自社分析で見えた!世代別クリエイターの特徴と攻略術
おつかれさまです。
エディマートは社員の定着率がよいため、社内外の同じ人と長きにわたってコミュニケーションを取ることが多いと思います。
私自身、前職の制作会社時代を含めると、25年以上つながりのあるフリーランスがいます。おそらく中堅社員のみなさんなら、10年以上付き合いのある相手がいることでしょう。
今回は、代表取締役として社内を俯瞰する立場の鬼頭が、エディマートのスタッフを世代ごとに分析し、仕事に対するスタンスやコミュニケーション方法の特徴をまとめてみます。
もちろん、個人の性格や経験値によって異なることは大前提ですが、「そういった傾向もある」という他者の視点は、仕事を進めるなかで参考になるのではと思います。
当社と取り引きがある、もしくは今後お付き合いがはじまるクライアントや、仕事をご一緒している皆さんにとっても、「世代別クリエイターの攻略術」としてご活用ください。
1.そもそも世代によって違いがあるのか?
最近は「Z世代」という言葉をよく耳にします。
アメリカで生まれた言葉だそうで、1960~1974年生まれを「X世代」、1975~1990年代前半生まれを「Y世代」と呼んだことから、それ以降に生まれた人が「Z世代」に該当します。
鬼頭は1973年生まれの「団塊ジュニア世代」。「ロスジェネ世代」とも呼ばれるゾーンです。
生まれてからしばらく、自分自身がどんな世代かということを意識することはありませんでした。おそらく意識するようになったのは、次の世代が社会に影響を与えるようになったタイミングです。
自分たちとは違った価値観に直面すると、人はその集団を理解しよう、飲み込もうと考え、言葉化するのではないでしょうか。私は「ゆとり世代」と仕事をするようになって初めて、自分との価値観の違いを突きつけられたことを覚えています。
冒頭にも書きましたが、最終的にはそれぞれの性格や経験値で、仕事に対するスタンスやコミュニケーション方法は異なります。しかし一方で、生きてきた時代の雰囲気、世相、制度や慣習などは確実にその人に影響を及ぼし、「個」は淡い色の「世代観」で包まれている状態です。
親しくなれば「個」にたどり着きますが、ある程度の距離がある時点では、まずは世代でまとめられてしまうのは仕方ないことかもしれません。
2.クリエイターの世代別特徴とは?
それでは当社のスタッフを参考に、世代別にクリエイターの特徴を分析してみます。
◎1971~1974年頃生まれ「団塊ジュニア世代」の特徴(該当3名)
私を含む世代です。
第二次ベビーブームで誕生したため同級生が多く、今のように個を尊重する教育を受けた記憶はなく(私だけかもしれませんが)、小中学校は集団での行動が当たり前でした。
おまけにバブルがはじけた後に社会に出ることとなり、就職氷河期を経験しています。
幼少期の集団生活の経験から、空気を読みながら他人に合わせる力に長けています。また、もらった恩は必ず返すタイプで、忠誠心が強い。ビジネスでは利益性やコストパフォーマンスが求められますが、この世代は「お世話になった人のお願いだから」と、気持ちだけで動くことも少なくありません。
◎1982〜1987年頃生まれ「プレッシャー世代」の特徴(該当3名)
該当するスタッフは、不況が続く時代を経験し、団塊ジュニア世代の行動に理解を示しつつも、どこかで「もがいても仕方ない」というクールな一面を持ち合わせているのではないでしょうか。
団塊ジュニアは激情型も少なくありませんが、プレッシャー世代ではあまり見当たりません。仕事においても、いの一番に発言するというよりは、まずは静観し、さまざまな意見が出そろったタイミングで自身の意見を述べる傾向が見られます。
いい意味で慎重派が多く、自身の判断で突き進むというよりは、味方を増やしたうえで確実に成功させるスタイル。
もっとも、決断に時間がかかるのはウィークポイントなので、主体性が育つまで丁寧に、時間をかけて育成する必要があります(該当するスタッフはすでに主体性が育っています)。
◎1987~2004年頃生まれ「ゆとり世代」の特徴(該当6名)
現時点で当社の40%を占めています。
授業時間数が削減された「ゆとり教育」を経た世代。もの心ついた頃にはSMAPの「世界に一つだけの花」がヒットしており、その歌詞にあるように、ナンバーワンにならなくてもオンリーワンになればいい、という感覚を持ち合わせていると思います。
人材育成においては、プレッシャー世代までは、「社内で一番原稿が上手い」といった相対的評価でモチベーションを上げることができました。ところが、ゆとり世代の場合は絶対的評価が必要に。人と比べるのではなく、スタッフ自身の持ち味を伸ばす育成が求められ、私自身、人事考課での評価軸を大きく変えました。
◎1996~2010年頃生まれ「Z世代」の特徴(該当3名)
いよいよ当社にも「Z世代」が入社しました。
この世代のスタッフは小さな頃からスマートフォンが身近にあり、情報収集はSNSやWEBが中心。他者とのつながりにおいて、リアルとバーチャルの重みにそれほど差がありません。
当社は創業時、出版社の制作請負が売上のほとんどを占めていました。今でも情報誌の制作は行なっておりますが、Z世代のスタッフに「知ってる?」と聞いたところ、ほとんどが知らない状態でショックを受けたことを覚えています。
「炎上」という言葉がすぐ側にあるからか、目立つことを避ける傾向も見受けられます。「ゆとり世代」は絶対的評価でモチベーションは上がりますが、「Z世代」はそもそも評価されることの価値観から変わっていると感じるため、意欲向上に苦心しているところです。
3.クリエイターの世代別攻略術
次に、クライアントや外部スタッフの皆さんに向け、世代別のクリエイター攻略術をまとめてみます。
◎1971~1974年頃生まれ「団塊ジュニア世代」の攻略術
忠誠心が強く調和を重んじるため、重要な企画のリーダーに据えることで、チームをまとめ上げながらミッションをゴールへ導けるはずです。
まずは信頼関係を築くことから。一度関係が構築されると、案件の大小問わず責任をもって完遂することでしょう。
注意しておきたいのが、この世代は傾聴する力があり、確実に高得点は叩き出しますが、200点を狙うなどの「冒険」をあまりしません。
ガラリと変えたい、エッジが効いたものを求めるなら、ブリーフィングの時点でしっかりと伝えておいた方がよいでしょう。
「フェイストゥフェイスこそ理解が深まる」と考える人も少なくないため、この世代より下の方がコミュニケーションを取る際は、いきなりメールやチャットで始めるよりも、まずは電話や面会をする方が良いかもしれません。
◎1982〜1987年頃生まれ「プレッシャー世代」の攻略術
この世代は慎重派が多く、状況整理をした上で仕事を成功に導くタイプが多いため、プロジェクトに関する情報はできるだけ多く伝えることをおすすめします。
裏を返せばプレッシャー世代から受注を受ける場合、長文のメールや膨大な資料が届くことも。あくまでも相手を思ってのことだと思いますが、受注側の世代が異なる場合、「そこまで丁寧でなくてもいいのに」と感じるかもしれません。
一方で、この世代はクライアントからの「言わなくてもわかるだろう」とか、「あとは成り行きで」といった、感覚的な発注を苦手とします。団塊ジュニア世代より上は、「背中を見て学べ」という価値観が少なくなく、つい感覚的な発注をしがちですが、この世代には通用しません。しっかりと要件定義をしておきましょう。
◎1987~2004年頃生まれ「ゆとり世代」の攻略術
個を尊重して育てられてきた世代ですので、それぞれに「絶対に負けないもの」を持っています。当社を見ても、特異なスキルを持っている人や、特定のジャンルの圧倒的な知識を持っている人が目立ちます。
ゆとり世代に発注するなら、まずは世間話を行い、その人のパーソナリティを知っておくことをおすすめします。各自の際立った点に案件がマッチすると、アウトプットのレベルが格段に上がるはずです。
当社では過去に書籍制作の仕事で、そのジャンルを得意とするゆとり世代のスタッフをアサインし、重版出来のヒット本を作り上げたこともあります。
注意点としては、プレッシャー世代より上の層に比べると、粘り強さは欠けているかもしれません。同じ案件を毎年担当することをあまり好まず、一定期間が経ったら新しいチャレンジをさせるほうがよいでしょう。
またこの世代からすでに、メールやSNSによるコミュニケーションに慣れているため、安易に携帯電話を鳴らされることを好みません。
◎1996~2010年頃生まれ「Z世代」の攻略術
正直、私自身まだZ世代の攻略法を見出せていません。
現時点で感じるのは、ITリテラシーが高いので、既存とは違うネットワークをもっていること。
かつて情報収集といえば、「足で稼ぐ」ものでしたが、ゆとり世代ぐらいから「WEBでリサーチする」が当たり前に。
そしてZ世代では、Instagramの画像やYouTubeの動画から情報を仕入れたり、SNSのつながりを活用して一気にリサーチしたりと、さらに変化が見られます。
この世代をクリエイティブに活かすなら、まずはその新しいリサーチ術に期待するのもよいかもしれません。
知識と技術があっても、知性がなければそれを引き出せないと言います。
これまでの世代は、経験を積みながら知識、技術、知性を伸ばす努力をしてきましたが、Z世代はそれらをITで解決する力が備わっています。
そういった面では、キャリアは浅くても、すぐに上の世代に追いつく可能性があるため、「Z世代だから」と色眼鏡で見るのをやめることが、攻略の第一歩でしょう。
4.最後に
まず、この記事を読んでくださったクライアントや外部スタッフのみなさんへ。
あくまでも「個」を包む淡い色の「世代観」について話しています。参考にしていただきながらも、ぜひ各スタッフとコミュニケーションをとりながら、それぞれの強みを吸い上げて一緒に最高のアウトプットを生み出しましょう!
そして、エディマートのスタッフへ。
ここに書いたことは、創業から約20年の間に会社を俯瞰で見ながら、鬼頭が感じた一つの事実です。もちろん社長なので、いつもはそれぞれの強みと弱みに向き合っていますが。
みんなに言いたいのは、「距離がある関係のうちは世代観で見られがち」ということと、「世代観を払拭する個性を相手に知ってもらう努力をしよう」ということ。
もちろん、自分にもこの言葉を贈ります。