すべてのミスは確認不足から始まる

社会人になって間もない若手の頃、職業柄いろんな方にお話を聞く機会がありました。その時に書き留めたメモは大切に保管しており、今でもたまに見返します。

久しぶりに見返すと、とある言葉が目に付きました。

”ミスは確認をしなかったがために起こることがほとんど”

当時、翌年に定年を控え、会社を支える縁の下の力持ち的な仕事をしていた女性の言葉です。

この言葉は仕事においても、私生活においても、頭の片隅に深く根付いている言葉です。

とても素敵なお話だったことを思い出したので、当時を振り返りながら、週刊誌の記事風に内容を紹介したいと思います。

手紙を届けるという仕事

200X年、従業員の増加に伴い、勤めていた会社が新たな建物を建設した。大半の従業員がこの新しい建物に移動することになった。

大企業では、社内外から届く郵便を各人に届ける仕事を専門でしている人が置かれていることが多いが(メールセンターなどと呼ばれる)、勤めていた会社にもメールセンターがあり、荷物や郵便はそこから各部署に配達されていた。

新しい建物へ人の移動が始まる2週間前、この建物に入ることになった人数が大幅に増えたこともあり、急遽、同建物内にメールセンターの立ち上げが決まった。短期間で仕分けから配送までの作業ができる状態にしなくてはいけないという任務に、当時別の建物のメールセンターで働いていた先般の女性(仮称:Aさん)に白羽の矢が立った。長年の配送業務で培ったノウハウを買われてのことだ。

「同僚と一緒に異動してきた時、部屋には何もありませんでした。翌週には郵便物や荷物の運搬も始まってしまうということで、駆け回って社内の遊休品の机や棚を集め、なんとか作業ができる状態にしました。」

そして、各職場の庶務の方が打ち出してくれる在籍社員の名簿だけを頼りに、荷物の仕分けや配達が始まった。

「新しい建物には職場名の表示がなく、広いワンフロアには職場の仕
切りもありません。そのため、○○部○○様と荷物が来ても、初めはその人がどの場所にいるかがわかりませんでした。受け取る本人に電話で確認しても、その本人も『北側の真ん中辺り』というような答えしかできず、お互いに困ったのを覚えています。」

唯一の頼りがドアに書かれたナンバーだったそう。

「広いフロアの中ではどこからどこまでを真ん中と言っているのかもわかりません。そこで、どこのドアから入れば一番近いかを聞き、そのドアから配達するようにしました。」

今ではこの機転がそのまま仕分けや配達手法として定着しているという。

“確認”が“確実”につながる

社内で行き来する郵便物は1日に約3,000通、その中で宛先不明のものは約1割にものぼるという。

「大きな部署になると500人もの社員の方が在籍しています。同じ部署でも居室が各棟に分かれていたり、同じ名字の方が2人以上いたりする中で、職場名が省略されていたり、名字しか記載されていないときは仕分けに迷
うことがあります。」

それでも“届かない”ということがないように、職場名簿、アドレス帳、そして日々のやり取りの記憶やノウハウによって配達は行なわれる。

「宛先を割り出すのに時間がかかったものや海外からの宛先不明瞭なメールなど、処理が複雑だったものは担当者が宛先のコピーをとっておき、次回同じようなものが来ても対応できるようにしています。」

自分宛ての郵便物や荷物が確実に手元に届くのは、こうした努力に支えられているのだ。

「異動してしまった方の荷物が旧職場宛に届くということはよくあるので
すが、職場庶務の方々が異動者の連絡を早めに出してくださっているので、こちらもすぐに対応することができ、とても助かっています。たった1通でも、たくさんの人の協力があって届けることができているんです。」

普通は意識しないとなかなかできない“相手のことを考える”ということを、Aさんは自然にできてしまう方なのだと、同じ職場のメンバーが口を揃えて言う。

そんなAさんが仕事をする上で心がけていることは“確認”だという。

「ミスは確認をしなかったがために起こることがほとんどです。はがき1枚でも、それはお客様のもの。誤って届いたということがないように、自分の手から離すときは確認をする、ということを一番心がけています。“認”が“確実”につながるんです。」

荷物と一緒に配達するもの

お話を伺った際、Aさん含めとにかく笑顔の絶えないグループの方達だなと感じた。

「暗い気分で職場を出て、お客様(社員)のところには行けません。業務の中で気になる点があるときにはきちんとみんなで話し合って解決し、笑顔で配達に行けるようにしています。」

朝一番は必ず“おはようございます”、と声をかけて各居室に入るそう。

「皆さんに元気と笑顔も一緒に配達できているといいなと思っています。

そう仰ったAさん。私達の日常を支える「当たり前」は誰かの心遣いや努力いよって支えられているのだと、あらためて感謝せざるを得ない。

終わりに

読んでいただきありがとうございました。

自分がしたミスをさかのぼっていくと、大抵のことは確認をしなかったがために起こっていることに気付かされるお話でした。

市役所に手続きに行って書類が足りないと言われた時も、なんとなくその状況にイラっとしがちですが、結局自分自身が確認を怠ったがために発生したこと。そして確認不足によって2度手間が発生してしまうことも多いです。

もともと行き当たりばったりをしがちな私。この日からいつも以上に確認することを心がけることに。まだまだ「あ!」が多い私ですが、この言葉のおかげで防げている大きなミスも多いのではないかなと思います。

これからも頭の片隅に忘れずに置いておきたい言葉です。

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