カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜飯田橋・神楽坂編〜 第2話
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今回の撮影地は、以下のエリアを中心にお届けします。
前回に引き続き、飯田橋〜神楽坂エリアをお届けしますが、今回は神楽坂の裏道〜赤城神社という上の地図の青枠エリアを散策してみました。
画面の四隅を見る
設楽:
さて、今回は神楽坂のランドマークの1つでもある、赤城神社を中心にお届けします。
この神社は、かの有名な建築家である隈研吾さんによるデザインで、現代的なデザインと日本の伝統を調和させた建築物で、隈研吾ファンには有名です。
この和田さんの撮った写真が、この神社の正面階段ですね。
和田:
そうなんですが、この写真は左下に写り込んでいる設楽さんが入ってなければ何の面白くもない構図になってしまうんですよね。だからあえて人物を入れ込んで撮りました。
あと以下の写真も神社に隣接する建物、マンションなのかな?、が隈研吾っぽいデザインだったので撮ってみましたが、これだけ撮っても神社に近いことがわからないので、手前に狛犬(?)を入れてみたんですね。でもこうやってみると、あんまり効果が出てないですね(笑)。この狛犬が正面向いてたら効果があったのかもしれないな。
設楽:
私もこの辺りは撮影していまして、こういうのを撮りました。
この写真で僕が伝えたかったのは、古い格式のある赤城神社と、隈研吾のモダンなデザインが組み合わさった不思議な神社であることを伝えたかったのですが、右側の隈研吾デザインの特徴があまり捉えられなくてちょっと残念だったんですよね。
和田:
これは角度はとてもいいと思うんですが、何の写真だかよく分からなくなっていますよね(笑)。でもこれって、空を入れすぎているだけなので、若干しゃがんであげれば、左側の神社の建物が入ってきますよね。そうすると神社らしさが出てきますよね。
位置としてはとてもいい位置でシャッターを切っているのですが、空に引っ張られてしまって神社らしさが消えちゃったのが残念なポイントですかね。
設楽:
たしかにそうですね。カメラを構える位置を決めたら、そこからカメラや体を動かして最適なアングルを探す、という訓練をもうちょっと積まないといけないな。
和田:
それは「目がレンズ化」していくと言うのだけれど、スナップショットの撮影を続けていくと、歩いていて入ってくる被写体が、自分が今日使っているレンズの画角で撮るとどう映るかっていうのがだんだんわかってくるんですね。
私は昔、
「画面の四隅をちゃんと見て撮れよ」
と師匠によく言われました。
その師匠の言葉を借りると、さっきの設楽さんの神社の写真は、右上のマンションの上側しか見れてない、だからマンションに引っ張られて入れなくてもいい空が入ってしまい、結果として下の神社が入らなかったんですね。
設楽:
あーー全然見れてないです。つい右のマンションに気がいってしまいました。
和田:
ですよね。だからこれから意識するといいことは、構図が決まったら、上フリと下フリというのを2種類撮ってみるのがいいと思いますよ。
あと、下の設楽さんが撮った写真でも1つアドバイスするとしたら、撮りたい対象は何なのか?を明確にするともっといいですね。
設楽:
これ実は、まあ神社が撮れているなと思うんですが、左の神社と右のマンションを一緒に入れようとして、結果的に何を主張したいのかわからない写真になってしまったんです。
和田:
撮ってて入れたい対象が複数あった時に、写した結果「何を言いたいのかわからない写真になってしまう」、これはスナップを撮っていてもよく相談される悩みですね。
この設楽さんの写真、グリッドを切ってみるとわかりますが、左右の対象物がちょうど50%になっていますよね。だから何を伝えたいのかが弱くなってしまっているんです。
だからもっとどちらかにカメラを振ってあげると、自分が何を主張したいのかがわかる写真になると思いますよ。
設楽:
それはこれからも意識して撮るようにしてみます。
被写体との距離
さて、赤城神社を後にして、新潮社の方(次回お伝えするオレンジ色のエリア)に向かう途中の路地裏、ここもとても良かったのですが、僕は全然いい写真が撮れて無くて……。今回は和田さんの写真を中心に見せたいと思います。
設楽:
この3枚なんですが、これ神楽坂って言われないと絶対わからないですよね(笑)。
和田:
神楽坂は裏手に入ると一気に下町感と異国情緒にあふれる風景になりますよね。特にこの写真の3枚目なんかは沖縄っぽいですし。
設楽:
沖縄っぽいですねー。でもこれってなんで沖縄っぽいんですか?
和田:
いやーー何なんだろうね?(笑)でも沖縄っぽいよね。この建物も色もそうですし、この段差の感じとか、この電柱の位置とかなんですかねー。
実はこの建物撮るのがすごく難しかったのですが、このぐらい寄ってとると雰囲気が伝わるのかなと思いました。
設楽:
あと、前の鶏肉屋のおじさんとか、昭和感がすごいですよね。和田さんが撮影している姿見て思ったんですが、和田さんってすぐ知らない人に声かけますよね。
あれってやっぱりスナップ撮る時に意識しているんですか?
和田:
この時代でスナップを撮る難しさっていう話にも絡んでくるのですが、撮られて嫌な人もいますよね。撮られて嫌そうな人にはあまり近づきませんが、どうしても寄って撮りたい場合は、声をかけるようには心がけていますね。
設楽:
声かけないと、この肉を焼くアップの写真とか撮れないですよね。まあズームレンズで撮ればいいっていう風に言う人もいると思うんですが、そういう話じゃないんですよね。
やっぱり単焦点で被写体に近づいて、距離を縮めていい写真を撮る。これがスナップの面白さだと思います。
和田:
そうですね、声をかけて距離を縮めることで、自分が撮りたいものと、その先にあるものが撮れるんですよね。だから声をかけられるならかけたほうがいいのかな、と僕は思っています。
設楽:
今回も勉強になりました!
(つづく)
【プロフィール】
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東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ