カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜飯田橋・神楽坂編〜 第3話
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今回の撮影地は、以下のエリアを中心にお届けします。
前回に引き続き、飯田橋〜神楽坂周辺をお届けしますが、今回は最終回ということで、上の地図のオレンジのエリア、神楽坂の坂の上あたりを散策した様子をお届けします。
印象的な構造物をどう撮るか?
設楽:
いよいよこの回も最終回となりました。今回は神楽坂の裏通りを歩きながら撮った写真をお届けしたいと思います。
神楽坂の裏通りは、昭和の情緒が残っている風景が沢山ありましたね。あと、面白い公園もありました。今回はその公園中心にお届けします。
ということで、和田さんの撮ったとてもインパクトのある写真から見ていきましょう。
この象の公園ですね。これは界隈の人なら有名な公園で、神楽坂独特の起伏のある地形を利用して上手に作られた象の顔をした滑り台なんですよね。
和田:
この象は本当にインパクトありましたね。個人的には近年まれにみる公園のなかでもいい素材でした。象の鼻を滑り台にしているあたりがシュールですよね。
設楽:
私も以下撮ったのですが、和田さんが撮った上の写真の方が、この滑り台のインパクトを表していますね。やっぱりこういうのは引きで撮った方がいいですねー。
あと、今気づいたんですが、私の写真は、滑り台である、ってことが一瞬で伝わらないんですよね。和田さんの撮ったものは、一瞬でそれが伝わります。この部分がまだまだ、その対象の特徴を切り取る腕がないなと反省しています。
あと、この電柱が邪魔ですよねー。残念です。
和田:
なるほどー、こういう角度で撮ったんですねー。この電柱はおそらくあとから設置されたんでしょうね。新しいですし。
もし寄りで撮りたいなら、もっと寄っても面白い写真が撮れますよ。私は引きでこの滑り台の面白さ、奇妙さを、そして下の写真のように思いっきり寄って、なんだか悲しい目をしている象の目を撮りました。
なぜだかこの象の目を見ていると、東京大空襲を受けた上野動物園の象の話を思い出したんですよね。
設楽:
確かに、単発でこれだけ見せられてもなんだかわからないですが、引きの写真と連作で見るとこの引きも印象深くなりますね。
和田:
面白い対象があったら、全景、中景、接景という3つを撮るように心がけておくと、面白い写真が撮れますよ。つまり全体、真ん中、寄り、の構図を撮っておくということです。
設楽:
そして神楽坂の坂を登りきったところにある、隈研吾が設計した、この辺りの新しいランドーマーク「La Kagu」に到着しました。この建築物は近くにある出版社・新潮社の倉庫(?)を改造した建物ですが、ここでの和田さんの写真を見てみましょう。
和田:
実はこれ、iPhoneで撮ってるんですよ(笑)。
設楽:
えーーーー!!!めっちゃいいじゃないですか!(笑)最新のiPhone使ってるんですか?
和田:
いや、iPhone11なのでそんな新しくないです(笑)。この写真なんですが、決してお世辞にも写真的には私はいいとは思ってないのですが、今回これをセレクトしたのには理由があります。
私が今回の企画で使っているのは40mmのレンズなんですね。40mmのレンズだと、「もっと広く撮りたい」っていう時にはやっぱり限界があるんですよ。こういうのもiPhoneで撮りました。
設楽:
つまりiPhoneに搭載されているレンズの方が広いんですね。
和田:
広いですね、多分32mmぐらいなんじゃないかなー。正確にはわからないですが、広いのは確かです。
私はインスタでstoryをアップしているのでiPhoneで撮ることも多いのですが、それを通して「ああ、これがデジタルネイティヴの感覚なんだなー」って最近わかるようになってきたんです。
使ってて本当に思うのは、iPhoneのカメラって身体性の高いカメラだなーとつくづく思っているんですよ。
設楽:
どういう意味ですか?
和田:
前回で、目がレンズになる、という主旨の話をしましたよね。iPhoneの場合は目がレンズになる、という感覚よりも、手で日常を取り出しているという感覚って言ったらいいのかな、そういう身体性、日常との近さがあるので、面白い絵が撮れるんですよ。機械感が無いって言ったらいいんでしょうかね。
設楽:
カメラで作品を撮るっていうと、多くの人は一眼レフを使って構えて撮る、みたいなイメージがありますが、それも大切なのですがiPhoneでも撮ってみるようなフレキシブルさ、それが大事だっていうことですか?
和田:
正論で言うと、道具を使って写すのが写真であるから、あくまでも道具は手段でしかないと思っているんですよ。
それが高い一眼レフであれ、iPhoneであれ、ドローンであれ、あくまで道具にすぎないわけで、道具はなんでもよくて、それを使ってどんな面白い作品、感動する作品を作れるかっていう方が大切なんですよね。
だから僕は「フィルムカメラじゃなきゃダメ」とか「高い一眼レフとレンズで撮る」のだけが正しいみたいな考えは否定的で、道具だったら何でもいいじゃないの、と思っています。
設楽:
iPhoneが出てきてない時代は、写真を撮るのって一眼レフを取り出して、構えて……、みたいな「わざわざ感」がありましたが、今は本当に手軽に撮影ができるので、写真を撮る回数が圧倒的に増えた、というのはありますよね。
和田:
そうですよね。道具は違えど写真を撮るという行為は同じですからね。どんどん色々な道具で撮影するといいと思います。
設楽:
今回もありがとうございましたーー!!!
(おわり)
【プロフィール】
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東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ