見出し画像

先週のMVPはたんぽぽ

はじめまして。江戸餅しゅんと申します。
海外在住歴まだまだ一桁のカップラーメン大好きアラフォーおばさんです。先週はカップヌードルカレー味とポッキーをたべましたよ。この上ない贅沢。田舎町にある小さな幼稚園(3歳から6歳が同じクラス)に務めてます。

先週のお天気

うちの園は大自然の中にあるのでお天気チェックはとても重要でお天気で1日の予定をくみます。先週の空模様はいち日の内に曇、雨、晴と忙しい感じ。
気候は、朝にはダウンコートにニットハット、昼に太陽が出てくれればトレーナーやフリースに常備服のレインパンツと長靴で快適に一日過ごせるって感じでした。
晴れていたかと思うとすごい勢いで真っ黒な雲がやってきて大雨を降らせて去っていくなんてことが3日くらいありました。
春の1番人気の外遊びおもちゃは、土と水で練り上げたお手製の泥。その泥でちびっ子たちは料理を作ったり、山を作ったり、と楽しんでいます。
園庭で遊んでいる最中に雨が降ってきても大体の場合はそのまま遊ばせますが、大雨になると大きな屋根下スペース(テント)に移動しそのまま遊びを継続します。

それぞれの過ごし方

屋根の素材が厚手の耐水キャンバスでできているので、雨粒が当たるとバラバラバラっと結構大きな音がします。
5歳児のある子は切り株に腰掛けまるで仙人のように目を半開きにして雨音にしみじみ聞き入っていたり、3歳児三人組はただ私に群がり全体重でもたれかかりキノコのように動かずにいたりします。
そんな「静」の子達もいれば「動」になる子達もいます。そんな「動」組はたとえば、音に敏感な4歳児はテントに当たる大粒の雨音がこわくて泣き出す。これも一種の「動」。
4歳5歳6歳児の仲良し三人組は子ども用ほうきを逆さまに持ち上げ「ふぉー!」や「いやー!」など雄叫びをあげながらテント内をぐるぐる行進したりせわしなくしてました。
4歳児Aちゃんは「みんな!雨水が欲しかったら私に声かけて!」とテントから落ちてくる雨粒を他の子の為に集め、バケツを持って走り回り6箇所ほどに設置してました。
私の周りに生息していたちびキノコ三人組が雨水屋Aちゃんからもらった雨水を使ってどろんこレストランを開店させた頃には、「動」組み代表だったあの雄叫び三人組はぐったりとテント下に横たわり雨音聞いたり、なにやらぶつぶつ独り言を言ったりと「静」組と化していました。
雨が弱まりそろそろ止むかな〜?と思っていたらさっと太陽光が園庭いっぱいに広がり天気雨に変わりました。
すると切り株に半目で腰掛けていた5歳児の仙人がすっと立ち上がり、テントから出て両手を広げくるりと振り返り、私に向かって
「これは…濡れるのでしょうか?乾くのでしょうか?」と一言。
この深いお言葉に私は思わず「はは〜!」とひれ伏しそうになりました。

たんぽぽ

この季節、園の広大な土地にいろんな色の花が咲き乱れます。たんぽぽは昔から好きですが、この仕事をはじめてからさらに好きになりました。たんぽぽにまつわる楽しい思い出がいっぱいあるからかもしれません。なんかラッキーな気持ちになります。
黄色と緑の絨毯と比喩しても決して大げさではないほど芝生の草原に黄土色のたんぽぽが広がっています。うちの園ではこの草原のたんぽぽは取って良しというルールになっています。量が半端でないのと、その光景が珍しくない地域で生まれ育った子達なので取りすぎるということがありません。
子どもたちは摘み取ったたんぽぽで小さなブーケを作ったり、たんぽぽの花かんむりを作ったりします。もれなくみんな自分の分+家族や兄弟、友達や先生の分を次に作る事を考えてます。ほんと健気。
4歳児のAちゃん(あるときは雨水屋)はこの日は一本たんぽぽを摘み、友達や先生一人一人の所に「かいでみて!」と走り訪ね回っていました。私はその様子をたんぽぽかんむりを作る子達のグループで手伝いをしながら遠目で見てました。
まずは自分で吸う見本を見せてから相手にかがせるスタイルのようです。
「こうやって〜(吸う!)は〜(いいかおり〜!)」と見事な顔芸のAちゃん。差し出されたたんぽぽを今Aちゃんが見せてくれた通りに忠実に再現する子ども&先生たち。
ついに私の元にやってきてくれたAちゃん!その時私は地面に座ってかんむりづくりの佳境に入っており「ちょっと待ってね〜。」と自分の手元を見ながらAちゃんに伝えました。ですが何度も人に香りを嗅がせに走り回っていたAちゃんには繰り返しのリズムが出来上がってしまっていたので止めることができず、「こうやって〜(吸う!)は〜(いいかおり〜!)」と私の「ちょっと待ってね〜。」はスルーされ、一瞬でデモンストレーションを見逃してしまいました。そして私の鼻に近い頬の所にぽふっとたんぽぽが押し付けられました。
「わ〜!まって〜!」と大げさにリアクションする私。それにケタケタと笑うAちゃん。
花かんむりから目を離し、Aちゃんの顔を見上げて見るとそこには幾多のデモンストレーションで自分の顔にぽふっとしてきたたんぽぽの花粉で顔面の黄色くなったAちゃん。
黄色い笑顔。たんぽぽかよ。可愛いかよ。

たんぽぽ2

冬には雪深いこの地域には春は本当に特別で園でも毎年花が咲き乱れる頃に春を祝う日があります。
メインの先生が元小学校の手芸の先生という事もあり、先生たちがサポートしながら年齢別に超簡単な手芸をすることが年に4回ほどがあります。
この日は3日間かけて完成させたフェルトの花かんむりをみんなでつけて春を祝う日。
朝、登園してきた子順に頭にフェルトかんむりをつけます。次々登園してくる子達はお互いのかんむりを、誰も教えてないのに褒め合います。というのも、年齢が違う子達が一つのクラスにいる我が園ですが、上の子達は自分が小さい時に上の子たちがしてた事をただ真似ているだけ。
つまり去年褒めあった記憶があるから、今年も同じ事をする。そして来年は新しく入ってきた小さい子達が同じ経験をするってわけです。
年齢がそれぞれ違う子達が一緒のクラスで過ごすことの利点ですね。
朝の遊び時間が終わりおやつの時間。みんな変な方向にずれたり、ちょっと髪の毛が乱れてしまってはいるもののフェルトかんむりはつけたまま。
うちの園ではおやつ、お昼と共にそれぞれ自宅から持参します。
5歳児のSくんがその日のおやつの容器を開けるとそこには2つのたんぽぽの花が。
そしてそれを見て「やったー!」と掴むとむしゃむしゃと食べ始めました。
たんぽぽ茶は聞いたことあるので食べても問題ないのでしょうけど、これにはびっくりしました。
周りにいる子達も特に過剰反応することなく、「あ、いいな〜。」とか「私はたんぽぽマフィンが好き〜。」などと話していました。
その後メインの先生におしゃべりをやんわり注意され、もくもく食べる子どもたち。
私はお茶を飲みながらフェルトかんむりつけたままたんぽぽを無心で食べるSくんを見ながら、妖精ってこんな感じなのかな〜。と思いました。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?