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【IAP呼吸法について】

こんにちは。
ヤマトです、今回は日常におけるリカバリーということでIAP呼吸法のお話をしていきたいと思います。
かなり自分なりの考察も入っておりますが、皆様の少しでもお役に立てたらとここに情報を掲載させていただきます。

▫️IAP呼吸法とは

あまり機器馴染みのない言葉だと思います。
ではIAPとは「Intra-abdominal Pressure」の省略名称です。
日本語では、腹腔内圧。腹圧と省略されると馴染みもあるかと思います。
IAP呼吸法とは、息を吸うときも吐くときも、腹圧を高く保ってお腹を固めている状態のことを指します。

図1

▫️自律神経、副交感神経、交感神経。


・自律神経と副交感神経について
自律神経を構成する交感神経と副交感神経は、二重支配と相反支配という2つの法則で、体内環境を一定範囲に保つ恒常性(ホメオスタシス)を守っています。

・二重支配とは
二重支配とは、一つの臓器や組織を交感神経と副交感神経が被って束ねていることを指します。どちらか一方のみが司る臓器は汗腺などの例外はさておき、基本的に存在するはありません。
この交感神経と副交感神経は別のノートで実際にお話しさせていただきたかったのですが、少し詳しく解説していきます。お付き合いください。

・相反支配について
交感神経と副交感神経が対照的な役割を果たしていることこそ相反支配です。

・それぞれの役割(簡易)
交感神経の役割・・・・心臓を刺激して心拍数を早める、胃腸などでは消化吸収を抑える等。
副交感神経の役割・・・・心臓を抑制して心拍数を遅くする、胃腸などでは消化吸収を高める等。
他にも交感神経は瞳孔を拡大し光を多く入れる働き、副交感神経は縮小させる働き、肺を拡張して呼吸を速くする働き、抑制してゆっくりさせる働きなど様々な役割を担っています。

・スイッチがかかるタイミング(簡易)
交感神経・・・・緊張や興奮、危険や恐怖に反応する。日中の活動時や運動時、ストレスで優位となる。
副交感神経・・・・安心や安全で平穏な状況に呼応、夕方から夜間に向けて心身のリラックスを誘う。
この二つは、違った形で全身にネットワークを張り巡らせているのですが、その中枢にあるのは、脳の視床下部と前帯状回、大脳辺緑系。
この中枢で交感神経と副交感神経は管理されています。

図2

▫️なぜ必要になってくるのか

・腹腔内圧とレジスタンストレーニング
腹腔内圧は、腹腔内に内圧をかけてお腹全体に空気を溜め込むことができます。
これをすることによって、腹腔内が外側に膨らみ脊柱を安定させることが出来ます。
レジスタンストレーニングにおいて、腹腔内圧が重要になってくる局面があります。
自分はボディビルをしているのですが、ボディビル競技においてレジスタンストレーニングは重要な様子の一つです。
その中で、スクワット、デットリフトなど脊柱を使う種目においては、内圧をかけられていないことによっての過伸展や下手をすると側屈が起こってしまう可能性があります。
こうした場合に、怪我のリスクというものがついてきてしまいます。
怪我のリスクを避けるためにも腹腔内圧、IPF呼吸法が必要になります。

また腹腔内圧をかけることによって脊柱が安定するため日常動作での、外力からの影響を受けにくくなります。
では反対に、腹腔内圧が抜けた状態ではどうなってしまうのでしょうか。

・腹腔内圧のイメージ

お腹はペットボトル(いろはすのペットボトルを想像していただけるとわかりやすいと思います)のような構造をイメージするとわかりやすいでしょう。
やわらかいペットボトルは、手で握ってしまったりするとすぐ凹んでしまいますよね。
また上からの圧力に対しても弱いと思います。
これが腹圧がかかっていない状態です。
ではペットボトルの中にパンパンに空気を入れてみましょう。
いかがでしょうか?
上からの圧力に対しても潰れることなく、地面からの垂直抗力と中からの圧力によってペットボトル自体の姿勢を保持することが出来ます。
同じように人間も、上からの圧力に及ぼされる影響(F)に腹腔内圧をかけることによって中からの圧力と地面からの垂直抗力によって反作用を起こします。
そうすることによって、縦からの力(例:重力や鞄など)に影響を受けることなく姿勢を維持することが出来ます。
話は戻りますが、腹腔内圧の抜けたお腹は空っぽのペットボトルのようなもので、ちょっとした地方で潰れやすく不安定極まりないのです。
したがって、腹腔内圧を意識することはレジスタンストレーニングにおいても重要な役割を果たします。

図3

▫️IAP呼吸法における自律神経への作用

自律神経とは前記の項の通り、交感神経、副交感神経からなるものです。
呼吸法がこの自律神経にも作用をしていくのです。
なぜか?
それは、呼吸も自律神経が支配しているからです。
また逆もまた同様です。つまり相反関係にあるということなのです。
24時間働いている自律神経は、疲労が非常に溜まりやすく呼吸や身体の連動を乱す
原因となります。
腹腔内圧がかかりお腹のバランスが安定すると、動きに無駄がなくなり、疲労軽減につながってきます。そしてさらに身体の四肢のコンディションを整えることで、体幹を通っている中枢神経と全身がスムーズに動くことができます。
疲労とは、神経のコンディションが悪くなった状態が主であるので、身体の安定性=疲労予防・回復が促されるようになります。
そしてストレスがかかったりするときに働きやすい交感神経IAP呼吸法を行うことにより、副交感神経を働かせ自律神経を安定させてバランスを整えることが出来ます。
そしてIAP呼吸法は睡眠にも作用します。
呼吸をするときは必ず肺の下にある横隔膜という場所が動きます。
その横隔膜には自律神経に働く神経があり、IAP呼吸法をすることにより、前記の通り副交感神経を優位にします。
そうすると眠りに作用する神経伝達物質であるメラトニンの分泌が高まり、疲労のリセットに欠かせない深い眠りに導きます。
また深く息を長く吐く呼吸を意識すると日中上がりっぱなしだった神経伝達物質の一つコルチゾール(別名ストレスホルモンとも呼ばれる)の分泌が減り、睡眠の質を上げることができます。

▫️実践について

ではどのようにIAP呼吸法をしていけばいいかの実践編ということでお話ししていきます。
IAP呼吸法を行うポイントとしては、横隔膜を下げることが必要になってきます。
ではどうすれば、横隔膜が下がるのでしょうか?
簡単なことで、その場で息を全て吐き切り口から息を大きく吸ってみましょう。
いかがですか?肋骨が開いていきますよね。その状態というのが横隔膜が開いて上がっていってしまっている状態です。
では次にまた全て息を吐き切ります。その後鼻からゆっくりお風船を膨らませるようにお腹に息を入れていってみてください。
その状態がお腹に空気が溜まり、腹腔内圧がかかっている状態です。
ではどのように息をすればいいのか?と疑問に思われる方もいるかと思いますが、そのまま鼻呼吸で5秒吐いて、5秒ゆっくり吸ってを5回ほど繰り返していけばいいだけです。
人間というのは、そもそも数回繰り返した動きを自然と反復運動させる動物です。
ですので、1日の中で呼吸が乱れた状態、もしくはスポーツの前などに実践してみてください。

▫️筋トレと呼吸法の考察
筋力トレーニングにおいてもこの呼吸法はすごく重要だと考えています。理由は前項にもあります通り、腹腔内圧をかけることによって、脊柱の過伸展や脊柱湾曲の保護に繋がりトレーニーありがちなスクワットやデットリフト時における椎間板ヘルニアの予防にもつながります。
そして腹腔内圧がかかり、脊柱が安定することによって骨盤や肩甲骨の安定性が向上し、運動を意識的に行いやすくなります。
つまりは四肢を稼働させる際にエキセントリック、コンセントリックを可動域最大にかけることができると考えています。もちろん、ここには他にも様々なテクニックも必要になってきます。
一つ例にとって考えてみましょう。
例えば、バイセプスカールという種目で上腕二頭筋を最大の可動域でエキセントリックをかけたい場合に腹腔内圧がかからず肋骨が開いてしまっている場合(前鋸筋がアクティブになっておらず、横隔膜が上に上がってしまっている状態の場合)に肩甲骨は脊柱に向かって後傾してしまう、または挙上、上方回旋してしまいます。
そうなった場合上腕二頭筋の起始部である上腕骨大結節陵は安定せず、上腕二頭筋に張力がかかりにくくなり負荷は分散してしまいます。
肩甲骨の安定性を高めて、外部要因があったとしても身体の安定性を作ることができるのが腹腔内圧です。
スクワットの場合でも同じです。腹腔内圧がかかることにより骨盤が安定し、ハムストリングスならびに大腿四頭筋群に負荷を分散することができ、脊柱の負担を減らすことができます。
特にスポーツの競技者で上級者になればなるほど腹腔内圧を常にかける練習が必要なのではないでしょうか。

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