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カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜北品川・天王洲アイル編〜 第2話

この記事は何?

・写真を撮ることが好きな素人が、プロの写真家・和田剛さんと街を歩き、撮った写真を見ながらプロからアドバイスをもらい、カメラの腕を上げてしまおうという連載。

対象読者は?

・写真撮影が上手くなりたい!と思っているカメラ初心者。
・プロは何を考えて写真を撮っているのか興味がある人

新しい東京と古い江戸の町並みが混在する北品川・天王洲アイル周辺エリアでの撮影ブラブラ歩きですが、今回は第2回です(前回はこちら)。

1)下町っぽい船宿と高層マンションのある北品川東側(赤いエリア)
2)赤いエリアから青いエリアへ行く途中の天王洲運河の橋
3)タワーマンションと公園が印象的な天王洲アイル周辺(青のエリア)
4)情緒と新しさが混在する旧東海道の周辺(黄のエリア)

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今日はこの2)の青いエリアでの撮影会にスポットを当てて、いつものように和田さんから愛のあるダメ出しをいただきたいと思っていますー!

設楽:
さて次は、ウォーターフロントエリア、見上げるようなタワーマンションが乱立する天王洲アイルエリアですね。ここはマンションが多いのと、居住者の方々の憩いのスペースとなっている天王洲公園などが特徴的ですね。

和田:
また前回の運河とは全然違う景色になりますよね。ここでは設楽さんどんな写真を撮ったんでしょうか?

設楽:
まず僕は、天王洲アイルに入る手前の、天王洲運河を横切る橋の上から、水面とビルと冬の青い空を意識して撮影したんです。

ただ、なんかベターっとしてて暗いんですよね。この日こんな暗い天気じゃなくて、もっとスカッとした青空でしたよね。それが全然表現できてない。

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和田:
また偶然にも、私同じようなところで同じ風景を撮っていたんですよ(笑)。じゃあ今日はその辺りからお話しましょうかね。ということで、僕が撮ったのがこちらです。

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設楽:
全然違うじゃないですか(笑)。まさにこれってあの日の天気、こういう感じでしたよね。

和田さんが撮った写真の方が、光とコントラストが良くて、こういう写真を撮る時には、どんなことを意識しているんですか?

和田:
いや、これは単純に撮影する時にもっと明るさを意識するだけでもっと明るい写真になると思いますよ。

設楽:
でも、初心者って、明るさの調整と言われても、どのタイミングでどういう風にやったらいいか分からないんですよね。こう、ファインダーを覗きながら、見えてる感じで調整すればいいんですか?

和田:
それでもいいですし、ところで設楽さんはautoで撮ってるの?

設楽:
いや、僕はA(絞り優先)機能を中心に使っています。

和田:
なるほどね。そうだとしたら、設楽さんのカメラは、設楽さんが選んでいる絞りに合わせて、これが適正露出ということで自動的に演算をしてシャッターが切れる状態になっているんですね。
適正露出っていうのは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、「見た目に自然な明るさ」のことです。

なぜこの写真が暗く見えるかというと、この写真の真ん中に白い三角の屋根がありますよね?あと左側に白いビルが見えますよね。
設楽さんが絞り優先で撮影しているのだとしたら、カメラがその白い部分を捉えて、この写真の明るさを自動で補正しているんですね。

ここでちょっとむずかしい話になるんですが、オート(今回は絞り優先ですが)で撮影する場合、グレーの18%が適正露出の値と呼ばれているんです。

ここでちょっとスキー場に行った時の場合を考えてみましょう。スキー場は当然白銀の世界です。雪の世界で絞り優先で撮影した場合、たいがいこの設楽さんが撮った写真のように、暗い感じで仕上がるんですよ。

たとえその日すごく天気が良くても、「あれ、この日曇りだったっけ?」と思うような暗い仕上がりになるんですね。

こういう時に大切なのが、「露出補正」です。つまり絞り優先の場合、カメラが自動的に「これが適正な露出だな」と計算して出している値が、実際の写真を見ると自分の意図している明るさよりも暗かった場合に、手動で露出を補正する必要があるんです。

【ポイント】
絞り優先の場合、当日の天気を鑑みながら、露出の補正に気をつける。

設楽:
露出の補正なんてまったく意識して撮影したことなかったです。でも、具体的にこういう状況下の場合、どのようなことをしたらいいのですか?マニュアルで撮影すればいい、ってことですかね?

和田:
設楽さんはこの写真を絞り優先で撮っていて、ホワイトバランスもおそらく太陽マークになっていますよね。そこは一応問題ないのですが、次にやることは2つ方法があって、1つは撮影した後に背面ディスプレイで明るさを確認して、もしやや暗い印象があるのであれば、露出を補正してもう一度撮影する。

もう一つは、やはりマニュアルで撮る技術を覚えることですね。ここで撮った時は、結構明るかったので、適正露出の値にするために、シャッタースピードを上げて撮っています。

確かここは絞りが5.6位で感度(ISO感度)が100だった気がしますが、シャッタースピードは1/1000位で切りました。

設楽:
自分もこれからマニュアルで撮影することを覚えていきたいんですよね。でもシャッタースピードと絞りの関係性に加えて、ホワイトバランスとかISO感度とか、複数の要素を手動で組み合わせることって、素人には本当に難しいんですが、何か習得するためのコツがあったら教えてください。

和田:
今は絞り優先で撮影していますよね。絞り優先ということは、まず絞りを手動で自分で決めますよね。2.8とか5.6とか8という感じで。

ある絞りを決めてそこに値を置けば、適切と思われるシャッタースピードをカメラが選んでくれるわけです。

その理屈がわかれば、たとえばある風景を撮ると決めた時に、まずは自分で絞りをどうするか決めればいいんです。

たとえば5.6に決めたとしましょう。そこでシャッタースピードを自分で調節すればいいんですよ。シャッタースピードは速ければ暗くなるし、遅ければ明るくなる。

なので最初は自分でシャッタースピードを変えて何枚か撮っていく訓練をするのが速く覚えられるかもしれませんね。

設楽:
あーーそういう発想で撮ればいいのか。

和田:
マニュアルってどうもハードルが高そうなイメージがありますよね。でも基準を設けて撮れば、そんなに難しい話ではないんですよね。例えば設楽さんの場合は基準は「絞り」です。なので好きな絞りの値を決めて、シャッタースピードを変えて何枚か撮ればいいんですよ。

絞りというのは、基本的に「何かをボカして撮る」時に意識するものなんですよね。だから特にそこを意識する必要がない場合は、さっき話したような「絞りを固定して置く=置きシボ」で撮る方法で問題ないんです。こうやって聞いてみると、そんな難しい話じゃないと思いませんか(笑)。

設楽:
確かにそう聞くと、そんなに難しそうじゃない気がしてきた(笑)。

【ポイント】
絞りを決めて、シャッタースピードを変えて撮ってみる

しかし今回は話がメチャメチャ濃厚ですね。

天王洲アイルにたどり着く前に、こんな長い記事になってしまいました(笑)。

ということで、勿体ないので天王洲アイル編は次回!ということでお楽しみに。(続きはこちら


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【プロフィール】

和田 剛/Tsuyoshi Wada
フォトグラファー。1974年生まれ。
人物撮影と旅行が好き。
写真をまなぶ人のオンラインフォトスクール「good studio」主宰。
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設楽幸生/Sachio Shitara
編集者。1975年東京生まれ。週末カメラ片手に飲み歩くのが趣味な、写真の素人。Twitterやってます。

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東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ