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ダウンタウン「HEY!HEY!HEY!」と音楽

ダウンタウンのすごいところは、ミュージシャンの神格化から解いたんです。「HEY!HEY!HEY!」です。(中略)
それをダウンタウンはカジュアル化したんです。神格化されるミュージシャン。
意外とミュージシャンって天然なのではないかということを世間に提示したのがダウンタウンです。

GLAY HISASHIさんのYouTube動画より

これはその通りだと思います。
ただ、GLAYは「その波に乗れた」から良かったのだけれど、神格化から解かれたことが、後々ミュージシャンがお金にならなくなった理由のひとつだと私は考えています。
実際、メディアから距離をとることで自らを神秘的偶像化してた人もいらっしゃいましたし。
つまり、ミュージシャンを「アーティスト」なんて大仰な言葉で飾るようになった虚像と現実のギャップを、ダウンタウンがお笑いにしたのです。そのメッキがいつ剥がれてもおかしくはないとは言え、HISASHIさんの仰る通り、ダウンタウンとフジテレビが先駆けたと言って良いと思います。

HISASHIさんは、まるでこのことを美談のように語っておられますが、確かにGLAYのように、それがマッチした人は良かったのでしょう。陽キャで頭のいい人はそれで良かった。
でも元来ミュージシャンってメディアに出るのが苦手な人も多かったと思います。

昔、森川美穂さん、遊佐未森さん、種ともこさんが共演されたテレビ番組の匿名アンケートで「本当はテレビに出たくない」という質問に2名がYESと答えていました。テレビタレントとして生きる覚悟を持てない人たちは、ほとんど駆逐されてしまったのだと思います。

ビートルズから「HEY!HEY!HEY!」が放送されるまでの間、音楽はどちらかというと陰キャのものだったと思います。「僕もポップスターになれるかも」という希望でした。実際「この人音楽やってなかったらどうなっていたのだろう」という人も少なくなかったように思えます。
でも「HEY!HEY!HEY!」は音楽も陽キャでなければいけない時代を作ってしまった。結果「この人ビジネスやらせても成功するんだろうな」と思えるような人ばかりになってしまった気がします。

ニガミ17才が「HEY!HEY!HEY!」に出演された時に、リーダーの岩下優介さんが松本人志さんのいわゆる「いじり」に我慢ならなくなったのか「嫌だからやめてくれ」のようなことを仰って、松本さんが困った顔をしていたのが印象に残っています。
冗談がわからない発達障害気質の人はいじられるの辛く、ダウンタウンのノリは見ていてしんどいんですよ。
みんながそうってわけではないけれど、80年代くらいまで、音楽ってそんな人たちが多かった印象を持っています。

ダウンタウンのお笑いって、不良の仲間内のノリだと思っています。
スクールカースト上位に所属している人たちのノリですよね。
それは「心理的に近い関係」「上下関係」が成立条件として笑えるものなのですが、それがわからない人にはしんどいのです。
昔は音楽って、それがわからない側の人たちがいてもよい場所だったはずだったんだけれどな、と思ったりもするわけです。


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