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カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜国立競技場・北参道編〜 第2話

この記事は何?

・写真を撮ることが好きな素人が、プロの写真家・和田剛さんと街を歩き、撮った写真を見ながらプロからアドバイスをもらい、カメラの腕を上げてしまおうという連載。

対象読者は?

・写真撮影が上手くなりたい!と思っているカメラ初心者。・プロは何を考えて写真を撮っているのか興味がある人

撮影の概要

・【場所】国立競技場・北参道
・【日時】1月のとある晴れた日
・【天気】冬の青空

撮影場所の詳細

(前回の記事はこちら
今回の撮影地は、以下のエリアを中心にお届けします。

・東京体育館周辺(黄色のエリア)
・新国立競技場周辺(青色のエリア)
・鳩森神社周辺(赤色のエリア)

前回に引き続き、今回は新国立競技場〜北参道近辺を散策しながら撮影した会のレポートをお届けしますが、今回は、新国立競技場(青色のエリア)周辺のスナップをお届けしたいと思います。

また今回、モニターで参加した方の写真もご紹介したいので、そちらも合わさえてお楽しみください〜!

構図の中に何をどう入れるかを考える

設楽:
いよいよ今回のメインのエリアである新国立競技場です!でもその前にちょっと気になる写真があるので、このあたりの解説からお願いしたいです。
よく「自撮り」で影を使った作品撮る人いますよね。私も今回撮ってみたんですが、実に普通でして……。

普通すぎて全然イケてない写真になってしまったんですが(笑)、こういうモチーフというか構図の場合って、何か面白く見せる方法ありますか?

和田:
実は私もいわゆる「自撮り」を撮った一枚があるんですよ。私の場合はこういう感じで撮りました。

設楽:
おーー同じ自撮りでも全然違いますね。こっちの方が圧倒的に物語感がありますよね。これって左のバイクとか、右の白い車とか待って撮影したんですか?

和田:
もちろん、待って撮りました。

設楽:
和田さんはよくフレームの中に、動物とか人とか乗り物とかが入るように、待って撮影しますよね。それってファインダー覗きながらやってると思うんですが、入ってくるのって一瞬で、その一瞬でいいと思った時にシャッターを切ってると思うんですが、そのあたりはどうなんですか?

和田:
そうですね、ファインダーを覗きながら構成を決めているんですが、さっきの写真の場合だと、まず左下のバイクが灰色の道路に黒赤のXがインパクトがあって良くて、あと右の白い車は、もうちょっと上、つまり写真の奥にあったほうがもっといい写真になったなーと。

設楽:
それはなぜですか?

和田:
画面を四等分した時に、どこに何があるといいか?という自分なりの平面デザインの考え方があるんですよ。この場合だとセンターに自分がいますよね。そしてこの構図の縦と横に線を入れると、右上右下、左上左下ってわけられることができて、それぞれに何を入れるといい感じになるのかを見極めるんです。

これは前に少し話した「画面の四隅を見る」ということに繋がるんですが、それと同時に、フレームの中で「流れていくものを見る」という部分には気をつけていますね。

【ポイント】
画面を4等分して、そこに何を入れるかを意識する

建築物を撮影するポイント

設楽:
いよいよ今回の中心地となる新国立競技場にやってきました。この建物の設計は、前回神楽坂の回で行った赤城神社を設計した隈研吾さんなのですが、隈さんの特徴が非常によく出ている建築物ですよね。

和田:
設楽さんの撮ったこの3枚だと、どれがいいかと言えば一番最初の写真ですね。なぜなら左下が木造の建築物で埋まっているからです。隈研吾さんのデザインの特徴の一つが、木造のこの板を組み合わせて作る構造ですよね。それが瞬間で認識されて建築物の特徴をよく捉えているからですね。
この写真は、アングルを少し下げて、左下に少し写り込んでいるビルを消せば、さらにいい写真になりますね。

設楽:
こういう立体的な建築物のデザインの特徴を、平面芸術である写真という表現手法に落とし込む時に、和田さんが気をつけていることはありますか?

和田:
これは基本的なことですが、ちゃんと水平・垂直を出すこと。あと、よく対象物を観察して、「建築家はここから図面を作っているのかな」と考えながら、建築家がその建物で、見てる人にどこを一番見て欲しいのか?を探りながら撮影するといいですね。
あとは余白の使い方ですね。さっきの設楽さんの国立の写真、少しアングルを下げれば左の建物が消えて空という余白が活きてくる=建築物の特徴をより捉えられた写真になるということです。

設楽:
具体的でわかりやすいですね。次から意識して撮影したいと思います。
ところで、国立はまだ工事をしていたみたいで、工事現場がありましたね。ここが異空間だったので撮影してみました。

ここの写真、和田さんも撮ってたみたいですが見せてください。

和田:
僕が撮ったのは以下です。

設楽:
うわー全然違うわ。この場面で撮影する時に、露出のこととか、ホワイトバランスのこととか、どういう風に考えているんですか?

和田:
逆に聞きたいんだけど、こういう銀色っぽい被写体って、青系か赤系かでいうとどっちに見えますか?

設楽:
うーーむ。青系かな。

和田:
では金色はどうですか?

設楽:
金は赤系ですね。

和田:
はい正解です。銀は青っぽいし、金は赤っぽいという人間のマテリアルに対するイメージってありますよね。だからこういう銀の被写体は、青っぽく撮る様に心がけているんです。

設楽:
さてここで、今回一緒に回ってくれたモニターの増田さんの写真も見てみましょう。このエリアで撮った写真があるみたいですね。

増田:
よろしくおねがいします。そうなんですよ。私はこういう感じで撮影しました。

この無造作にバラバラと置いてある感じが、整理されていなくて面白いなと思ったんです。

和田:
なるほど、面白い着眼点ですね。日本人って整理して物を並べるという習慣を持つ国民なのに、その日常から外れている感じがいいですね。

設楽:
これから少しずつモニターの方の写真も出していきたいと思っています!(つづく)

このエリアでの他の写真〜和田〜

このエリアでの他の写真〜設楽〜

【プロフィール】

和田 剛 | フォトグラファー
旅行と温泉が好き。
写真をまなぶ人のオンラインスクール「
good! studio」主宰

設楽幸生/Sachio Shitara
編集者。1975年東京生まれ。週末カメラ片手に飲み歩くのが趣味な、写真の素人。
Twitterやってます。


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カメラのたのしみ方

東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ