【40代女医】25年続いたチューイング卒業後、1年後のお話
みなさんこんにちは。摂食障害オンライン相談室を運営する、元摂食障害の心理士、渡邉茜(わたなべ・あかね)です。
この企画は、当カウンセリングの卒業後を追う企画。
今回ご紹介する卒業生は、現在40代の女医さんのお話。
2021年12月に卒業し、約1年ぶりの近況報告インタビューを行いました。
課題/回復のアプローチ
■食事量を増やす
体重は健康なラインではありますが、食事内容が拒食でした。
食事は1日1200kcalだったのを、1週間で100kcalずつあげて1600kcalくらいまでは上げましょうとアドバイスしました。
正直、25年間もの間摂食障害だったので、「心の問題が解決しないから、摂食障害が治らないのではないだろうか」と思いました。だから、初めは食事の問題は後回しにしよう」という見立てをしました。
しかし、「やっぱり食事から変化を起こさないと、変わるべきものも変わらない」と思い、まずは食事からアドバイスをすることにしました。
それが、彼女にとってはあっていたようです。
■生活の充足:心を満たす
食事と同時に行ったのは、生活の見直しです。
1日のスケジュールを送ってもらったところ、非常にハードな医師業をしているのに、心や頭を休ませる時間がなさすぎると感じました。
摂食障害の方に多いのが、「少しでも休んだら怠惰になる」と思い込み、無意味な時間を過ごすと罪悪感を感じているケースです。
そのため、常に頭をフル回転させ、時間の空白を埋めるように行動します。つまり、「思考しすぎ」という状態です。
過食は、脳を麻痺させる作業です。だから、脳が休みたいと感じている時に過食衝動が起き、過食している時だけ頭を空っぽにできるのです。つまり、体は「考えたくない」「行動したくない」という悲鳴を、過食という形で表現しています。彼女はまさにそれだなと。
「時間を有意義に使わなければならない」という強迫観念を見直し、心が満たされる過ごし方を見つけることを行いました。
私が「モネが好き」とプロフィールに書いていたことから、原田マハさんという、芸術系の小説を書かれる方の本の話になりましたね。私も仕事を忘れて、思わず語りたくなりました。
卒業1年後のインタビュー
【1】カウンセリングをうけようと思った理由
彼女は権威あるお仕事をされていたし、チューイングをやめなくてもなんとか生活はできていました。
私もOLのとき、仕事ができているから、家で多少過食嘔吐をしていたって、それなりに仕事もできているし、生活に大きな支障はないから、治そうとすら思っていませんでした。
でも、過食嘔吐をすることは確実に苦しかったです。そのせいで本当は犠牲になっていることもあったのに、「仕事はきちんとできている」と言い聞かせて、目を逸らしてきました。
そう思うと、きちんと限界を感じて「治そう」と一歩踏み出した彼女は、本当に偉かったと思います。
【2】実際に受けてみて、カウンセラーあかねの感想
年下の私に対しても、とても丁寧に接してくれる方で、文章から人柄が伝わってくる方でした。私もよりいっそう「力になりたい」と思いました。
余談ですが、正直、「医者でもない私が、みなさんに何ができるのだろう」と、今でも思うことはあります。医者の資格を取りたいと、30過ぎてから医学部に入学しようか真剣に悩んだこともありました(笑)
ただ、医者じゃないからこそできることもあると最近は思うようになりました。後ろに背負っているものがないからこそ、自分の経験をめいいっぱい話して、そこから学んだノウハウを伝えることができる。それを必要としてくれる人がいる、ということをここ数年で感じました。これはまたどこかで話したいな。
【3】実際に受けてみて、症状・生活・価値観の変化
すばらしい!うんうん、痩せたい気持ちはあるけれど「食べる楽しみは奪いたくないな」という気持ちが勝っていく。これは、摂食障害を克服された方の多くが通る道です。
そして、衝動にも強くなったようですね。
私も「摂食障害が治ったな」と思えたのは「待てるようになった」と思えた時でした。
食べたい衝動、カッとなる怒り、叫びたくなる苦しみ。 すべての激情に対し、「ちょっと待て、冷静に」と言えるもう一人の自分が育ってきた感覚がありました。それって、症状ゼロがしばらくつづいた先にある世界だったんですよね。
「待てる」ってひとつのスキルですよね。それが育っていること、すごくいいなと思いました。
【4】実際に受けてみて、苦しかったこと
小さな変化を一緒に気付けたこと、本当に私も嬉しかったです!
【5】卒業を決めた理由
うんうん^^いいですね。
【6】卒業後の症状、体重、生活など
これはすごくリアルな意見ですよね。とてもわかります。
卒業後は「おっかなびっくり自走する」という期間が訪れます。この不安と共存しながらも、できることを淡々とこなし、習慣化させていく。という期間が必要なんですよね。
また、執着も少しずつ手放されていったのですね。よく一人で乗り切りましたね!えらいです!
【7】カウンセリングを受けようと迷っている方に一言
自分のことは自分が一番よくわかっているようで、とらえきれていないことって多いですよね。
とくに摂食障害の方は、自己否定的な評価をすることが多く、それが客観しるつ力を奪い、回復を遅らせているようにも感じます。
第三者の力を借りようと勇気を出して頼ってくださったこと、本当にありがとうございました!
最後に。。
わ〜うれしいです。どの作品が好きですか?
私は定番ですが「楽園のキャンバス」を読んで、衝動的にMoMAまでいきました(笑)
あとは、「生きるぼくら」「星がひとつほしいとの祈り」「本日はお日柄もよく」は好きですね〜!
宮崎に来てから、めっきり芸術に触れる機会が減りました(笑)モネの絵を、また見たいです。直島の地中美術館の睡蓮は、オランジュリーを彷彿とさせるような空間で、感動しました。(美術館を設計した安藤忠雄さんも好きで、彼の書物も面白いですよ!)
またどこかで、モネの絵を見たときは私を思い出してくれると、ちょっと照れますが(笑)嬉しいです。私もときどき忘れがちな心を満たすこと、大切にしたいと思いました。
■毎週月水金17:00〜YouTube
■著書「摂食障害のしおり〜ダイエット依存を卒業する5ステップ〜」
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