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多田富雄著「免疫の意味論」

「自己」とは何か、「非自己」とは何か

「自己」と「非自己」は何によって決まるのか―検証

脳は免疫系を拒絶できないが、免疫系は脳を異物として拒絶する

免疫系がそれぞれの個体の微妙な差を見分けて、自分と異なったところのある細胞や組織を厳格に識別し、拒絶する。

主要組織適合遺伝子複合体と呼ばれる遺伝子群
=major histocompatibility complex、MHC

人間
HLA(human leulcocyte antigen)抗原

組織適合抗原-自己と非自己を区別する識別の目印

免疫学的に「自己」と「非自己」を規定
⇒HLA抗原と呼ばれる六種類の分子とその組み合わせ

HLAクラスⅠ抗原-すべての細胞の表面にある
HLAクラスⅡ抗原-白血球の一部、皮膚細胞の一部

「胸腺」に由来するリンパ球の細胞「T細胞(T cell)」
→HLAの微細な違いを認識して、非自己を排除する

そうやって「同じ」といって、あなたは自意識から逃げるんだ…。

個体は、個体の全一性の侵害に対して、驚くほど神経質な行動を示す

ルドウァランの「身体の自己」と「脳の自己」の総括
→一方的に身体の自己が脳を拒絶し、脳が拒絶されることで、身体の自己もやがて死に至る

主要組織適合抗原と主要組織適合遺伝子
動物がなぜ自分に対して抗体を作らないのか?
→どうして自分を「免疫」で攻撃しないのか?

Horror autotoxicus(自己を毒することの恐怖)

「自己」とは何か、「非自己」とは何か

「自己」とは何なのか?
「自己」と「非自己」を神経質に区別する必要は本当にあるのか?
「自己」と「非自己」を区別する能力は、どこで何が決めているのか?
その能力が破綻したら何が起きるのか?
「非自己」の侵入に対して、「自己」はいかなる挙動を示すのか?

Thymus(胸腺)のTをとったT細胞

リンパ球であるT細胞は、「自己」と「非自己」を識別し、「非自己」を強力に排除するための免疫反応の主役となる

T細胞は、
まず「自己」に対して反応しないように認識の構造を設定し、それをそのまま利用して、「自己」が「非自己」化したことを認識させる。こういう「自己」認識の能力が、T細胞に「教育」されている。しかもその認識に結果として、免疫反応の増強、抑制、異種細胞の殺傷、活性分子の合成など、さまざまな反応が起こるが、その役割分担までプログラムされている。こういうT細胞の「教育」の場が、「胸腺」なのである。

<「自己」を認識する機構>
○1960年までの免疫系
→「非自己」を認識し排除するシステムをアプリオリに規定。
○現代の免疫系
→「自己」の「非自己」化を監視している

「自己」が侵害されたときのみ、それを認識し、「自己」そのものを破壊しないようにした

個体
あらゆる「非自己」から拒絶された「自己」なるものを規定し、その全一性を保つ体制を作る

胸腺-生物の時計
十代の前半が最も大きく、40代ですでに半分、60代では4分の1に縮小、80代ではほとんど脂肪に置き換わり、「胸腺」そのものが痕跡程度になる
→何が「胸腺」を「生物時計」にしているのか?

H鎖(Heavy chain)
変化に富む(Variability)→V遺伝子
多様性に関与(Diversity)→D遺伝子
連結部分(Joining)→J遺伝子

人間
H鎖

抗体分子-免疫グロブリン(Immunoglobulin、Ig)というタンパク質は、H鎖(Heavy chain)とL鎖(Light chain)と呼ばれる二本のポチペプチド鎖からなる

利根川進
人間 H鎖
V遺伝子の数-数百個
D遺伝子の数-4個
J遺伝子の数-4個
V、D、Jの組み合わせから、数千種の多様性が作られる

L鎖でも同様のことが起こる

→結果として、その組み合わせだけで、多様性は4万種類以上になり得る

+α
→V遺伝子の特定部分での突然変異が頻繁に起こる

免疫システム
「先見性」のない細胞群をまず作り出し、その一揃いを温存することで、未知のいかなるものにも対処し得る広い反応性、すなわち「先見性」を作り出す
すべての「非自己」に対応する抗体の一揃い(レパートリー)を常に用意し、「自己」と反応する一揃いを消去する機構は何か?
「非自己」という刺激の存在しない「自己」の密室内でどのようにして「非自己」と反応し得るレパートリーを作り出し温存しているのか?
レパートリーのサイズを決定するために、免疫系はどういうメカニズムを利用しているのか?
「自己」という環境の中で、すでに「自己」と反応するようにプログラムされてしまったB細胞を働かなくする為にどうしているのか?

「非自己」の選択の基準
T細胞ではHLA分子
B細胞では何か?

ネットワーク説
あらゆる「非自己」は「自己」にとって新しいものではあり得ない

知らないものは認識できない
→認識の起源とは何か?

ナイブな免疫学的「自己」
ゆるやかな反応体の集合

「ナイブな自己」
経験を繰り返すことによって、鋭敏で反応性が高い「洗練された(Sophisticated)自己」に変ってゆく

免疫系の反応の大きさ、方向性、時間、質がどのように決定されるのか?

多様性と不確実性に特徴づけられた免疫系
「特異性」を超えてしまったインターロイキン

「自己」という場への適応
「自己」に適応し、「自己」に言及しながら、新たな「自己」というシステムを作り出す

免疫学的「寛容」
特定の物質に対して特異的に免疫反応を起こさなくなる現象

どのように「寛容」が成立するのか?

免疫反応の特徴
→他者の侵入に対する驚くべき敏感さと不寛容さ

多様性を作り出す際のランダムネス=「非先見性」
免疫系の「先見性」は、○○の「非先見性」に依存する

「非自己」に対してあれほど「非寛容」な免疫系が、「自己」に対して、かくも「寛容」になっている

T細胞がもともと自己反応性を剥奪されている

「自己」に対する寛容の成立と維持
①     「無能力」

自己免疫がなぜ起こらないのか?
寄生虫は、人間の真似をする
人間の「自己」を偽装する

反応する「自己」、認識する「自己」、認識される「自己」、寛容になった「自己」

「自己」は免疫系の行動様式によって規定される

「自己」とは
「自己」とは行為そのものであって、「自己」という固定したものではない

遺伝子座=MHC

「自己」の「非自己」化

「自己」と「非自己」は先見的に区別されない
「自己」として処理されていた蛋白が異なった切断を受けると、隠されていた情報が現れ、それが「非自己」として認識される

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓気になる箇所の抜粋です。免疫系を通して「自己」と「非自己」を区別できる身体、身体の素晴らしい機能です‼まだ途中です。気力が湧いたら更新させて頂きます。


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