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【猫や猫】毛布がない!

こんな風に急に寒くなると猫は鼻を隠して丸まって寝た。

私には毛布がない。
肌寒い夜にちょいと掛ける薄手の毛布が。

本格的な羊毛風毛布にはまだ早い。
まして羽根の掛け布団はもっと早い。

一時しのぎに掛ける薄手の毛布が何枚もあったのに……。

全部捨ててしまった。
猫めがいなくなった時に。
毛布も膝掛けも何もかも。
思い出してしまうから。
もう一気呵成に捨てたのだ!

猫を思い出す物はないはずなのに。
逆にないことによって猫の不在を思い知る。

よその猫
野沢温泉桐屋旅館

今の私は毛布がない。

シーツや布団カバーは新調したのに。
ちょっと使う薄手の毛布がない。
仕方ないから布団カバーだけを掛けたりしている。

あああ……。
もう猫めがみまかって二年も経つのに。
何をやっているんだ私は。

そういえばお彼岸に線香焚くのも忘れた。
次の日に焚いたけど。

更衣なんて真面目にやる方じゃないけれど。

季節の変わり目になる度に、あるべきものがないと思い出す。

そして独りだけどそれなりに自分の生活を築き上げていたのだなあ……
と気づくのだった。


どっとはらい。

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