大場克則

江戸時代の歩き方・走り方を 2014年から国会図書館に通って資料を集め、 それを実際の動きで再現する研究を続けた結果 より自然な動きで長距離歩ける江戸時代の歩き方、 ナンバ歩きの動きを再現出来た感じです。

大場克則

江戸時代の歩き方・走り方を 2014年から国会図書館に通って資料を集め、 それを実際の動きで再現する研究を続けた結果 より自然な動きで長距離歩ける江戸時代の歩き方、 ナンバ歩きの動きを再現出来た感じです。

最近の記事

終わりに

からだよろこぶナンバ歩き ここまでお読みいただき ありがとうございます。   2014年から9年間の研究の成果を 誰もが再現できる様にするにはどうしたらいいか? をテーマに、ここまで書き進めてまいりました。   今回の試みは 浮世絵や江戸末期~明治初期の外国人の記録に残る動きを基に 自分の身体にその動きを落とし込むことで得られた一つの結果です。     当時の動画が無いので、「本当にその歩き方だったのか?」と言われると その明快な証拠があるわけではありません。   しかし、浮

    • コラム(2)ナンバ歩きを練習する履物について 

      ナンバ歩きを練習する際の履物についてまとめてみます。 服装は、普通に運動できるものであれば問題ありませんが 履物は注意が必要です。 こちらは 葛飾北斎の浮世絵 「富獄三十六景 相州仲原」 この手前の人物にご注目ください。 この様に、江戸時代の歩き方では、 後ろにある足指の付け根を大きく曲げて歩いていました。 これにより前にある足への体重移動がスムーズになり、滑らかに歩けます。 当時の履物 ・下駄 ・草履 ・草鞋 ・足袋 いずれもこの足指の付け根を大きく曲げられるように

      • ナンバ歩きの練習(11)

        速く歩くナンバ歩き 江戸時代の歩き方の面白いところは、 同じ動きで走れること。 現代の歩き方と 現代の走り方を比較すると、 その動きはかなり異なります。 しかし、江戸時代の歩き方と 江戸時代の走り方は 実は全く同じ動きです。 実際、 江戸時代中期の文献 「千里善走法」 では、歩くことと走ることを合わせて 「歩驟(ほしゅう)」 と表現しています。 そして、 人々平日に 十里も歩行する人は、 此法に仍て運ぶときは二十里 は至り易かるべし、 二十里程も平日に歩行する人は、

        • ナンバ歩きの練習(10)

          連続して歩くここまでの練習を踏まえて 連続して歩いてみましょう。 一歩目、二歩目と同じように三歩目、四歩目と 連続して歩いてみます。 次に踏む足で 重心をつま先(足指の根本あたり)で踏むことを意識して なるべく小股で歩いてみてください。 足の外旋・内旋は、 実際の歩き方ではそんなに大きく動かさなくても大丈夫です。 動画は下記リンクをご参照ください。 正面から https://twitter.com/edoninjarun/status/163796735584122

          ナンバ歩きの練習(9)

          後ろに蹴らないで歩くナンバ歩きと現代歩きの違いの一つが 後ろにある足を前に持ってくるとき 蹴るか蹴らないか。 現代の歩き方では、後ろに蹴るのが正しい歩き方とされています。 しかし、江戸時代の歩き方・ナンバ歩きでは 後ろに蹴らないで歩きます。 後ろに蹴ると、重力を利用して前に進むときにスムーズな動きが出来なくなります。 また、江戸時代は裸足で歩くことも多かったので、蹴ると足裏をケガします。 足は、脱力して 地面から引き抜くようにします。 そうすると、余計な力がかからず、

          ナンバ歩きの練習(9)

          ナンバ歩きの練習(8)

          着物歩きの練習江戸時代、着物は普段着でした。 そのため、当時の人たちは、普段着である着物で歩きやすい方法で歩いていたものと思われます。 それが、ナンバ歩き。 ナンバ歩きでは、膝をほとんど広げずに歩くことが出来るので 着物の裾に足の動きを邪魔されずに歩くことが出来ます。 この写真のように、現代の歩き方では、裾が引っ張られて思うように歩けませんが、ナンバ歩きでは膝がほとんど開かないので、着物の裾が邪魔になりません。 また、ナンバ歩きでは胴体をひねらないため、着崩れも少ないもの

          ナンバ歩きの練習(8)

          ナンバ歩きの練習(7)

          二歩目を踏む ナンバ歩きの足踏みが出来るようになりましたら、 二歩目を踏む練習をします。 練習(2)小股歩きで一歩目を練習しました。 https://note.com/edoninjarun/n/nf9d83c3f63d0 その一歩目と同じように二歩目を つま先の上に身体の重心を乗せるように踏んでみます。 ここでは二歩だけ歩く練習をします。 その一歩目ですが、 重心の乗せ方で二歩目の歩幅が変わってきます。 一歩目を踏んだ時、身体の重心をつま先より前に乗せると、 歩

          ナンバ歩きの練習(7)

          ナンバ歩きの練習(6)

          足踏みの練習 ここまで、身体の各部位の動かし方を解説いたしましたが、 今回は、足踏みしながら手足を一緒に動かす練習をします。 それは、このような動きです。 はじめに、膝を曲げてつま先重心で立ちます。 右ひじを引きながら、右膝を曲げて右足かかとを上げます。 次に 右腕を伸ばしながら右かかとを下ろし、元に戻ります。 次は、左ひじを引きながら、左膝を曲げて左かかとを上げます。 そして 左腕を伸ばしながら左かかとを下ろし、元に戻ります。 この繰り返しです。 膝を曲げ

          ナンバ歩きの練習(6)

          ナンバ歩きの練習(5)

          腕の振り方 現代のウォーキングでは、しっかり前後に腕を振ることが良いとされています。 江戸時代はどうでしょうか。 手を振って歩いている人はまず見かけません。 この件について、先の記事にまとめています。 https://note.com/edoninjarun/n/n1e8e7cd48224 この記事の内容にある、腕の振り方の練習法をご紹介します。 全部で3ステップになります。 Step1 前にパンチ まず、パンチの練習をします。 右腕を引いて パーンチ!

          ナンバ歩きの練習(5)

          ナンバ歩きの練習(4)

          前傾姿勢 江戸末期~明治初期に来日した外国人の方の記録によると、 当時の日本人は前傾姿勢で歩いていたそうです。 それは、例えばこんな感じです。 この浮世絵のように、腰から上がやや前に傾いていたようです。 そして背筋は比較的まっすぐしています。 これを感覚的につかむ方法をご紹介します。 ・①まずはつま先重心で立ってください。 ・②腹筋と背筋に手を添えます。 ・③背中を後ろに反ると、腹筋に力が入ってくるのが感じられると思います。  その時、背筋は緩んでいます。 ④股

          ナンバ歩きの練習(4)

          ナンバ歩きの練習(3)左右同側

          ナンバ歩き、江戸時代の歩き方の特徴の一つは 同じ側の手足が同時に出ること と言われています。 いざやろうとすると、なかなか難しいのですが、 ちょっとした工夫で、簡単に練習することか出来ます。 それは、こんな感じです。 丈夫なひもで足を縛り、そのひもの先を手で持ちます。 そして、紐をたるませないように足踏みをします。 こうすると、 右足が上がった時は右手が上がり、 左足が上がった時は左手が上がります。 やってみると、 最初はぎこちないかもしれませんが、意外とちゃんと動

          ナンバ歩きの練習(3)左右同側

          コラム(1) ナンバ歩きとナンバ走りは同じ動きである

          私(大場)は、元々江戸時代の走り方・ナンバ走りを研究していたのですが、 いろいろ調べている中で、 ナンバ歩きとナンバ走りは同じ動きである という結論になりました。 ナンバ歩きのこの写真 この状態で、かかと、膝の力を抜いたら 思いっきり前に倒れます。 その勢いで次の足を床に着いた時 同様にかかと、膝の力を抜いていたら 更にスピードを増しながら前に倒れていきます。 実はこの繰り返しが ナンバ走り になります。 江戸末期の走り方「神速歩行術」には、 「気を丹田に集め

          コラム(1) ナンバ歩きとナンバ走りは同じ動きである

          ナンバ歩きの練習(2)

          小股歩き ナンバ歩き、江戸時代の歩き方の特徴の一つは 小股で歩くこと。 着物を着ているとき、大股で歩くと着物の裾がはだけて大変なことになります。 そのため江戸時代は小股で歩くことが普通でした。 そして、つま先から地面に着くつま先歩きでした。 その練習法をご紹介します。 *前回の記事の「つま先立ち」の練習をして、ある程度つま先立ちに慣れてからお試しください 練習1 まずは足踏みから 膝を曲げてつま先重心で立って、その場で足踏みを練習します。 かかとから足を上げて、つ

          ナンバ歩きの練習(2)

          ナンバ歩きの練習(1)

          つま先立ち ナンバ歩きを修得するには、まず江戸時代の人の様に立つことから始めます。 江戸時代の人は、現代人の様にかかとに体重をかけていませんでした。 この絵の様に、軽く膝を曲げてつま先で立っているのが普通でした。 膝を曲げて立つと、かかとに体重を載せにくくなり、自然とつま先重心になります。 そのため、かかと重心で立つことに慣れている私たちは まずその立ち方から練習する必要があります。 その第一歩が、つま先立ち つま先立ちといっても、バレエのトウのように足指の先で立

          ナンバ歩きの練習(1)

          江戸時代の歩き方の再現(7)

          ナンバ歩きを実際に歩く ナンバ歩きを実際に歩いてみました。 右から見た写真をもとに、右腕・右足の動きを中心に解説します。 *注意* 普段使わない筋肉を使う動きのため、徐々に身体を慣らしていかないと思わぬケガをすることがあります。 次回以降の記事で動きの練習を解説しますので、決して無理をなさらないでください。 (1)   右足の振り出し 右腕:肘を曲げながら肩から後ろに    肩甲骨が身体の中心側に動く    手のひらが上に向いていく 右足:膝を曲げ、気持ち外側に向けな

          江戸時代の歩き方の再現(7)

          現代の歩き方とナンバ歩きの比較(まとめ)

          江戸時代の歩き方の再現(6) 現代の歩き方とナンバ歩きの比較(まとめ) 現代の歩き方と、江戸時代の歩き方・ナンバ歩きの違いをまとめると、このようになります。 (絵はかなり強調して描いています。) 表にまとめると、このようになります。 *印:文献で分からない部分は、実際に体を動かしてみて楽に歩ける方法を記載しています。   比較してみると、 現代の歩き方は、足の力で身体を前に進んでいるのに対し、 江戸時代の歩き方では、重心移動で力をかけずに身体を前に進める感じです。

          現代の歩き方とナンバ歩きの比較(まとめ)