを見つけた。 オレンジ色と水色が混ざり合ったビー玉。 他人から見ればなんでもないそれは僕にとって、まるで海を照らす夕日のようで、長い時間をそのビー玉を覗いて過ごした。 目の前が知らない景色でいっぱいになるのが好きだった。 今、自分が居る乱雑におもちゃが広がった部屋から、知らない世界に飛んで行ける気がして。 幼少の僕にとってはテレビゲームよりも、ビー玉を眺める事の方が遥かに気分が高揚した

          見えない夕陽

          ナンバーワンよりオンリーワン

          どーも。 最近カーテンを開けて寝ることでお日様に起こしてもらおうと画策してるものの「ぽかぽかして気持ちいい〜」と結局二度寝してしまうえどです。 突然ですが、僕には"ナンバーワン"になりたいと思っていた時期がありました。 どんな分野でも構わない。何か一つにおいて周りの誰にも負けないような存在になりたいと思ったんです。 最初は勉学だったと思います。 義務教育の過程で誰しもがテストの点数で人と比べられる経験をしますよね。 小学2年生の頃、自分が算数のテストで90点を取って喜んで

          ナンバーワンよりオンリーワン

          指の骨を鳴らす癖

          指の骨を鳴らす癖がついたのは中学二年生の頃。 退屈な授業中に椅子の後ろで手を組み、身体を椅子ごとぶらぶらと揺らして遊んでいると、後ろの席の同級生がおもむろに僕の手を取った。そして中指の第一関節の骨をパキリと鳴らしたのだ。 「いっっった!」 初めて指の骨を故意に鳴らした瞬間である。後ろの席のサイコな彼には少しだけ反省をして欲しい。 しかし、どうしてもその衝撃が忘れられなかった僕は、その日の夜に布団の中でもう一度骨を鳴らしてみることにした。 ...パキリ。 「いっっった!

          指の骨を鳴らす癖

          ロボ爺と僕

          家の近所にコンビニがある。 徒歩2分程の場所にあり、その利便性の虜になっている面倒くさがりな僕は、ここ四年くらいそのコンビニのお世話になっている。 ある朝、僕はいつものように甘いカフェオレを買いに店に入った。日課なのだ。すると、大きな図体だが腰が軽く曲がり、頭は白髪で頭頂部の禿げあがった店員が入り口付近に立っていた。 「イラッシャイマセー」 (...あぁ。またか...。) まるで感情の籠っていない彼のそのセリフを僕は今まで幾度となく聞いてきた。 僕がコンビニに通い始めた

          ロボ爺と僕