朝
部屋の扉を開けると生暖かい風に襲われる。
ああ...まーた冷房切るの忘れてた...。
なんてことは日常茶飯事な訳で、我が家ではよく見る朝の光景だったりする訳で、つまるところ僕は忘れっぽい。
朝は、荒ぶる髪型をそのままに外に出てみたりする。
大きな虫が居ると、すぐに家に帰ったりする。
走り回る子供を見ると、自分も早歩きになったりする。
すり減った靴に気が付き、新しい靴を買いに行ったりもする。
自動販売機で美味しいカフェオレを見つけると、
つい公園に長居しがちだ。
そこにセミの死骸があると、また帰ったりする。
どうでもいい日常の一コマの積み重ねが人生を構成していること、これに気がつく迄に長い時間がかかった。
「自分は不幸だ。いつか幸せになりたい。」
では、人生は幸福に転じないことに気が付いたのも最近の話だ。
未来は所詮今の積み重ねでしかない。
人が突然幸せになることもない。
幸せな人はずっと幸せだ。
何気ない日常に彩りを感じ、味のする飯を食べて、他人の優しさに感謝し、群青な空模様な感動し、輝く星に想いを馳せたりする。
幸せになることを未来に託さない。
今この瞬間、自分に訪れた幸福にきちんと向き合う。対話する。触れてみる。逃げない。
幸せな1秒を積み重ねて人生を創るということ。
つまるところ僕はポジティブだ。
冷房を切り忘れた僕は、快適な気温で幸せに起床し、こうして1日を始める。
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