顰蹙を買いに
■スターバックスの接客
スタバの店員が客に身近に親しげに話しかけるのは、一般的には好意的に受け止められているらしい。
先日私は某スタバにおいて、その憂き目に遭った。
……という言葉遣いでわかるだろうが、不快だった。
客と店員は友達じゃない!
だからって「お客様は神様です」とまで言う気はない。
はっきり言って、ビジネスライクな方が良い。
ただただマニュアルどおりに、
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
と言ってりゃいいのだ。
そのそっけないマニュアル言葉から漏れ出す好意、もしくは親しさ……
それがほんのり嬉しいんじゃないか!
わざとらしく友達ぶるのは胡散臭くてキライだ!!
と、軽く顰蹙を買う。
■アセトアルデヒド分解酵素
自己紹介にも書いたが、私は下戸である。
一滴でもアルコールを接種すれば昏倒して救急車で病院に運び込まれる!!
……という程には深刻じゃない。
乾杯のビールならグラスに半分ぐらいは呑める。
残り半分は宴会の間中ちびちび舐めている。
ウーロン茶や水をチェイサーに。
上戸は料理を箸で突つくばかりでろくに食べない。
もったいないから、それをもらってばくばく食べる私である。
宴会料理なら軽くニ、三人前は食べていた(過去形)。
お陰様で太く逞しく育ったよ。
どうしてくれるんだこの贅肉は!?
いや、そうじゃない。
そういうことじゃないんだよ。
こんな風に冗談めかして書くから誤解を受けるのだな。
はっきり言っておく。
下戸にとって酒は文字通り(比喩でも何でもなく)毒物である!!
一口飲んで死亡する下戸だって存在するのだ。
アルコールのアセトアルデヒド分解酵素が少ないか、まるで持ち合わせていないかの人である。
日本人の44%がアセトアルデヒド分解酵素が少ない。
とアサヒビールは言っている。
何だ……44%って日本人の大半じゃない?
つまり酒造メーカーは、残りの56%を相手に商売をしているわけか……。
いや、そういう話じゃなく。
私は44%の中にいる。
毒を呑めないからって「しらけるなあ」と責めてくれるな。
「少しぐらい大丈夫だよ」などと根拠なく毒を勧めてくれるな。
毎年春になれば桜便りが届く日本である。
風流だなあ。
歓送迎会で毒を一気飲みして死亡する若者のニュースも届く日本である。
命がけの風流だなあ。
いや話がどんどん飛んで行くな。
そうではないのだ。
■居酒屋新幹線
新幹線なのだ。
よし!
新幹線で顰蹙を買いに行くぞ!!
レッツゴー!
何故に人は新幹線に乗るなりプシッとアルコール缶を開くのだろう。
同じ車両の端と端に居ても、下戸にはわかる。
このプシッがアルコール飲料なのか単なるジュースなのか。
何となれば酒は臭うのだ。
上戸はまるで認識していないようだが下戸はこの臭気に参るのだ。
まして揺れる列車内である。
乗り物酔いをする質ならば、もはや地獄である。
ついでに言えば。
人間の体内を通過して発されるアルコールの臭気ときたら……!!
よく、熟した柿の匂いなどと言うが、そんな長閑なものではない。
体臭と加齢臭と香水と柔軟剤香料そして体内を通過したアルコール腐臭のコラボレーション。
死にたい……!!
今すぐ走る新幹線から飛び降りて死にたくなるような臭気である。
車両の端と端ならまだしも、隣席でこれをやられた時の絶望と言ったらない。
楽しい旅の始まりだ♬
と、うきうき写真を撮っているスマホを持つ手も震える。
一方、プシッ!
ングングング、プハーッ!!
とやった隣人は、
楽しい旅の始まりだ♬
を満喫していることだろう。
そりゃあ、よかったね。
こっちは地獄の始まりだよ。
死にたい……!!
今すぐ走る新幹線から飛び降りて死にたいぃーーっ!!
「居酒屋新幹線」などというドラマがあるようだ。
題名を見ただけでうんざりする。
〝新幹線で酒を吞むのは周りの迷惑なのでやめましょう〟
という啓蒙ドラマではないことは、見なくてもわかる。
(悪いけど本当に見たくないのだ。このドラマは)
新幹線でアルコール摂取することを勧めているに違いない。
さぞや酒造メーカーが提供しているドラマだろう。
私が提供いや提案したいのは、ただ一つ。
新幹線に禁酒車輌を設けて欲しい。
だってアセトアルデヒド分解酵素のない日本人は44%もいるんだよ。
その44%分だけアルコール禁止車輌を造るのはサービスとして当然じゃないの?
頼むよ。
マジで。
本当に。
一、二車両でいいのよ。
自由席みたいに、ほんの数車輌でいいのよ。
全列車禁酒!!
なんて無茶言わないから。
……あれ?
待てよ、それもありか。
一本おき、いや二本おきでもいい。
禁酒列車を走らせよう。
きっと子供連れも喜んで乗るに違いない。
さあ、みんなで呪う!
禁酒車輌!!
いや、誤変換だ。
みんなで乗ろう!
禁酒車輌!!
上戸の皆さん、何卒ご賛同を……。
と顰蹙を買いまくったところで、
どっとはらい。
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